クリスマスの夜に
2×××年12月25日。
クリスマス、聖誕祭、 降誕祭とも呼ばれるこの日。
夜9時頃、少女と青年達が出会う。
「起きてください」
ゆさゆさと少女は、机の上に上半身を乗せ、手を枕代わりにしてうつ伏せになって寝ている青年を、起こそうとずっと試みている。青年は、揺さぶる同時にうーんと唸るだけである。
「どなたか存じませんが、いい加減に起きてください!」
これでもかというくらい少女はバシバシと青年の背中を叩く。
しかし、青年は起きない。数分間に渡った少女の行いは無駄に終わってしまう。
「どうしよう…」
辺りを見渡しても、少女が知らない物ばかり。
少女は青年の横に座り込む。今にも泣きそうな真っ赤な顔を伏せる。
どこだか分からない場所は、少女には耐え難い。不安や恐怖が込み上がる。
「起きてよ…ねえ…ひくっ…えぐっ…」
静かに泣き始めた。
少女はこの青年に縋るしかなかった。ここがどこで、あなたが誰なのかを知りたかったからだ。数分間ずっと少女は泣き続けた。
しかし、涙が止まった。
「私…どうかしてた…」
頭を振りながらいう。少女は本来の自分のことを、自身がやり遂げるべきことを、思い出したのだ。
「そうよ…私はこんな事だけに、止まっていられない」
涙を振り払って、顔を上げる。
(しかし、どうすれば起きてくるのでしょうか?)
少女は、目の前で寝ている青年に目を向ける。この青年を起こさなければ、ここがどんな場所なのかの手掛かりは、少女にとってこの青年しかいないのだ。
そもそも少女にとって文字は使っていたものとは違い、紙や本の表紙を見ても分からないのだ。
しかし、何故だか長方形の薄っぺらの箱からでる映像の話声は、理解不可能ではない。それでも行動には、疑問が浮かぶ。
よく分からない内容で数人が順番に何かをやっていることだけで、少女にとって阿呆なの?と思うだけである。
少女は、それをじっと眺めていた。ある映像が流れた瞬間。
(これだ!)
指先を映像に差す。ぱっと、笑みを浮かぶ。
だが、すぐとどまる。この方法が、最善の策なのかと。
(しかし、これでは…いえ遣らなければ!)
少女は拳を握りしめ、覚悟を決めると立ち上がる。そして辺りを見渡す。
「!」
見つけたそれをすかさず持ち、企みのある顔で寝ている青年を見つめる。
「悪く思わないで下さいね」
持ったものを青年に目掛け降り下ろす。
ガツン!
鈍い音が部屋中に広がる。少女が青年の頭に目掛け、灰皿を落とした音である。
「ぐうぇ!?」
青年は突然の強烈の激痛に、目を覚ました。
「ぐあっ!」
そして、青年の正面から受けたため、灰皿の衝突の勢いで後ろに倒れ込み、背後にあった壁へと激突した。
ズル
「うわ!?」
少女は灰皿を青年の前頭部から後頭部に振り下ろした勢いで足を滑らす。
滑った瞬間、その勢いで手が滑り灰皿は青年を越え戸棚に突っ込んだ。
灰皿は激突した戸棚から落ちる。ゴロゴロと青年の前に灰皿は転がっていく。
「いたっ!」
少女は青年の横に尻餅をつく。顔を痛みで歪める。
これは、たった数秒間に起きた出来事である。
青年は直撃した後頭部と前頭部をさする。
「っ~イッテェー」
痛さの余り少し涙が出る。青年は隣に誰かがいる気配を感じた。
少女は尻餅をついた体勢で、青年に呼びかける。
「…あの…」
青年はその呼びかけに振り向きながら言う。何をしてくれるんだと、思いながら。
「いきなりなにすんだよ!紘…と…?」
振り返った先にはここにいるはずのない少女がいた。
どうだったでしょうか
少女と青年一人しか出てないですが、後からちゃんともう一人出します
連載作品となると難しいものです
悩みに悩んでやっと一話が出来ました