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学校日和2  作者: めろん
120/235

第120回 制服日和

 右も左も後ろも前も、


「えっと……ええっと……うーんと……ええと……」


まったく知らない街並に、アオイは嫌な汗を浮かべだした。


「……詰まり、ここがどこだか分からない、と?」


そんな彼の隣で、ミントがゆっくり尋ねると、


「…………ごめんなさい」


アオイは、しょぼんとうなだれて謝罪した。


「ぅえ?! え、えええっと、そ、そんなお気になさらず!! 道に迷うことなんて誰でも一日に一回や二回や三回や四回くらい余裕でありますですよ!? って言うかはいコーラ!!」


子犬ばりにウルウルしだしたアオイに、ミントは慌てて両手をぶんぶん振りつつコーラを差し出した。


「うん……ごめんね。ありがとう、ミント」


ぷしゅー


よって、コーラが勢い良く噴き出した。


「わあ?!」


「ってごめんアオイいいい!?」


という具合に、主にミントがドタバタしている間、


「うーん、どーしよっかー?」


「むう……わんわんの鼻は?」


「それはそのわんこに言ってんのか? それとも俺に言ってんのか?」


「はいはーい! アタイ、ミントきゅんに腕枕―…」


「少し黙っててください、チロルさん」


ミントと同じようにアオイを責めることが出来ない五人は、ポジティブに他の方法を探していた。


「ちょっ!? う、腕枕って、チロル、アンタ、まさか――?!」


「ココアってばもったいないわよね〜? あんな質問されたらアタイはもちろんオフコ〜ス〜みたいなV」


「――!! い、いつから見てたのよー!?」


「お目覚めですか、おっ姫っ様〜っ♪」


「一部始終じゃねえかコラーーー!?」


「しばらく黙っててください、そこ二人」


「む、わんわんに魔力を探ってもらうとか」


「だから、わんこに言ってんのか? 俺に言ってんのか?」


と言っても、真面目に考えているのかどうかは定かではないが。


「……? アオイ?」


「ふ? あれホントだ。こんなところで何してるの、アオイ?」


そんな時、後方から聞き覚えのある二人の少女の声が聞こえてきた。


「! リン! ウララ!」


ので、アオイの顔がぱあっと明るくなった。













「成程。急発進したモコモコを追い掛けていたら、いつの間にか知らない場所にいた、ですね」


「まあ、そうでもなきゃアオイがゲームセンターの前にいるわけがないわよね」


 状況を説明すること約一分、彼らはぞろぞろ並んで目的地を目指し、通行人の多い道の上を歩いていた。


「……? ゲームセンターって、僕が行ったらおかしいの?」


彼女たちの言葉に、行ったことないけど、と付け足しつつも、きょとん顔でアオイが聞くと、


「おかしいって言うか」


「危ない、です」


いろんな意味で、と付け足しつつ、ウララとリンはそう答えた。


「?」


深まる謎。


「ねね、それってリンたちの学校の制服ー?」


疑問符をぽこぽこ浮かべているアオイをよそに、ココアが二人に問い掛けた。


「はい、です」


ので、リンがこくりと頷くと、


「「へー、可愛いー!」」


ココアとチロルがきゃいきゃいしだした。


「でしょでしょ?! 私、この制服着る為に一生懸命勉強してきたんだから!」


「……制服と、ユウと同じ高校に行くた―…」


「はいリンちゃんお口チャーック!!」


えへんと胸を張った彼女の隣でリンが何か言いかけると、ウララは即座にそのお口にチャックした。


「同じ制服なのに、随分と丈が違うねー?」


そんな彼女を助ける為か、ココアは違う話題をふってみた。


「あ、スカートのこと? リンが学校指定の長さで、私が校則違反」


「……よくもまあ堂々と」


さらりと答えた友人に、リンは呆れたように呟いた。


「ねぇ、リンも短くしてみたら?」


「……何故リンがわざわざ先生に注意される以外何も起こらない行為を好き好んでやらなければならない、ですか?」


「何をおっしゃる。短い方が可愛いじゃない? それに折角色が白くて長くてほっそい足なんだし」


「それは詰まり、自分の足がそんなだと言っている、ですね?」


「え? えへへ、そう?」


「嫌味が通じねぇ、です」


照れ笑いするウララに、無表情ながらも腹立たしげに呟くリン。


「……。スカートの長短についてお聞きします」


仲が良いのか怪しい二人の会話を基に、アロエが男性陣に問い掛けると、


「へ? ……まァ、どちらかと言うと短い方が」


「ポトフううう?!」


「えっと、寒くない?」


「む? 貧富の差?」


ぶっ飛ばされた一名以外、お話にならない回答が返ってきた。


「ウララ、男性には効果がないみたい、ですよ」


「寒さは気合いでなんとかなるし別にお金がないから生地が短いわけじゃないわよおおお?!」


どうでもよさそうに言うリンと、頭を抱えつつ突っ込むウララ。


「……効果がない……は! そう言えばミントきゅんがくれたお洋服って露出してない……もしかして、逆効果?!」


だいぶ参考にならない回答に、衝撃を受けるチロル。


「……何を言っているんですか、チロルさん? 逆ですよ」


「え?」


「それは他の男性にあなたを見られたくないから。詰まり、独占欲です」


そんな彼女にさらりと何か吹き込むアロエ。


「はにゃあああああ!?」


彼女の言葉に真っ赤になるミント。


「助けに来たんじゃないのかミントォォォ?!」


思わぬ流れ弾を喰らうポトフ。


「いい天気だね」


「そーだねー」


「ぷわ、ねむねむ」


『わん、わぉん!』


平和なアオイとココアとプリンとモコモコ。

そんなこんなで、彼らは、無事、ではない気が、約一名においてしないでもないが、元の世界に戻ることが出来たのであった。

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