甘党、現る
もう一人の青年は先ほどの場所を離れ、さっさと晃の家に向かっていた。
大事そうにコートの中の温かみを、持っていた。
温かみを何回か見ては、満面の笑みを浮かばせる。
そうこうしていると晃の家に着き、にやつきながら、ドアを開けた。
「お待たせ~。晃買ってきたよ~」
もう一人の青年はドアを閉めながら言う。
「紘斗、お前遅かったな~。どこいってたんだよ」
晃はスプーンでココアの素をコップにいれていた。
「ちょっとね~…猫がさ~…」
紘斗は机の隣に座っているエマに気づき固まる。
「君、誰…?」
「エマと申します」
エマは紘斗に気がつき、名前を言う。
「晃…」
紘斗はこっちを向いて口をパクパクする。
「どうした?」
晃はケーキがのった皿と温かいココアがはいったコップを手に部屋に行く。
「いつ子どもできたのーー!!」
大声で晃に向かって言う。
「あほかーー!!」
晃は皿とコップを持ったまま激怒を吐く。
「えっ、だってそうだよね」
紘斗はエマに聞く。
「はい…この度は、父がお世話になっております(笑)」
エマは、深々と頭を下げる。
「いえいえ、こちらこそお世話になってます(笑)」
紘斗はエマの正面に座り、頭を下げる。
「てめぇーら、いい加減にしろーー!!」
晃は二人のおふざけに怒鳴った。
「「ぷっ、あはははははは!!」」
エマと紘斗は笑う。
「まったく、はいケーキとココア」
晃は呆れ手に持っていたのをエマの前に置く。
「あはは…ありがとうございます」
スプーンを手にパクパクとケーキを食べる。
「はぁ~、本当に誰この子…?」
紘斗は晃に言う。
「うーん…、俺にもわかんねえ…」
晃は肩をすくめ、台所に行く。
「ま、いいか」
「いや…、そこは否定しろよ…なんか飲む?」
晃はコップを取り出す。
「俺コーヒーね~。後、コーヒー1:ミルク4:砂糖6ね~よろしく。あっでも酒買ってきたけど」
紘斗はカサカサとコンビニ袋を見ながら台所に向かう。
「飲まねえから冷蔵庫にでもいれとけ(注文多すぎんだよこの甘党が)」
「OK」
紘斗は冷蔵庫の中に缶を入れる。
「はい」
晃はコーヒーが入った二つのコップのうち紘斗に渡す。
「サンキュー」
ズズ
二人はエマの座っている反対側に座りコーヒーを飲む。
「あの…」
エマはココアを一口飲んで、二人に問いかける。
「あっ、俺 相沢 紘斗ね~よろしく」
自己紹介をする。
紘斗は緑のコートにゆとりのある厚めの長袖、シャレのあるジーンズをはいている。
顔はハンサムで髪は黄緑色の短めに切った少しはねのある髪型。
しかし、前髪は目が隠れるか、隠れないかのギリギリなラインである。
目は紫で身長は180cmで長身である。
「ねねね、エマちゃんって読んでいい?」
紘斗は腕ひざを机に乗せて言う。
「はい…、別にいいですけど」
エマはスプーンをケーキにさす。
「はい、決まり!」
にっこりと笑い、手を合わせる。
「さっきの続きだけど…ここに来る前は何してたんだ?」
晃はコップを置く。
「なになに?エマちゃんのこと知りたいの晃は~?」
紘斗は晃の方をにやついた顔で見る。
「ややこしくなるから…少し黙ってろ…」
晃は紘斗に制止を促す。
「佐々木さんってそういう人だったんですか…?」
エマは疑いの目で晃を見る。
「ほら、みろ!お前の所為で変な人だと思われるだろう…」
晃は紘斗を見ながら責める。。
「え~だって、エマちゃんかわいいし~」
紘斗はへらへらと笑う。
「紘斗、黙れ…」
晃は紘斗を鋭く睨みつける。
「も~う怖いな~…晃は」
紘斗は机に前のめりになる。
「で、ここに来る前は何してたんだ?」
晃は紘斗に呆れ、まっすぐエマを見つめもう一度問いかける。
「えっと…私がここに来る前はイリスという貿易の街にいました。路地裏を歩いてた時、いきなり白い光が私を包まれたと思ったら、もうここにいました」
エマは晃の目を見れず、目線を外して答える。
「うーん…参ったな~…少しは手がかりがあると思ったのにな」
晃は手がかりのなさにはぁ~とため息を出す。
「すみません…」
エマは気まずそうにうつむく。
「いや…謝ること?そっちは不安で仕方がないだろ」
晃は優しげにいう。
「そうだよ~謝ることないない」
紘斗もエマを励ます。
「はい…」
エマは笑顔で返事をする。
目からは、一滴の涙がこぼれ落ちる。
「あ、あれ…なんで私…」
エマは自分の目に触れ、手についた雫を見る。
また、ひとつ、ふたつと雫がこぼれ落ちる。
エマ自身は、わけがわからず困惑する。
「あー!!晃なに泣かしてんの!!」
紘斗は晃に怒った顔でいう。
「えっと…ごめん…その…泣かすつもりじゃあなかった…ごめん」
晃はまた、泣かせてしまった?という罪悪感に頭を下げ謝る。
「はい、これ」
紘斗は持参のハンカチを渡す。
「ありがとうございます…」
エマは頬を染め少しうつむきながら、ハンカチを借りる。
「まったく、女の子を泣かせたらダメ。次やったら、お仕置きね!!」
紘斗は罰を晃に下すと警告する。
「わかったよ…(そういや、こいつ女の子に関してはうざかったな…大切に扱うのは確かにわかる)」
晃は返事とともに、相沢紘斗について考える。
「ゴメンネ~。女の子の気持ち分からなくて」
紘斗は心配して気遣う。
「あの…いえ…泣いちゃったのはホッとしたというか…知らない人のためにしてくれるのかと思うと…佐々木さんが悪いわけじゃないです」
エマはなぜ泣いたかは自分のために真剣に考えようとしてくれる優しさを、心に触れ泣いてしまったのだ。
はい、やっと甘党出ました
今回はエマがこの世界に来る前のことと、紘斗が甘党だけじないよと思い、女子を大切にする紳士姿を見せたかったからです
この度は、こんな若輩の文をお読みになって頂き、本当にありがとうございます
これからもよろしくお願いいたします