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スラリーの体のヒミツ

 スライムのスラリーの体形は、まんじゅうの様なドーム型だ。コロコロ転がったり、ポヨンポヨン跳ねたりもできる。

 かなり形を変えることもでき、極端な話、人型を取ることもできるが、ちょっといびつだったりする。

 目はゼリー状の体の中に浮いており、二個ついている。後ろを見るときはどうやら眼球自体が回転する、なかなか便利な奴。

 鼻や耳は確認できないが、会話が可能なため、また食事の味がわかるなどのことからそういった器官はついていることは確かだ。

 口は喋るときに、体の一部が開き、いや穴が開くといったほうが正しい。発声するのであるが、食事は体のどこでも食べれる、いや溶解できる。

 「我々はスラリーの体に興味をもっているスラリーの体は分裂できるか?」

 「分裂ってなんだっぺ?オラはオラだっぺアスモデ様」

 「ならば、スラリーの体をこの剣で分割できるか試してみよう」

 「なななな、何さ怖いコト仰るっぺ!オラの事切るいうだか?かんにんしてけろアスモデ様~~!」

 「スラリーよ何もお前を殺すつもりではない、元々のおぬしの大きさ、ほれあのかぼちゃ位の大きさをまずは切り出してみるのじゃ」

 「やややや、やっぱり斬るつもりだっぺ、おら痛いの嫌だっぺ~~!」

 そういってスラリーはポヨンポヨン跳ねながら部屋中をアスモデから逃げ回った。

 「待てスラリー、痛くはしない!こら!待てと言ってるだろう!」

 「おらスライムは雑魚キャラだっぺ、虐めねえでくれっぺ~~!」

 「その雑魚キャラを直すために必要なことなのだ」

 「オラの体刻むことが、何でそういうことになるっぺ?おらバカだからよくわからないっぺ」

 「いいから大人しく斬らせろ!」

 「怖いっぺ、ホント怖いっぺ、斬るだなんて言われたら逃げるっぺよ!ゆるしてくんろアスモデ様~~」

 スラリーの部屋は大きな倉庫位でだだっ広く。アスモデは往生したが、最後には口から火炎を吐くと、スラリーも怯え動きを止める

 「ひっひひひっひ火だけは、かかっかんにんしてけろ!オラもう逃げないいいいっぺから」

 スライムの弱点は火だ。巨大なスライムとても生来の弱点には違いない。もはやアスモデの吐く火炎位では大したダメージをスラリーが受けるとは思えないのに本能的に震え上がるスラリー。

 「わ、分かったぺ……痛くしないで、くんろ……体の一部さ膨らますっぺから……」

 そういってスラリーは右の方に、かぼちゃ状のこぶを作ってアスモデに差し出した。

 アスモデは黙ってその瘤を切り落とした。

 「あいやー痛いっぺ!って……程ではなかったぺや……、アレ、オラ切られても痛くないっぺか?」

 切り落とされたスラリーの一部は地面に落ち、ポヨンとバウンドしてから着地した。

 そして何と!透明の体の中から二つの目が生成されたのだった!!

 「なななな、なんだっぺ!オラからオラがうまれたっぺ!」

 「すごい、魔王様のおっしゃる通りになった……」

 「「オラがオラをみてるっぺ!」」

 

 その後、アスモデは小スラリーの知能や運動能力をテストした。

 結果は大スラリーと比べ、知能には差がない事、運動能力は体格により違いはある事が判明。

 またこの小スラリーに知識を吸収させ、小スラリーを大スラリーに戻すことが可能かのテストが行われた。

 「いいかスラリー、お前には陣形というものを覚えてもらう」

 「それって食い物だっぺか?なんか不味そうだっぺ」

 「食い物ではない、戦での部隊の展開を決める重要な戦術のことだ」

 「難しくて何を仰ってるかオラ分からないっぺ」

 「そんなこともあろうかと、ほれ、陣形の概略図を書いてきたダイジェストがここにある。見ただけで分かる様になっている」

 「さすがアスモデ様、絵だったらオラでもわかるっぺ。おうたい、かくよく、ほうし、……なんか字が難しいっぺ……頭さはれつしそうだっぺさ……」

 小一時間ほどの講義が行われ、どうにか陣形を理解したスラリー。疲れのためかまんじゅう型が崩れ、つぶれた様に平たくなってしまう。

 「では最後に元いたスラリーと融合してみるのだ」

 「よくわからねえっぺが、くっついってみるっぺな」

 そういってスラリーはコロコロ転がり、大スラリーにポヨンとくっつき融合した。

 水に水を溶かす如く二つのスラリーは融合し、小さい目玉のスラリーは溶けていった。

 「スラリー今講義したことは何だ?

 期待を込めてアスモデがスラリーに問いかける。この成否によって魔王軍の将来が、魔物達の生死が、人間との戦の勝敗が決まる。

 「……陣形だっぺ?おうたい、かくよく、ほうし、……レギオーなんかがあるっぺ」

 スラリーはブルンと体を震わせる。

 「!……大成功だ!でかしたぞスラリー」

 「オラなんか疲れて腹へっただ~、残飯でも何でもいいから喰わせてくんろ~」

 「おお、おお、おお!もちろんだともスラリー、間もなくバーデン聖教会から罪人どもが送られてくる。悪党どもだ、腹いっぱいくらうがいい!」

 その日、教会より二頭立ての馬車が、二台魔王城に向かっていた。先頭にはつい最近司祭に昇格したサラが煙草を咥えながら馬の手綱を握っている。

 このフティング帝国は政教一致主義で、バーデン聖教会は国民に強い影響力を持ち、聖典による道徳、倫理、社会常識は通過儀礼や年中行事を通じ人々の中に根付き、皇帝が教皇に逆らえないほどである。

 また科学技術の研究に最も力を注いでいるのはバーデン聖教会であり、サラの操縦する馬車のしなやかなサスペンションや画期的な軸受などを考案したのもバーデン聖教会であることなどからも教会の力がうかがい知れよう。

 その教会において急に頭角を現してきた少女サラ、女性ながらにして初めて司祭に上り詰め、前途洋々である。

 そんな各馬車には強盗、殺人、強姦などの罪を犯した重大犯罪者を男女合計四十人、両手足を縛り詰め込んでいた。

 「全く、こんなクズどもを一体どうするつもりなのかしら、魔王様のお考えになることは私ら一般にはわかんないわ~。あはっまあ大方魔物の餌にでもするのかしら?」

 そう独り言ちたサラは煙草を咥えたまま邪悪で嗜虐的な笑みをうかべ、馬車を停車させた。

 サラはもう一台を運転する従者に命じ、禿げ頭の大男を一人、荷台から降ろさせた。

 この禿頭は強盗、強姦、殺人で絞首刑が確定するはずだったところ、魔王に指名された奴だ。

 サラは黙って咥えていた煙草を禿頭に押し付けた。

 「ぐむううううううう」

 禿は口にさるぐつわを噛まされ、声にならない悲鳴を上げ、顔面を赤黒く怒張させた。

 赤鬼のような眼で禿はサラを睨んだ。

 ごきりっ!肉と骨の潰れる音がした。

 サラはその眼を見、反射的に禿の鼻っ柱を膝蹴りで潰していた。

 「ぐおおおおっ」

 もんどり打ち逃げようとする禿の耳を両手で掴み引き寄せ、そこに膝を何度も何度も打ち付ける。

 「お前の様な、男が、いるから、父さん、母さん、妹、弟が、死ね死ね死ね!私が、修道院で、どんな、酷い目に、遭ったと思ってるんだ、許さない、あの変態、修道士、毎晩毎晩、子供達を、わたしを!」

 ついに禿の左耳がちぎれ、それ以上は膝蹴りを続けられなくなってしまう。

 「はあっはあっはあっはあっはあっはあっはあっはあっはははははははははあはは」

 肩で息しながらサラは笑う、方や禿は鼻がつぶれ、さるぐつわのせいで呼吸もままならない。潰れたカエルのような声を漏らしている。

 「魔王は生きて罪人を引き渡せって言ってたわよね。じゃあ殺さない限り、何やったっていいって事よね?」

 そういってサラは禿の股間に手を当て、「クレピタス」と静かに唱えた。

 サラの手のひらが弾け飛び、禿げの性器を吹き飛ばす。禿げはもんどり打ち、じたばた暴れ、口角から白い泡を垂らし、全身を痙攣させ遂には気絶した。

 事の成り行きを黙ってみていた従者だったが、そっと禿に近寄り股間に手を当て、「クラチオナム」と唱え出血を止めたのだった。

 その行為を見ながら、白けた表情で煙草を咥え直し紫煙を吐き出した。

 一部始終を見ていた他の罪人たちを眼で威圧すると、全員が目をそらし、それからは、何事もなかったように馬車は出発した。

 

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