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エミの逃避行

馬鹿でもあほでもいいので何か感想くれるとうれしいです

 スラリーとエミはバーデン聖教の総本山サン・アラミノス大聖堂を目指す道中、スラリーはエミの身の上話を聞いた。

 そのことから実はこの二人にはかつて接点があり、これから落ち合う予定のサラとエミには深い因縁がある事が判明した。

 そしてサラの事を聞けばこのまま特異スライムとサラが合うことは好ましくない。

 これはきっとアスモデさまの失敗だ、できることなら、間に合えば、サン・アラミノス大聖堂に入る前の残りの二匹のスラリーを捕まえたい。

 「エミは魔王様のコトどう思ってるっぺ……?」

 「今は……なんとも思ってないわ、むしろ何も知らず利用されていた自分が悲しいのよ」

 「オラのことは嫌いだっぺか?」

 「どうして?あなたはあなたの仕事や役割があるだけじゃない、それで私があなたを恨む筋合いじゃないのよ、それに私を助けてくれたじゃないの」

 「サラ殿に会わすわけにはいかないっぺ、分かってくれっぺか?」

 「大丈夫だから、貴方の立場は分かってるつもりよ」

 「エミの魔王討伐は嘘っぱちだってわかったんなら、オラと一緒に魔王軍さ来てくれねえっぺか?」

 「スライムさんそんなにいっぺんに言われたら頭が混乱してしまうわ、少し考える時間を下さい」

 「オラはエミは大歓迎だっぺ」

 「ありがとう、スラリーさん」

 

この後数日間、大聖堂前で張り込んだ二人はどうにか残りのスライムと合流し、事なきを得た。

 「結局アスモデ様から言いつかった事全部破っちまったっぺ、でも仕方ないっぺ」

 合体し経験を共有し合ったスラリーはエミに愚痴る。

 「エミは当然、魔王城に一緒にいくっぺな?そうしないと行き場所がないっぺよ」

 「でも魔王サイドからしたら私を殺したいと思わないのかしら?」

 「大丈夫だっぺ、オラがついてるだ」

 「あらっ頼もしくて素敵よ!」

 「いやそういう意味でもねえっぺ、割と本気で魔王様はエミを歓迎すると思うっぺ」

 「そのこころは?」

 「魔王様、なんか人間さ興味抱いてるっぺ」

 「魔王は人間を全滅させたいって思ってはいないって事かしら……」

 「そう思って構わないって思ってるっぺ」

 「わかったわ、スラリー一緒に魔王城に行きましょう」

 勇者エミはスラリーと仲間となり、一路魔王城を目指すこととなった。

 「エミ、バーデン聖教会についてはどう考えてるっぺか?」

 帰路の途中スラリーはエミに問いただす。

 「いきなり核心的なことを聞くのね、それじゃ逆にスラリーはどう考えてるの」

 「オラは教会ってロクなモンじゃないって思ってるっぺ」

 「あらっ偶然かしら、私もそうよ」

 「エミは当然だっぺ、裏切られ利用されただけなんだっぺから」

 「ただ教会の持つ技術や特権、教区のネットワークは良くできている、いきなりこれを解体するのって危険よ」

 「腐りきった枢機卿たちを排除できればなんとかなるっぺ」

 「それだけでは駄目よ、人を纏め上げるにはやっぱり宗教は重要よ、いくらロクでもないものだとしても」

 「どうしたらよかっぺ?」

 「その先は魔王城に帰還した後話すことにしましょう、きっと建設的な議論になるはずだから」

 スラリーは人目につかぬように五つに分裂、それぞれが別々のルートで魔王城へ向かう。

エミとスラリーは山岳ルートを目指すことに決まった。

 一つ困ったのはエミの食料だった、寸鉄も持たずに逃走してきたためにエミはスラリーに頼んで首都郊外、一軒の鍛冶屋からナイフを一本拝借する様にしてもらった。くれぐれも殺しはしない様にも頼んだ。

 「別に人間殺すのなんかどうでもよくないっぺか?」

 「戦じゃないんだから、無暗に殺すべきじゃないの、それに人目につくのは良くないわ、ナイフ一本だけ盗ってきて」

 「分かったっぺ」

 音もたてず、スラリーは鍛冶屋の裏手から滑り込むように侵入し、ナイフを一本拝借する。店の職人誰一人として気付くものはいない、訓練を重ねることにより随分スラリーは移動は素早く、動作は正確になっていった。

 ナイフを手に入れた一行は山裾の村に向かいそこである奇妙な話を耳にした。

 神の啓示を受けた少年が現れたと言うもので、その少年は神から授かった手紙を証拠に少年少女を集めている。といううわさ話だ。

 なんでもその少年は大層美しく、主に辺境の村を渡り歩いてるとのことだった。

 村を通過するだけのエリとスラリーだったがエミは何か嫌な胸騒ぎがしていた。

 山裾から山に入ったエミは水辺を確認し、

魔法「イグニス」で火を起こし、衣服を脱ぎ川に入る。眼を閉じ意識を統一する、指で印を組み、「クレピタス」と唱えた。

 刹那、爆音とともに水柱が上がった。

 爆音に驚き、蛇が数匹上から落ちてくる。それをエリは見逃さなかった、素早く素手でひっつかみ、ごく小規模な爆破の呪文で頭を破裂させ岸辺へ放り投げてしまう。全ての蛇をそうした後、水に浮いた魚を数匹放り投げるのだった。

 かなり水は冷たい、水から上がったエリは火に当たり、冷えた体を温めた。

 蛇はナイフで切れ目をいれ、頭のほうから皮を引っ張っていけば内臓ごと綺麗に剥ける、後には綺麗なピンクの肉が残る。

 魚は尻からナイフを入れ頭に向かって腹を裂き、内臓およびエラを手で抜き取り、血合をこそぎとり、水で洗った。

 本当は塩が欲しいのだが、塩は貴重品、我慢するほかない。

 まだ明るいうちにエミは穴を掘り、そこに燃えている炭を放り込んだ。そしてその上に枯れて落ちた広葉樹の枝や葉を入れそこに枝に刺した蛇と魚を並べていき、生木の葉で蓋をして煙でいぶすのだ。

 これで当面の食料は確保できた。幸いにもこの山脈は湧き水が豊富であちこちにある事は経験で分かっている。

 もう今頃は枢機卿やエミが消えたことでクラベリア娼館は大騒ぎになっているはず。

 もしかしたらバーデン聖教会の追手が、いえ刺客が、差し向けられているかもしれない、でも山の中に入ってしまえば幾分は安心できる。

 「男たちに抱かれない夜なんて、ホント久しぶりです。スラリー有難うございます」

 プルプル震えて眠っているスラリーのそばでエミは囁いた。

 今夜は赤い大きな満月が出て、遠くから鳥の群れのせわしない鳴き声が聞こえた。

 昼に通過した村の噂話がふと思い出され、漠然とした不安感がエミに湧いてきたが、心地よい眠気に流されてしまった。

 翌朝、日の昇らないうちからエミとスラリーは出発した。

 薄明るい空に映える木々のシルエット、そこに小動物の姿があった。小動物を主に捕食するスラリーには感知ができた。

 偶然にもスラリーは空にそのモモンガが滑空する姿を目撃する。

 「あっあれは何だっぺ!」

 スラリーには見えても、人のエミには視認できない大きさ。

 「何もみえないわ……」

 「何か尾っぽのあるネズミが空さ飛んでったっぺ、エミなんか知ってぺか?」

 「ああそれならきっとモモンガのことよ、良く見つけられたわねえ、ラッキーだわ」

 「モモンガって鳥には見えないっぺ」

 「私も詳しいコト知らないけど、たしかねずみとかリスみたいな動物よ、鳥の様な羽は持っていないはずだわ」

 「ほえ~~世界は広いっぺなあ。こらきっとゴブリン先生さ知らねえっぺな、いや旅さ出て良かったっぺ」

 「空を飛べたら楽しそうね」

 この何気ないエミの一言がスラリーの頭に電撃の様に走る!モモンガ、スラリー、滑空、空を飛ぶ、山岳……!

 しばしブルンブルンと震え考え込むスラリー。

 「どうしたの?大丈夫?私何か変な事いった?」

 スラリーの眼がカッと開く。

 「頂上さ急ぐっぺ!」

 ラギオール大陸中央部を貫き、空を支えるラ・パズ山脈の峰々の真ん中辺りは比較的低山だ。

 標高はほぼ二七〇〇尺(八七七メートル)勾配はなだらかで、麓から頂上までは四刻程で登り切れてしまう。

 だがこの時二人は走った、息を切って走り抜けた、何事か理解できないエミではあったが、勘がささやいていた。急いだほうがいいと。

 スラリーは蛇の様に進むのが最も早く移動できる、その速度は大人の全速力程だ、だけどエミも負けていなかった。元は勇者に志願するだけのことはあり体力には自信があった。

 「エミすごいっぺ!流石もと勇者だけあるっぺ!もうすぐ頂上だっぺ!」

 はしゃぐスラリーは一足先に頂上に着き、なんと切り立った断崖から空に向かって飛び降りた!

 「あっ!スラリー!ダメ!その先は……!」

 だがその瞬間、スラリーのまんじゅう型の体はこうもり傘の様に広がり、凧の様に舞い上がった!

 この日偶然にも快晴の為、崖の下から強い上昇気流が発生し、スラリーの体を舞い上げたのだ!

 スラリーの意識は最初は落下するものだと覚悟してのダイブだったが、意識に反して体は浮きあがり、一気に上昇に転じる!

 落下する覚悟と意識に反し体感として上昇するという心と体のアンバランス?矛盾?一体感?浮遊感?飛翔?この感覚を言葉に表現できないスラリー!

 スラリーの混乱をよそにみるみる上昇する身体に、遠ざかる頂上!

 上昇気流に横風が加わりバランスを崩しそうになるスラリー、しかしそれがきっかけになり平衡感覚を取り戻すことが出来る。

 風の向きに体を立て、らせんを描くように更に上昇し続けるスラリー。どうやらコントロールのコツを掴んだようだ。

 頂上よりはるか上空で旋回を続けるスラリーの感動をどう表現しようか?有頂天!天にも昇る気持ち、景色は絶景、初めての大成功に感じる絶頂の多幸感、全てが生まれてはじめての経験!


 冷めやらぬ興奮の中、地上を見わたすと、そこにはあやしげな者達がエミのいる頂上に接近しているのが見えた。

 

少し疲れてきました、どうしていいのかよくわかりませんです。

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