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燃えるような愛の台詞

作者: 一ろと

「なんて迷惑な呪いなのかしら。あの人も私も」


我儘なオーナーに付き合わされ長くやってきた店で、夜はお酒を提供しているが、この時間帯は準備の為にも店の扉は開いている。

ふらりと知り合いが来れば、邪険にしたりも過剰に持て成したりもしないが、案外、その為にも開けているのかもしれない。

カウンターに備え付けられたオーナーお気に入りの席の隣に座り込んだ彼女に外は熱かっただろう、と冷たい麦茶を出してやる。


浮き出るグラスの雫を指先で拭いさりながら、落ちゆく水滴の代わりにポツリと唇から溢れた言葉。


「だって、そうでしょう?こんな痣があるせいで、あの人は毎日私に愛していると言わなければ、私は毎日あの人に愛していると言われなければ死んでしまうのですもの」


この暑い日に羽織られた長袖をめくり、現れた細く嫋やかな腕に記された炎を象った禍々しくも神秘的な痣。


「燃えるような恋…ってね」


美しさを全く損なっていないが初々しいというには幾分年嵩な女性の、可憐な少女めいた笑み。

哀しく愛しげな。


何時しか、お伽話のようにともすれば歌のように彼女が紡いだ物語は、聞く人によっては作り話だろうと一蹴して終わりだろうが、何せ、この店の者や知り合い達、はたまたお客の果てまで変わり者が多いせいで、すんなりと真実なのだと受け入れられた。


曰く、昔とある国に愛し合う男女が居て、ただ、愛し合っていると思っていたのは女の方だけで、男は女の事を裏切り別の女と逃げ去ってしまったのだそうだ。


女は悲嘆に暮れて我が身を焼いて死に、男もまた、何故か焼身自殺を図ったという。


それからその一族には互いにひとりづつ、十歳になった日を境に炎の痣が浮き出る子供が現れ、目の前の彼女達は三代目なのだそう。


呪いを背負った初代は知らずに死に、二代目は気付いて試したが手遅れで、三代目は現在に至る。


「けど、そろそろこの迷惑な呪いも解けそうよ。彼の方の痣が小さくなってきてるみたいだし」


切なげに微笑む彼女に、それは良かったな。と返せば、


「ええ、これで彼も誰かに本当の恋が出来るわ。だって、今の状態じゃあ、恋人を作ったとして、愛してるだのなんだの言ったり言われたりする訳の解らない関係にあるなんて嫌でしょ」


じゃあ、ただ涼みに来ただけみたいで悪いけど、この後約束があるからもう行くわ。今度は夜に彼と一緒に呪いが解けたお祝いとして来るから。


ああ、楽しみにしてるぜ。と言えば、艶の乗った唇で微笑を返し、彼女は去って行った。




先の刺すような陽射しもそろそろと隠れ始めた頃に、扉に掛けられた板っきれをひっくり返す。

芸術家気取りの友人からの貰い物で、見れば辛うじて開いてるか閉まってるか解るくらいの出来で、洒落た店には少しだけ不似合いだが、オーナーが気に入ったせいで開店当初から役目を果たし続けている。


「あ、ちょうど開いたところでしたか」


背後から声をかけられて振り返れば、見知った顔が。


「どうも、ご無沙汰です」


爽やかな笑みを浮かべた紳士に、いらっしゃい、久しぶりだなと客商売には不向きだとオーナーには散々笑われた笑みとともに挨拶を交わす。


店に招き入れ、好きな所に座んなよと言えば、紳士はカウンターに備え付けられた席に着いた。


そこは、


「お昼過ぎに、彼女がご迷惑をおかけしたそうで」


紳士が彼女というのは昼間に涼みに来てファンタジックな話しをしていった彼女のことだ。


紳士が座った場所も昼間の彼女と全く同じ。

店に寄った話しはすれど、まさか、座った場所の話までしないだろうが、やはり長く共に居ると似てくるのだろうか。


頼まれた銘柄のビールとツマミを出してやる。


礼を言って受け取った紳士は、ふたくち程飲んだあと、

「…彼女、痣の話しをしたでしょう」

と切り出した。

頷けば、

「聞きましたよ。僕の痣が消えて呪いが解けたら夜にここで飲んでお祝いだと」


ああ、待ってるぜと言おうと思い、口を開きかけ、紳士が死地へと向かう戦士の表情で軽く横に頭を振ったのを見て止めた。


「近い内に、僕は死ぬでしょう」


シャツの袖を捲り上げ見せられた痣は昼間彼女が言っていたように確かに消えかかっている。


「僕にかけられた呪いは彼女に毎日愛してると言わなければ死ぬ呪い。彼女は貴方にそう説明しましたか?」


ああ、確かにそう言った。


「アレ、実は違うんです。僕もそうであると信じていた。けど、学生の終わり頃に出てきた僕の一族の二代目が書いた古い手帳を読んだんです。僕にかけられた呪い。それは、彼女に愛を告げる度に寿命が減るというものでした。多分、この腕の炎が尽きれば死ぬのでしょう」


何て応えたら良いのか解らない。だが、紳士の瞳には絶望や恐怖といった暗いものは伺えず、覚悟を決めた柔和だが強い光が灯って見えた。


「正直、僕が亡くなった後の彼女の呪いが心配だ。でも、僕が呪いを果たして居なくなれば、彼女の呪いは消える気がするんです。なんなら、僕が持っていく」


どうして、そこまで?大切な友人だからか。と尋ねれば、


「僕と彼女は、友人というより運命共同体だった。長い間…。初めて出会ったあの日は雨降りで、何故自分がこんな呪いを受けなければならないんだという憤りと恐れ。挨拶も無く、僕は彼女にそれらをぶつけるみたいに言ったんです」


一旦言葉を切り、ビールを一度煽る。


「僕はバカバカしい呪いのせいで心にも無い愛を告げなけれならない、見ず知らずの君なんかより、この頬を伝う雨の方がよっぽど親しみを感じるよ。って」


彼女も同じ立場なのに、酷い八つ当たりでしょうと自嘲を浮かべ、さらにビールを喉に流し込む。


グラスが空になったのを見て、新しく注いでやり、奢りだと言って出してやる。


ありがとうございます、と頭を下げて受け取り、今度はそれを唇を湿らせる程度に舐め、


「…そうしたら彼女、慈愛に満ちた笑みで『ありがとう。例え貴方が嫌々言っているのだとしても、私に愛を示す人は居ないから嬉しいわ。大丈夫よ。私達の代で、いずれ呪いが解けて、いつか、その雨の雫よりもきっと貴方の心に染み込んで、貴方が心から愛を告げる人が現れるわよ。だからそれまで、私と共に、この馬鹿みたいな呪いと戦いましょう』って言ってくれたんです」


そういえば以前、彼女が、呪いが現れる子の家庭は複雑になるのが常だと話していたのを思い出す。

だからこその彼女が、紳士に向けた言葉なのだろう。


「あの時から彼女はスッと僕の心に入り込んで、誰よりも何よりも近しい、愛する存在となりました」


将来、呪いが解けてこの痣が消え、役目としてでは無く愛を告げて、玉砕したとしても愛し続けるのが夢だったんですが、こうなったら、彼女の呪いが解け、彼女に愛し愛される人が出来て、幸福で自由な人生を送れるようにあの世でも祈り続けます。


どこか吹っ切れた笑顔を見せ、ビールを飲み干すと、ご馳走様と言って紳士は財布を取り出したから、今日は俺の奢りで良い、惚気話への礼だ。と押し留めれば紳士は遠慮したが、再度良いからと支払いを拒否すれば、ありがとうございます。本当にご馳走様でした。とちょっと申し訳無さそうに笑って会釈して帰って行った。


開いたドアの隙間から侵入した風は、夏だというのに冷たいものだ。





あの日から緩やかに気温が下がりっぱなしだった。

夏季限定の酒を出した以外、夏らしいことは何もしていないが、もう、秋が来ているのかもしれない。


オープンまでまだ早く、少し肌寒く感じるが、店の前でも掃くかと箒を手にドアを開ければ、


「あっ…と、こんにちは」


青白く憂いた表情の彼女。先日会った時よりも身に纏う衣服が一枚増えていた。紺色のカーディガン。


「また、こんな時間にお邪魔してごめんなさい」


いや、気にしないでくれ暇で退屈していたところだ。

前回と同じ席に座り、テーブルの上で互いに温めるように握られた両手の震える白い指先を見て、暖かい紅茶を出してやる。


紅茶の淹れ方なんて知ら無いからインスタントで悪いなと断りを入れれば、


「ううん。ありがたいわ」


と笑う口元には覇気が無く。


どうした?と問えば、


「あの人、もうダメかもしれない」


告げられて息を飲む。


「私が…殺したようなものだわ」


おいおい、それは違うだろうと否定すれば、縋るように両手に持った紅茶の入った温かいカップに俯いて額を押し付け、


「…っだって、彼にかかった呪いが、私に愛を告げるたび、死に近付く呪いだったんですものっ」


涙を堪えた声で悲鳴みたく吐き出した。


それでも耐え切れず、零した水滴は彼女の頬を伝い落ちる。


暫く黙って見守りながら、溢れ続ける雨が止むのを待った。




「…今、病院に言って来たの。身内と名乗れる者は彼には私しかいないから、本当はずっと側に居たいけれど、彼、死の淵にあっても譫言のように私に愛を囁き続けるから………」


言外に、私のせいで彼の死を早めてしまうと悔やんでいるのが見て取れた。


「バカよねぇ。私に愛してるなんて言わなければ、彼だけは生き延びれたのに。彼が学生の頃に見つけたと白状した手帳を読んだわ。初代と二代目は女の方は早死にして、男の方がずぅっと長生きしたそうよ。呪いは解けて無いから継承されているけれど」


自身を嘲るように鼻先で笑い、独り言めいた台詞から伝わる哀しみ。


それでも彼は、毎日愛を告げた。

何故だと思う?などと問わなくても彼女はとっくに理解しているのだろう。

だったら代わりに、


「彼の愛に応えたことはあるのか?」


少しばかりのお節介だ。


「え?」


「お前も彼を憎からず思っている。だろう?」


「そうね、愛しているわ。毎日愛してると言われ、時折、花束やちょっとした贈り物付きで告げられて、他人には刷り込みだと言われそうだけれど、初めて会った時の不貞腐れた顔が可愛いと、理不尽な呪いを受け入れるんじゃ無くて怒りを剥き出しにできるこの子とだったら、呪いに敗れて死んでも良いと思った。でも…ダメよ」


愛を滲ませ滑らかに動いていた紅い唇が歪む。


「何が駄目なんだ?呪いで死ぬのが?それとも愛し愛されるのが、か?」


苦しみを通り越し、無表情となった女の顔を伺い尋ねる。


「どっちもよ。彼は自由にならなくちゃ。私達が互いに愛し合うようになったとすれば、それは運命に取り憑いた呪いと同じ。それこそ、刷り込みよ。私は彼に一生分の愛を貰ったから充分だけれど、彼には、呪いから解き放たれて、彼が何のしがらみも無く選んだ人に愛を告げて欲しかった。」


「でも、それも…今更の話よね」


後悔と諦めの滲む声。


重い沈黙が落ちる。


やがて彼女は、ほんのりと窓から入り、彼女の顔を照らしていた陽が完全に隠れたのを皮切りに、本当に、ごめんなさいね。あんな時間に来て長々と愚痴って、そろそろ病院に戻らないと。お茶、ごちそうさま。と、力無く笑い、立ち上がった。


「待て。ついでにこれも飲んで行け」


差し出したのはオレンジと赤と少しの青い液体が混ざり合うこと無く小さな空間に収められたカクテルグラス。

曇りを知らない硝子は彼女の困惑と彼への思いで沈んだ表情を映し出す。


「…お酒?でも、私これから」


病人を見舞うのに酒なんてと言いたいのだろうが、

「ここは有り触れた酒場で、扉の表の装飾もダサいし、店も小さなものだが、ウチはオーナーの意向でちょっとばかし、おかしな酒を平凡よりもちょいと変わった人生を歩む客、もしくは気に入った客に出しているんだ。お前達はどっちも当てはまるし、友人だからな。特別だ」


「変わったお酒?」


「燃えるような恋、なんだろう。このカクテルの名はflamma、炎そのもの。材料は秘密だ。飲んで彼に会いに行けば何か変わるかも知れ無いぜ」


「そう…ありがとう」


訝しげながらも彼女はカクテルを一口、含むと


「甘い、グラスも液体も冷たいのに、けどなんだか熱く感じる」


「そりゃあ、炎だからな」


グラスの中身を飲み干すと、空になった器を渡し、


「ごちそうさま。お代払うわよ。お幾ら」


「いや、これは俺の奢りだ。材料も貰い物だしな」


「そんな訳にはいかないわ。愚痴を聞いてもらって、暖かいお茶に、その上特別なカクテルまで」


「だったら、今度来てくれた時にその酒の効果を教えてくれればそれで良い。作った身としては気になるんでな」


「わかったわ。本当にどうもありがとう」


彼女は来た時よりは幾分マシな顔色で去って行った。


開店当初から扉に掛けられた板っきれ。あの不細工な工作物のオマケに貰った、フェニックスが焼死した後に残されたとされる灰。

出処は眉唾ものだが、オーナーの見立てはいつも確かだ。

あの人、本当はそれが欲しくて喜んで受け取ったんじゃあないだろうか。


それを使ったカクテルを飲んだ彼女。


なんせ初めての材料で作ったカクテルだ。飲んだ後の事なんてわからない。秘められた力を扱えるかどうかは彼女次第だ。


さて、どうなることか。





真っ白で広い病室。ずっと、呪いと縁の薄い家族の代わりみたいにお金だけはあった一族だったから、こういう時に事欠かない。


同じく白で統一された寝具と同化しそうなくらい、血色が悪い患者の顔を眺める。


「アキラ…」


起こすつもりは無かったけれど、アキラが居るのに独りぼっちになってしまったような静寂が堪らなくて彼の名前が口をついて出た。


昔から羨ましかった長い睫毛が震えて持ち上がる。


「…ミホ」


ミホと己を呼ばわった彼の濡れた栗色の瞳にしっかりと映る自分の姿を見て、彼はまだ、大丈夫だと安堵した。



「ごめんなさい。起こしてしまって。でも、昨日よりは元気そうね」


嘘。これはミホが自身へ暗示をかける為の言霊だ。彼は昨日より元気になった。彼は呪いで弱っていってなんかいない。彼は、死んだりしない。


だけど、実際は前日より声にも生気が無く、呼吸も苦しそうだ。


事実、日に日に弱っていくアキラ。


「昨日…か。じゃあ、今日はまだ君に伝えていないんだね。ミホ」


「ダメよ、やめて。もっと元気になってからで良いじゃない。退院してからだって充分よ。本当は毎日なんて必要無いかもしれないわ。伝承なんてデタラメで、もしかしたら私達の呪いなんてとっくに解けているかもっ…っ」


根拠の無い楽観的な言葉を早口で並べ立てていると、アキラの布団にしまってあった手が伸びて来てミホの呪いの印がある方の手を取る。


子供の頃から冷え性であるミホの指先は冷たくて、寒い季節になると体温の高いアキラが折に触れては両の手で包み込み撫で摩って温めてくれた。


でも、今のアキラの指は、入院当初からだんだんと細くなり、温もりすら失い、冷え性で年中冷たいミホの指よりも冷たくて氷のようだった。


「ミホ…」


「やめて…お願いよ」


哀願するミホへ、表情を作るのすら億劫なくらい弱っているのに、精一杯口角を上げて微笑むアキラ。


「…ミホ、愛してる」


出会ってから今迄、日々告げられてきた愛の台詞。

最近は、気障でこちらが聞いている恥ずかしくなるような長ったらしい文言が付いていたけれど、今日は出会った時のようにシンプルで、それでいてあの頃より、これ迄より一層の気持ちがこもっているとわかる告白。


まるで最期、みたいに。


ミホは、徐々に力の弱まり、零れ落ちそうなアキラの氷のような手を、いつもアキラがしてくれたように両手で包み込む。


すると、胸の辺りに火が灯った気がした。


火は、さらに激しい炎となってミホの内を暴れ、吐き出させようと燃え盛る。


「聞いて、アキラ」


生気が失われ、虚となったアキラの瞳に呼びかける。


「私も、アキラを愛してる」


炎に突き動かされて長い間返せなかった愛が、同じかそれ以上の熱量を持ってミホからアキラへと告げられた。

ミホの内から告白と一緒に飛び出した炎は鳥っぽい形をしていて、繋がれた二人の手の上に降り立ち、そこからアキラとミホの全身へと伝え燃やす。


一番荒々しく燃えているのは二人の痣だ。


熱くは無い。ぽかぽか、という擬音が相応しい暖かさ。


やがて鳥の姿は透き通り霧散する。


気付けば、呪いの証は燃やし尽くされていた。


「ミホ、もう一回言って」


再び生気を取り戻したアキラの瞳。


声や呼吸にも力強さを感じられる。


寝返りすらままならなかったのに起き上がり、空いている温まった指先で、ミホの顔に垂れた癖のある赤い髪を耳に掛けてやり、頬を撫ぜ、目から溢れて止まらない水滴を拭う。



あなたが退院したら、やっと、夜にあのお店でお祝い出来そうね私達。


きっと、すぐよ。


今度は嘘や誤魔化しの為の暗示では無く、事実だった。






「あれからもう、何度も言って欲しいって催促されちゃって…困った人よ」


「けど、それ以上に愛を告げてんだろう?アキラは」


「勿論ですよ。ミホは僕の最愛の女神ですから」


所謂、惚気である。


カウンター席の端からオーナー、ミホ、アキラの順に座り、バカップル二人の会話を根掘り葉掘り聞いては口を挟み、更に惚気させているオーナーという構図だ。


この人には大恩もあり、敬愛もしているが、いかんせん、自由で気儘で悪趣味な所が昔から頭痛の種だ。


「あら、もうこんな時間。そろそろお暇させていただくわ」


「早いな。まだ閉店前だぜ」


「明日は早朝の便でミホと旅行に行く予定なんです。僕達、結婚はしたけど仕事の都合で新婚旅行は先延ばしになってしまっていたから」


「なるほど。そいつは良いな。楽しんで来いよ」


「ええ、お土産、期待していてね」


待ってるぜ。

じゃあご馳走さまでした。


賑やかな別れの挨拶を済ませ、店から出て行く二人を見送った。


夜の外はだいぶ寒いが、身を寄せ合って歩く二人なら平気だろう。


「良かったな。お前が救ったんだ。さしずめ愛のキューピッドってやつだ」


オーナーに言われて自身の愛のキューピッド姿を想像する。


おっさんのキューピッドなんて幻滅だな。


だが、危険な物もあるから、定期的にやる備品のチェックはオーナーも共にしているが、無断で貴重な材料を使った事がバレているだろうに、責めも詮索もせず、嬉しそうに誇らしげに笑むオーナーを見て、それも悪くないなと思ってしまった。





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