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第3話

 


 俺とティナの二人は店の食材調達の為に港に向かって歩いている。

 隣で歩くティナは、干物女から、胸のサイズ以外に特に欠点等無い完璧美人にクラスチェンジしていた。

 ここまでもってくるのが大変なんだ・・・



 まずは、目が覚めたはずなのにまたベッドに入ろうとしているティナを部屋から追い出して、洗面所にぶち混む。

 そして汚部屋を漁り、その日着せる服をや下着を探し出して顔を洗っているティナに渡す。

 着替えを待つ間に、今日必要な物をピックアップし、メモにとっておく。

 それから様子を見に行くと、今度は壁を背に座り込んで寝ていたので、全裸にひんむき 無理矢理着替えさせた。

 干物モードのティナの裸などにはもう動揺も興奮もしない位見慣れているので、容赦無しだ。

 最後に椅子に座らせて、ボサボサの真っ赤な髪を丁寧にすき、トレードマークのポニーテールにまとめてやると・・・



 完璧美人の完成だ。



「ありがと~ね、セイジ♪」



 ようやく完全に目覚めてパーフェクトな笑顔を向けて来た。



 ちくしょう、やっぱり可愛いな・・・



 今でこそお世話しっぱなしだが、俺がこの世界に来たばかりの頃は、完全に逆の立場だった。

 言葉も文化も違う異世界に来てしまい 、戸惑い、精神的にも不安定だった時期に、甲斐甲斐しく世話をしてくれたのは、まだ少女だったティナだ。

 だが、俺が徐々にこの世界に慣れ始めていくにつれ、世話の必要が無くなってくると、何故かティナが俺に甘えてくる様になり、だらしなくなってきた。

 死んだ親父は「ティナは、お前が一緒に暮らし始める前はこんな感じだったぜ、年頃だったから気にしてたんだろうが、もうお前の前で本性出してもいいと思う位には気を許したんだろう」などと言っていた・・・

 出来れば、そんな本性は隠しっぱなしにしていて欲しかった。



 何はともあれ、やっと出発したんだが。



「おっ、ティナちゃんおはよう!

 ついでにほろ酔い亭の若旦那もおはよう」


「おはようございます、おじさん。

 毎日薪割りお疲れ様です」


「・・・おはようございます・・・」


「おはよーティナ姉ちゃん♪

 あっ、なんだ、セイジも居るのかよ。

 ちぇ、一緒に遊んで欲しかったのに」


「おはよ~アール君、今日は早起きだね♪

 でもごめんね、今日はお買い物の日だからまた今度ね」


「・・・おはよ・・・」


「おはよ~ございま~す。

 今日こそ隣のみすぼらしい男と縁を切って私と永遠の愛を誓いませんか?」


「一昨日来やがって下さいね♪」


「・・・・・」



 ・・・と、まあこんな感じで方々で声を掛けられてなかなか進まない。

 その上、どいつもこいつも俺をおまけ扱いしやがって・・・

 まあ、最後の奴には多少同情する、色々な意味で・・・




 普段一人で歩けば7~8分で到着する港に着いたのは、自宅を出て30分程経ってからであった。

 他所行きモードのティナの人気は凄まじかった。






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