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男子の脳内思春期戦争

作者: ぶーたん

今日俺は一世一代の賭けに出る。

または今世紀最大の勝負。

はたまた人生最大の黒歴史。

人はそれを青春という。


そう俺は告白する。


秋の夕日の差し込む教室に俺はただ1人彼女を待っていた。

グラウンドでは、野球部が練習している声が聞こえてくる。

俺はただ一人椅子に座り、緊張していた。

額からは汗が滲み、心臓は脈を激しく打つ。

俺は教室のただの1部になっていた。


そう彼女とは家が近所の幼馴染だ。

親同士が仲良く昔からよく遊んだものだ。

小学校も中学校も一緒だった。

たまに一緒に帰ることもあった。

話と言っても部活の話が大半だ。

高校は彼女の学力的に、ランクの高い女子高に通うと思っていた。

だが、この男女共学のこの高校を選んだ。

「こっちの方が近いから」そう彼女は言う。


俺は高校に入ると野球部に入部した。

小学校と中学校も野球をしていたのも理由の1つだ。

驚いたのは彼女が野球部のマネージャーをしたことだ。

中学生の時は陸上部の単距離走をしていた彼女。

「マネージャーしてみたかったの」と言っていた。

そんな俺はというと甲子園に行くだと本気で思っていた。

毎日練習練習と辛いものだった。

だが、現実は非情なものだ。

3年連続初回敗退。

余りの負け癖のせいで涙も出なかった。

彼女は泣いて、迎え入れてくれた。

その顔を見て、もらい泣きしたのはいい思い出だ。


部活を引退してからは彼女との関係が無くなった。

部活の時は話していたが、もうそれが無くなってしまった。

大学受験の勉強もあり、さらに距離が離れた。

彼女がどの進路に行くのかを俺は知らない。

引退して2カ月話すきっかけが作れないのだ。

近所でも高校生にもなると行く理由を考えてしまう。

何を話せばいい。

そういえば、俺は彼女の好きなことなんか知らない。

いつも後ろについて来てくれるだけ。

そういつもいてくれるのが当たり前だった。


でも、俺は彼女を失いたくない。

告白なんて正直怖い。

噂が出回るかもしれない。

もう一生口を聞いてくれないかもしれない。

彼女は月に1回は男子から告白されているらしい。

つまりそれなりにかわいいってことだ。

それとも誰かと付き合っているのか。

それだとなんかわかる気がする。

黒髪ロング、幼めな丸い顔、150cmの小柄な身長。

これだけ聞いて好きになる男はいるだろう。

そういえば、練習試合で他校に声を掛けられていた。

もし、その中に彼氏がいたら、どうする。

そうだ。他校に彼氏がいる場合もあるじゃないか。

校内で男子といないのはそのせいか。


俺はなんて声をかけるべきだ。

最近会えなくて寂しいなんて言うのか。

誰か好きな人がいるのって聞くのか。

好きですなんて一言で終わらしていいのか。

俺はなんて言えばいいか考えてなかった。

そもそも俺のことなんて眼中になかったらどうしよう。

そうだよな。好きだったら声をかけてくるよな。

でも、クラスが違うからただ話かけにくいだけかも。

彼女は俺のことどう思っているんだ。

何にも知らなかった・・・。


どうするこれから彼女が手紙を見て教室にくる。

やってしまった。

なんていいわけすればいい。

今からでも回収すれば間に合うか。

それとも無視するかも。

そうだ。来ないってこともある。

もうみんな帰ったし、彼女も帰った。

こんな所にいてもしょうがない。

早く家に帰ろう。

今日のことは何もなかった。


俺は席を立つと扉の前には彼女が立っていた。

手には手紙を持っていた。

来てしまった。

つまりどうゆうことだ。

やばい何か言わないと。

後輩たち部活頑張ってるなとか。

バカそんなこと言ってどうする。

俺は言うんだ。


『俺と付き合ってください』


言えた。言えたんだ。

もっとロマンティックに伝えた方が良かったか。

でも、長台詞噛むよりいいだろう。

俺は言えたんだ。


あれ、なんで彼女は何も言ってくれない。

沈黙がまるで時が止まったように感じる。

そうか止まっているのか。

俺の体も動かないし、呼吸も止まっている。

彼女も一切動かない。

この教室だけ時が止まっている。

でも、そうしたら彼女の返事が聞けない。

聞きたい。答えが知りたい。

いや、もう声だけでいい。聞かせてほしい。

俺はもう彼女を見つめることしかできない。


『遅いよ。バカ』


彼女からの一言、俺はガッツポーズをした。

男子の脳内で繰り広げられる告白の緊張、妄想、後悔。

告白あるあるを書いて見ました。

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