祖父とミライユ
エマは晃に聞かれた内容を話す前に頭の中で唱えた。
(月の流れを葉をさえも静かに緩やかに流れ給え…目に耳、頭、感覚全てをも我が願う幻を見させよ…!)
この町全体の時の流れを微弱にし、晃に分からないようにするために魔法を唱えた。
理由は今から話すことは誰にも聞かれたくないものだったからだ。
晃は周りが音もなく人々の動きは微かに動いている様子を見てエマの仕業だと感じた。
次の瞬間晃の目には人々が普段通りに動き、音や風さえも実際の感覚に戻っていた。
(目の錯覚か…いや違うこれは幻覚だ…!矢張りエマの魔法か…全く手の込んだことを…どんだけバレたくないんだ…)
晃は頭を抱えたくなると同時に呆れと称えたくなった。
「では私はその聖獣に力を貸して貰おうと思います」
「それは可能なのか…?」
「…たぶん?」
騙されてないことを気付かれないように、平然と装っていたが…思考が一瞬時間が止まった。
「はぁぁあああ!?」
「わ私だって本当に可能なのかは分かりません!!」
「というか…なぜ聖獣なんだ…?」
晃は理由が分からなかったが、エマから感じられることがその意味を指していたように思った。
「そそれは…幼い頃、私は祖父から役目を与えられました…」
エマは懐かしむように語り出した。
◆◆◆◆◆◆◆
森に囲まれたお屋敷の外れにある小さな家…はなれがあった。
エマとエマの祖父は住まいであるお屋敷から出てはなれで遊んだり、稽古したり勉強などしていた。
「エマ…お茶にしようか」
「はーい!」
エマは育てている花の水やり終え祖父が座っているテラスに向かう。
「今日は山葵味と胡麻和え味のお煎餅とイチゴのタルトにエマの好きなココアだよ」
イスに座ったエマに祖父は今日のお菓子にココアを差し出す。
祖父は何故か一品だけ異なった物を出す癖があった。
「わーココアだ!」
「エマはココアが好きだね~」
「うん!大好き!」
にこにことココアの入ってコップを手に取り飲む。
そんな孫の姿に祖父は笑っていた。
「エマ…今日も聞くかい?」
「うん!今日はどんなお話し?」
「そうじゃの~…?」
キラキラした目で見つめる孫に微笑みながら語りだした。
「エマ、わしら家族…リンク家は代々我が国…ダルキス国の王族を仕えてきた…」
「魔女または魔法使いの名家である。そうでしょお爺さま」
「そうじゃ。エマは良く覚えてるね~」
「えへへへ」
祖父は孫の頭を撫でる。
「まだリンク家はすごいのが在るんじゃよ」
「お爺さまどんなすごいことがあるの?」
祖父は孫の耳元でひそひそ話のように小さな声で話した。
「それはじゃの…リンク家は聖獣を仕えてきた家系でもあるんじゃよ」
「えっえーー!?聖獣を!!」
エマはびっくりしてイスから立ち上がり、イスはガタダンとひっくり返した。
「落ち着きなさい」
祖父は人差し指をひょいと動かすとイスは勝手に元の位置に戻った。
エマはイスに座り祖父に自分が今持っている知識を使って聞く。
「…でっでも聖獣は大昔から伝わる架空の生き物なのよ」
「確かに今はそう語られている。じゃがのそれは聖獣を見たことのない者の台詞じゃ。これを見てみい」
祖父はまた人差し指をひょいと動かすと祖父の前に書物が現れた。
カビ臭く表紙の色合いが変色し、題名はかすれて読みにくい。
「“ミライユ”?これは何が書かれているの?」
「ふむ…」
祖父はミライユと書かれた書物を開く。
紙は古い本の独特の臭いと茶色くなっていて、文字は所々見えにくかった。
ペラペラとめくり祖父はあるページにさしかかるとエマに差し出した。
「まずは自分で読んでみなさい」
エマは分厚い書物を手に取り見えにくい文字をたどりながら声に出して読み始める。
「ミライユとは我々リンク家先祖から深き交遊を持つ聖獣である。また我々はミライユを仕える魔女または魔法使いである。そして我々はこのことを他人や分家などには隠し、直系またはリンク家を先導者のみ知ることがミライユとの関わりを持つ契約である。この契約を破れば関わりを断ち切ることになる。もし契約を破るようなことになった場合、我々リンク家が存亡…の瀬戸際に陥る…いや衰退の道を‥たど‥ることは…確‥実…であると…思っても…い‥いだろ‥う……」
だんだん小さい声になり読み止まった。
とんでもない秘密を知り、今はこのことは知られていないのか…もし知られていたとしたら…そう考えるだけでエマの頭の中はぐるぐると渦が回っていた。
どうしようもなく不安の色を浮かべながら祖父を見つめることしか出来なかった。
「お爺さま…」
「なに心配することはない。このことはわし以外知らない…いやわしだけじゃなかったなエマとわしだけの秘密じゃ」
祖父は笑いながら言ったがエマにはとてつもないものを背負わらせた気分だった。
「ミっミライユはどんな聖獣なの?」
「橙色の色をしていて体全体がキラキラと光っていてとても美しい姿しているんじゃよ」
祖父は遠くの方を見て恍惚のような話し方だった。
「会ってみたいな。お爺さまは会ったことあるの?」
「ああ、あるともでも相当昔じゃ。また会えるのはいつになるかのう」
「えー」
「たぶん…いや必ずエマは会えるさ」
「そうなの?」
「…ああ」
祖父の顔は悲しみや決意といった感情が混ざり合った表情だった。
「エマに任せたいことがあるんじゃ」
「任せたいこと…?」
「ああ、そうじゃ。…世の王を深き眠りから目覚めさせ、そうすれば穏やかな時がまた訪れるだろう。目覚めさせるには世の王を守りしき四の獣を見つけ出し力を甦らせよ。バルイア・リンクより」
祖父は静かに威厳のある声で口にした。
「バルイア…?」
「バルイア・リンクは我々リンク家初代様じゃ」
「知らなかった…」
エマは内容は当然分からないが身内を全員を覚えてると思っていたので知らないのは屈辱だった。
「まだエマには今亡き者達を教えてなかったからのう。ほれ、これを見なさい」
祖父はまたもや人差し指を振ると目の前に埃を被った肖像画が現れた。
若い男性が描かれていた。
「この人がバルイア様…凛々しいお方…」
「ほほほ…バルイア様を見た者は必ず見とれてしまうんじゃ…エマもその一人じゃな…」
「おお爺さま!!!!そそんなことよりバルイア様は何故その言葉を残したの?」
エマは図星をつかれ真っ赤にして話題を変えようと聞いた。
「ダルキス国が創立した頃に残した遺言じゃ…エマ、ダルキス国のやり方を知っているだろう」
「うん…」
「そうダルキス国が招く災難をバルイア様は予知していたんじゃ…バルイア様は自分ではどうにもならいことも確信していた…仕方なくバルイア様は次世代に任したのじゃ…遺言を残した後バルイア様は亡くられたんじゃ…」
「お爺さま…今私にその遺言を教えられ任せられるってことは…」
「すまない。わしではその遺言を果たせなかった…エマその役目を果たしておくれ…」
祖父は肩を落とし、小さな孫をそんな役目を押し付けるようなことに自分自身が腹立たしかった。
「お爺さま…その役目…私が‥私が必ず果たしてみせます!」
祖父の姿にエマは立ち上がると大きな声で言った。
「エ‥エマ…」
「そっそんな顔しないでお爺さま…私は大事な役目を与えられたことはとても光栄に思うの。元気出して」
エマは祖父の手を取りぎゅっと強く握った。
「あっありがとう…」
祖父はエマの優しさと決意の眼差しに、可愛い孫を茨の道を歩ませることに瞳から二雫の水が流れた。
◆◆◆◆◆◆◆
「祖父が果たせなかった役目を私が果たすために…」
エマは簡素に尚且つ秘密すべきことは話さず語った。
だが晃は巫女の家系でありがためエマの思考…ましてやエマは思い出しながらだったおかけで映像が頭に勝手に流れバレバレだった。
しかもバレてはいけないこと知ってしまい、本人は気付いていないとはいえ、もしミライユという聖獣に知られもしたらと思うと頭を抱えたくなった。
「あ~エマは祖父の役目を叶えたい。その一歩が聖獣探しというわけか…」
晃はエマの話と読み取ったというか勝手に流れた映像とともに理解した。
「はい…無謀だとは思います。しかも…違う世界の人である晃さん達を巻き込むようなことに…」
「そんなことはどうでもいい。俺達は勝手に突っ込んだけだ。エマは気にすることはない」
「わ…分かりました…」
晃は未だに後悔の念があるエマを叱った。
その後沈黙になりこちらが虐めてるみたいで気まずかった。
「あ~…なんだ、聖獣を探すならやはり北を目指すのが良さそうだ」
「そっそうなんですか!?」
「あっああ、北の方…正確には少し西だがな…眠ってるのか微かにしか分からないが…それでも、とてつもない力を感じる…」
「この国に伝説とか聖獣に関すること…ありましたっけ?」
エマは己の知識の中を探ってみる。
「まっそこら辺の人々にでも聞けばいいだろう」
晃はそそくさと歩く。
「何で分かるんですか?」
エマは晃を追い掛けながら疑問を口にすると晃は立ち止まり振り返る。
「(不味いな…どうする…?)俺には分かるんだよ」
「はぁ~?」
「そういう類いには慣れてんだ。うーん…そうだな…なんか無くし物を探す時に…」
「……まっいいですけど…」
エマはこれ以上聞いても意味不明なことを口にすると思い、未だに考える晃をそっちのけにして歩き出した。
少し晃との距離を置くと考え中の晃を見た。
(不思議な人…だけど晃さん達は魔法を知らなそうだし…魔法を使ってる雰囲気はないし…本当変わってる…)
何か感じ取って言葉に表す姿は誰かと似ていて不思議と出された言葉は素直に信じられた。
エマは誰と似ているのかは思い出せないが懐かしい感じだった。
そんなことを思っていると、ふとあることを思い出した。
(あーー忘れてた!!今思い出さなかったら普通に解いて、約束を破るとこだった。だけど、このまま行けば…♪)
昨日の夜密かにディアロと交わした約束を思い出しながら笑った。
(さて…元に戻さないと)
魔法を使ったことをバレないように、光や炎を出さずにするため、全神経を研ぎまし言葉を脳内で唱えた。
(日の流れをありしき姿に戻したまえ…汝の幻惑を正しき像へと映したまえ)
音が聞こえなく生き物の動きは微かの空間は破け、その同時に晃の見ていた幻想が現実に戻った。
周囲の人々は魔法にかかっていたことを知らなかったように普段と変わらない日常へと歩んでいた。
エマが祖父の約束のために果たす姿は健気?な感じを今後楽しみということでお願いします
聖獣の話が出てきましたが重要です
まあ~読んでいれば分かることですが
それはともかくこの度はお読みになりありがとうございます




