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学校日和2  作者: めろん
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第119回 質問日和

「ったく……」


 襲い掛かってきた大きな犬とチロルをおとなしくさせた後、ミントがパンパンと手を叩いていると、


ウイーン


「ふむ。追い出された」


「……俺なんて引き止められたぞ……」


「ま、まー、プリンはこれだけ取って、ポトフはあれだけ取られたからねー?」


大きな紙袋を提げたプリンと、がっくりとうなだれているポトフと、紙袋を抱えつつ苦笑いを浮かべているココアが、お店の外にやってきた。


「あ、みんな」


「「!」」


自動ドアの音を聞いたミントが振り向くと同時に、三人はびっくり驚いた。


「おっきいわんわん!」


「み、ミント……?」


「や、やっぱそんな趣味がー?」


プリンはおっきいわんわんに、ポトフとココアはミントとチロルの状況に。


「へ?」


「えへへ〜♪」


ちなみに、ミントは襲われた為に、チロルは襲い掛かった為に、彼らの制服は乱れていて、彼女の両手はもう暴れないようにと鞭代わりにウサギさん寮印のネクタイで縛られている。


「趣味?」


「いや、だってそれー」


小首を傾げた彼に、ココアがチロルの腕を封じているネクタイを指差すと、


「……? それ、暴れるなって言ってるのに言うこと聞かないからお仕置きしただけだけど?」


ミントは、これをどう取ったら趣味になるんだろうと疑問符を浮かべながらそう言った。


「「……っ」」


よって、ココアとポトフが何やら変な誤解が、彼らの中で確信に変わった。


「えへへへへ〜♪」


「……そんなににやけていると、いい加減危ない人に見られますよ?」


「あ、アロエ久しぶり」


「お久しぶりです、ミントさん」


そして何やらご機嫌なチロルに向けて、部外者面していたアロエがさらっと言うと、ミントは彼女に挨拶をした。


「ふふふ、わんわん♪」


『わん! わぉん!』


彼の隣では、プリンがご機嫌な様子で犬の頭を撫でている。


「あ! モコモコ!」


 そんな随分とまとまりのない六人と一匹の耳に、中性的な声が聞こえてきた。


「「?」」


ので、六人は疑問符を浮かべながらそちらを向き、


『わぉん!』


犬は元気に返事をした。


「もうっ、勝手に走っていったらダメだよ?」


『わん!』


「って、アオイ?!」


やんわりとその犬、"モコモコ"を叱っている銀髪の彼、アオイの登場に驚くミント。


「え? ……。あ、ミント?」


名前を呼ばれ、アオイは彼の顔を少しの間眺めた後に応答した。


「わあ、こっちに遊びに来てくれたの?」


「え? や、そうじゃなくて実は……」


くすりと笑って嬉しそうに尋ねるアオイに、ミントはことの経緯を説明した。


「そうだったんだ……大変だね」


ミントの説明を聞き、アオイが言うと、


「あ、ねー、私たちの世界に来てたってことは、アオイはあっちに行く方法を知ってるのー?」


ココアが小首を傾げながら質問した。


「ううん。僕たちはマロに呼ばれてあっちに転送されてるだけから」


「……そっかー」


「うん、ごめんね」


少し間を置いてから答えたので、かなりがっかりしたのだと思い、申し訳なさそうに謝るアオイ。

しかし、ココアはがっかりしていたのではなく、自分の都合を完全に無視されて強制召喚されていた彼を気の毒に思っていたのであった。


「あ、でも死神さんは好きなときに行けるみたい」


「……」


「では、その死神さんはどこに?」


思い出したように情報提供したアオイに、だからあんなくだらない質問をしにわざわざ異世界から……とか思ったミントをよそに、アロエがさらっと質問した。


「あ、うん。ちょっと待ってて」


するとアオイはズボンのポケットからケータイを取り出して、死神に電話をかけた。


「「?」」


何あれ? 的な視線をケータイに向ける六人。


「……うーん、ごめんね。ダメみたい」


電波が届かない、とのお知らせを受け、アオイはぱたむとケータイを閉じて謝った。


「アオイ、それ何?」


「え?」


が、モコモコを撫でていたプリンに質問されたので、


「あっ、これは携帯電話だよ」


「けいたいでんわ?」


「えっとね、携帯する電話なんだよ」


アオイはそのままな説明をしてみせた。


「ぴわわ……すごい」


しかし、流石はものづくり会社の御曹司といったところか、自分の世界にはない便利道具に、プリンは驚きながら感心していた。


「それじゃァ、おにィさんの……えェと、キリサキ美容院って知ってるかァ?」


感心ついでに何か考え出したプリンの隣で、ポトフがアオイに質問した。


「え? あ、うん。知ってるよ」


その問いに、彼はこくりと頷いた。


「! ホントかァ?!」


「うん。僕の家の隣だよ」


「本当!? それなら、オレたちをそこに案内してくれないかな?」


「うん、いいよ」


ぱあっと顔を明るくしたポトフにアオイは再び頷いた後、ミントのお願いにくすりと笑って答えると、みんなを案内する為、モコモコのリードを握って回れ右をした。


「……あれ?」


が、彼はそこで動きを止めた。


「「?」」


どうしたの? と停止した彼に六人が疑問符を浮かべていると、


「……え……ええっと……ここ、どこだろう?」


アオイは、案内役が言ってはいけない言葉を口にした。

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