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ユリアリス  作者: 茄蒔 藍
第二章 青の国
18/20

ルック村

村人は内心穏やかじゃなかった。

旅人が来たのは大歓迎だ。

しかも、若い者である。

だが、この世界…魔法で体を偽っている可能性もある。

「長、村に来訪者が来ております」

「なんと…!喜ばしいこと…しかし、見定めなくてはなりません。その者を私の前に来させなさい」

「はい!では、ザヨ!」

老人が少年を呼ぶ。

「はい!何用で御座いますか?」

「来訪者を連れてきなさい」

「はい!」

少年は知らぬ来訪者を探しに屋敷を出た。

「悪き者ではないといいのですが…」

「見定めてからじゃよ」

長と老人は難しい面持ちで来訪者を待っていた。


紘斗たちは村の中へ入ると、今まで見たことないものばかりだった。

まず村人の顔には赤や緑を中心の独特の化粧に、髪は赤と緑の二つの棒をつけている。

しかし、つけ方は個性がありふれていた。

男女別々だが、やはり赤と緑を中心の服装をしている。

村の家には必ずどこかにはある、竜をモチーフにした置物や飾りがあった。

「凄いね~ここ。みんな俺たち見ても騒がないし~」

「にゃ~(なんか、凄い格好だ)」

『確カニ…ソウ申シワズニハイラマセン』

「おい、そこの者!」

ある少年が紘斗たちの前に現れ、唐突に呼びかける。

「うん?俺のこと?」

「そうだ。お前を長が呼んでる」

「…わかった」

「よし…長まで案内する。ついて来い!」

少年は歩き始める。

(なんか厄介なことになったね~)

(主人はいいのか。こんなやつについてって?)

(長に会っといたほうがいいしね)

紘斗は他に気になっていたことがあったため、それを何なのかを知るため、この村を良く知る人…長が適任だった。

他に探すのに手間が省けたというのもあった。

(ソレニ、得ニナルト思イマス)

(えっなんで、ディアロ?)

(ソレハ…)

「着いたぞ」

紘斗たちの前には、この村で一番大きいんじゃないかってくらいの屋敷があった。

「へぇ~やっぱ長だけに大きい」

「にゃー…(でか…)」

『ホー…矢張リ長ダケニッテ感ジデ御座イマスネ』

「何をしている。早く来い!」

紘斗たちが驚いている間に、少年はつかつかと入って行く。

紘斗たちも少年に続いて入る。

入る前にフェルアとディアロを何かあったら面倒なので一応懐に隠した。

中はこの村の独特の赤と緑をあしらった豪華な作り。

やはり、竜の形をしたものが沢山飾られていた。

通路を進むと客間に案内された。

「ここで待っていろ」

少年は一言いうだけいって、出て行った。

そして数分後また少年が現れ、長が待っている大広間に案内された。

大広間には若い者、老いた者、男女、子供関係なく二列に並んで座ったいた。

座っている人々は服装と雰囲気でどこかの役所の代表者、貴族、長の親族、村の上位に当たる者たちだということわかる。

人々は訝しく怪しい面持ちで紘斗たちを見る。

そして、列の端にでんと構えた豪華な椅子に座った老人がいた。

紘斗たちを椅子に座った老人の前に案内する。

「連れて参りました」

「役目ご苦労、下がりなさい」

「はっ!」

近くにいた老人の一人が少年を部屋を追い出した。

「よくぞ、来て頂いた。私はルックの長でございます」

長は少年が出て行くのを見届けると、椅子から立ち上がり握手を求めた。

「俺は相沢 紘斗って言います」

紘斗は老人の手を取ると握手を交わした。

「所で何故俺を呼び出したんです?」

「ふむ。我が村に知らぬ者がいると聞きましてな。良き者なのかあるいは悪き者かを見定めるためそなた…相沢紘斗氏を我が屋敷へと来させたのです」

「で長さんは、俺をどう見極めるの?俺たちはできれば怪しい者じゃないけど」

長は細い目で紘斗を鋭く見る。

紘斗は長の目を強く見つめ返すというより、自身満々に笑って返していた。

「悪き者ではないようですな」

「それじゃあ、俺たちはここに居てオーケーってことで良いんだよね?」

「うむ。我が村は相沢紘斗氏を歓迎しよう。そうだ、皆よ。歓迎会をしよじゃないか」

長は心配そうに見ていた人々に呼びかけた。

すると、人々はホッとした安堵と喜びの笑顔を咲かせた。

「はい!そうと決まれば、そこの者!村人に伝えよ。今日は久しぶりの祭りだと!!」

「よし!会場作りをしてくる」

「酒はわしに任せなさい。年期のいいものを用意しよう」

「さあ!忙しくなるわよ!私たちは飾りや料理よ」

「それならまだ時間あるから。若いもん集めて、狩りに行ってくる」

座っていた年齢差関係ない男女は慌ただしく大広間を出て行った。

「賑やかだね~」

「ああ。久しぶりの祭りだからのう。皆どんちゃん騒ぎで楽しい歓迎会になりそうじゃ」

「でも、その後は決まって…二日酔いで潰れてる」

「ほほほっ、そゆうことじゃ」

長は微笑んでいた。

凄く楽しみにしている顔だった。

「にゃー?(祭りはなんか面白いのある?)」

「ああ~あるともあるとも。皆太鼓のリズムに合わせて踊って楽しいさ。相沢氏と子猫に…そなたは機械から作られし者も楽しんでおくれ」

フェルアは隠れていたことも忘れて泣き声を発し、三人が焦っているのに長は平然と答えてくれた。

「にょっ!?(なんで分かるんだ!?)」

『何故オ分カリニ…!?』

長の言葉に驚いて二人は紘斗の懐から飛び出し、フェルアは紘斗の肩に乗り、ディアロは空中にパタパタと浮いていた。

「長さんもやる人だね~。だからこの村の長なんだね~」

「まあ、この年になるとな。いろいろと分かるもんじゃ!ほっほっほっほっ!」

長はフェルアとディアロの疑問を笑ってさらりと流した。

「にゃー(納得行かない)」

『納得出来マセン』

二人は不愉快そうに顔を歪ました。

「あっそうそう。俺たちこの後、どうすればいいの?」

「ふむ。祭りまで、この村を案内しよう。ザヨ!」

「はい!長、何用で御座いますか?」

先ほどの案内人の少年が現れた。

「この者に村を案内してやってくれ」

「はい!」

「あ~そうじゃ…相沢氏、寝食は我が屋敷でまかなうから心配せんで良いぞ」

「ありがとうございます。長さん」

「にゃー(ありがとう)」

『有リ難ウ御座イマス』

三人は長にぺこりとお辞儀をした。

「ではこちらへ」

ザヨは三人を屋敷の中を大まかに案内した後外に出た。

「ねぇ~。俺たちが長さん所まで案内したときと違うけど?」

「うっ…相沢様は客人ですし、長から頼まれましたから」

ザヨは始めの態度の今とは明らかに違っていた。

紘斗はそのことに不満を感じていた。

「じゃあ、俺からの願いなら良いんだよね?」

「うっ…確かに相沢様からお願いとなれば…」

「じゃあ~…敬語なしで、気軽く接する。はい、命令!」

紘斗の言葉にやはりそうなのかとザヨはため息をついた。

「わかったよ。だが、後で長や上の者に敬語使いませんでしたーって報告して、陥れよーって魂胆じゃねーだろうな?」

「ないない。そんなみっともないこと、するわけないでしょう」

紘斗は敬語は使わないが、未だに疑いの目で見るザヨに納得させようとした。

「つーか、どう見たって怪しいだろう!ちっせー妖精はいるし、子猫と話してるし!」

「うぐっ、これには訳があって、それに妖精は普通いても可笑しくない!」

「いねぇーよ!妖精事態架空の生き物だとしか習ってねぇー!」

「嘘-!?俺、さっき村に入る前に数匹見たんですけどー!」

紘斗はザヨの一言に仰天した。

村に入る前に、畑の中で浮いていたり、果物が積まれた荷車の上に座っている姿を、はっきり見ていたからだ。

『相沢様、誠ニ失礼デスガ。相沢様ノ様ナ特異体質出ナケレバ、一般人ニハ妖精ヲ見エルコトハ出来マセン』

すかさずディアロは訂正した。

後、ディアロは紘斗の肩に乗っていた。

疲れたのか、自分で動くより効率良さを求めたのか、案内される前に座っていた。

もちろん、フェルアも肩に乗っているので、ディアロはフェルアの乗っていない右側に乗った。

「忘れてた。あっでも、ディアロちゃんはザヨ君には見えてるよ?」

『私ハ、機械カラ創ラレタ偽リノ魂ノタメ、一般人ノ方デモ見エテシマウノデス』

「そっか~」

「だとしても、俺からしてみれば、非常識なのは変わりない!すっげえー怪しい!」

ザヨは持っていた槍を紘斗に矛先を向ける。

紘斗はギョッとするが、冷静になっていった。

「そうかもしれないけど~…後さ、ザヨを陥れて俺に何の得になるの?」

ザヨは、ハッとした顔になり、考え始めた。

そして、難しそうな面持ちで紘斗たちを見る。

「ごめん…」

「…こっちこそ、有り得ないばかりで戸惑うのに…ごめん」

ザヨは頭を振る。

「いいや…長が大丈夫だって言ってるのに…最近みんなピリピリしてるから、余計駄目みたいだ」

「ピリピリって…」

紘斗たちは目をまるくした。

初めて入った時はそんな感じはしなかったからだ。

「…ここ最近、変なことが絶えなくってな…」

複雑な顔で話しだした。



◆◆◆◆◆◆◆



村では、信じがたいことが起きた。

初めは、誰もが気にしはしなかった事だ。

一匹の鳥が、道端に死んでいるなど…。

だが、それは始まりでしかなかった。

鳥が死んだ三週間後、道端に大量の蛇の死体があった。

だが、それに対して人々は不気味がるが、翌日には平然と暮らしていた。

大量の蛇の死体から半月がたったある日、村を訪ねていた旅人が殺されていた。

しかも、死体が見つかった場所は、大量に死んだ蛇と同じ場所だった。

それに鳥が死んだ場所も同じところだった。

旅人が死んだ一週間後にまた旅人が死んだ。

また、一週間後には旅人ではなく、村人が死んだ。

それが何週間も続いた。

同じ場所で死に、しかも死に方はだんだん酷くなっていた。

ある日それが途絶えた。

少女だとは思えない姿で死体を発見した後、何ヶ月たってもあの場所に死体はあがらなかった。

もうあんな奇怪現象が起こらないと、誰もが安心し、穏やかな暮らしが戻ってきたと思っていた。

そう願いたかった。

人々が奇怪現象を忘れかけていた頃、また起きたのだ。

同じ場所で死体があったのだ。

初めと同じ、鳥一匹が死んでいた。

後は全くといっていいほど前と同じことが起きた。

怖くなった村人は長に祀りをお願いした。

長が祀ったところあの奇怪現象は忽然となくなった。

それから、長が定期的に祀り、そのあとは起きなかった。

しかし、遅かった。

村の経済はどん底まで下がっていた。

村は田畑で暮らしてきた。

しかし、奇怪現象が起きる村と、噂はたち広がり、そのため作物は他の村や町に売れなくなった。

そして、誰も村には来なくなった。

それは致命的だった。

観光地でもあった村は、農業より観光地のほうが儲かっていたため、経済的に駄目になっていた。

そんな中またあの場所に死体があがった。



◆◆◆◆◆◆◆



紘斗たちは驚くしかなかった。

ザヨは暗い顔で口を開く。

「だから、みんなよそ者には、喜ぶけど警戒する。だけど、あんたみたいに若いやつだと…だてに疑えねぇ…だってこんな話し、十年も前の話し出し」

「えっ!」

「初めて起きたのは十五年前で長が祀って終わったのが十年前だけど、今じゃあ忘れてた話しだ」

だから、初め紘斗たちを見ても、疑いもせず、変な目でみず、近寄りがたそうな雰囲気はしないで、普通にただの旅人として迎え入れた。

だが、若くても侮れないため、長に合わせ判断してもらうことがこの村での、やり方だった。

「だけど、本当にここ最近起きたんだ。ここで…」

下を見る。

紘斗たちも連れて見る。

「えっ…マジ?」

「マジだ」

「「「ええーーー」」」

ここは長の屋敷前だったからだ。

まさかこんな場所で起きたとは、当然知らない訳で紘斗たちは驚いた。

紘斗はびっくりしたが、腰を下ろして手を合わせた。

「にょ?(主人?)」

主人の行動に驚く。

「こうして、死んでいった人たちに、安静の眠りを…成仏してもらうため。まあ、死んだあと悪さしないようにってことと思っていいよ~」

笑っていたが、真剣な顔だった。

「あんたのとこはそうやって、死んだ人に敬意を表すのか」

「まあ、そいうこと。じゃあ、案内の続きしてよ」

立ち上がるとザヨに促す。

まだ、村全体の案内はまだだったのだ。

「ああ…じゃあ、行くぞ」

村全体は祭りの準備に忙しく、駆け回る者、大きな飾りや食べ物など運ぶ者などいた。

そこら辺から、美味しそうな香ばしい匂いが漂っていた。

祭り用の料理していると思われる。

そんな慌ただしい中を抜けながら、紘斗たちはザヨに案内され、おおざっぱに市場、診察所、書庫、田畑など見回った。

「この村のとっておきを見せてやる」

ザヨは得意げに言って、ある所に案内された。

「うわ~」

「にゃー(すげー)」

『立派ナ建物デスネ』

紘斗たちは驚いた。

紘斗たちの前には、長の屋敷よりでかく、赤と緑を主流の豪勢な建物だった。

そしてきわめつけに、竜がでかでかと飾ってあり、それが凄さをました。

「このバカデカい建物が、竜木堂りゅうこどうっていう祀る場だ。さっきも話したが、長が祀ったところもここで行われ、死んだ者たちを送る場所だ。すげーだろここ?」

ザヨは得意げに話し、満面の笑みだった。

「うん、凄いね」

「ちょっと待っててくれ」

ザヨは役人に話しをつけると、紘斗たちを連れ竜木堂に入った。

外側は豪勢なら内側も豪勢だった。

やはり赤と緑の内装に竜の飾りや絵が壁一面に描かれていた。

そして、竜が象られた石像があった。

「ここはとても聖なる気が満たされている。あれかな…やっぱり」

フェルアとディアロが驚いているさなか、紘斗は聖なる気の源を見定めていた。

ルック村に入る前に聖なる気を感じていた。

竜木堂を前にした時、ここからなのかと紘斗は直感した。

竜木堂に入るなり、中は聖なる気で溢れかえっていた。

紘斗は竜の石像を見つめ、触ろうとした時、ザヨに止められた。

「おい、それに触るなよ。触ったら俺が役人だけでなく、長にまで怒られるだろうが」

ザヨは叱られるのはごめんだという顔だったので、紘斗はそれ以上は何もしなかった。

「それにしても、ここの村は竜と関係あるの?」

「ああ、竜のことは詳しくは知らないが、村の先代たちが飢饉だったとき助けてもらったんだと。それ以来、村では竜を奉っているんだ。後、助けてもらったとき、その石像を託されたらしい。本当だが知んねえけどな」

ザヨは信じてなさそうな物言いだった。

『ソレデハ、赤ト緑ガ村デハ主流ナノデスガ、何カ意味デモ在ルノデショウカ?』

「ああ、それか。意味なんて、あんまねぇーよ。言うならばだな、赤は魔除け、緑は作物が実りますようにって願い、つーことを長に聞いたな」

思い出しながら答える。

「へぇ~。じゃあ、好きな人は?」

「好きな人は、そうだな~やっぱり…っておい!!ジャンルが違うもんになってるぞ!?」

顔を赤くして怒鳴った。

「ええー、いいじゃん別に~。でも、好き子はいるんだ。誰々?」

ザヨは面倒臭そうに言うが、聞けば嫌がらずに答えてくれる人だった。

紘斗はそんなザヨに悪戯心で質問した。

案の定、思った通りの反応だった。

「そんな事はともかくでるぞ!」

「教えてくれたっていいのに~。ケチ~」

「うんなことしてないで、置いてくぞ!」

「待ってよ~」

紘斗はザヨの好き人が聞けず、不満だったが、最後の言葉はかなり本気だったので、諦めることにした。

矛先まで向けてきたからもある。

村は久しぶりの旅人の訪れに喜び、祭りに準備に大忙しだった。

もう空の太陽は沈みかけていた。

橙色に染め上げた空は、美しかった。

もうすぐ始まるであろう、祭りに紘斗たちは心待ちにしていた。


えっと今回は紘斗、ディアロ、フェルアチームの話しです


なんともお久しぶりです

ルック村を舞台に話していきます



ありがとうございました



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