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神に誘われて異世界転生してみた物の、良かったのか悪かったのか微妙ですが、概ね楽しく生きています。  作者: 一一
第十三章 冒険鍛冶師 三度目の準備編

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第514話 鳥であっても同じ穴に入れば貉になる物らしい。

中々毎日投稿に戻りませぬ……





 新しい国に入り護衛として雇った二人の冒険者と別れたクリンは、そのまま街道を北上し更に隣の魔法国、マキロギアを目指して移動する。


 別れ際にこの国出身の冒険者二名に聞いた所、この国を縦断する主要街道が三つあり、国の東側を通る街道と中央のこの国の王都を経由する街道と国の西側を通る三ルートが存在するらしい。


 彼らの話では王国を抜けるルートがほぼ直通なのだが、王都への直通でもある為に人通りも多く同時に警戒も厳しく通行に掛かる時間自体は長くなるらしい。しかしその分巡回も多く宿場も多いので一番安全なルートとされているそうだ。


 そして西側を通るルートは平地が多く農業が盛んでそちらの運搬に良く使われる街道であり、隣国との交易街道とも交わる為にそれなりに人通りが多いらしい。王都経由ルートよりも遠回りになるが行商する商人なら好んで通る街道らしい。


 最後が山が多い東側を通る街道で、こちらは隣国とも山を挟んでいる為にそこまで交易は行われず、林業もそこまで盛んでは無いので住民自体が少なく宿場や町なども少ないために人通りが少なく、また街道の整備も若干悪い上に一番の迂回路でもある為に不人気のルートらしい。


 クリンがどのルートを選んだかと言えば。


「そりゃぁ人目の少ない街道でしょう。主要街道なら冒険者を雇わないと街や宿場に泊まれないけど最初から諦めれば雇わなくていいし、人目が無いならレッド・アイに元の姿でリヤカーもどきを曳いて貰えるし、僕の場合はこっちが最短ルートでしょ」


 と言う事で速攻で東側ルートに向かう。冒険者と別れた街から一日も行けば確かにいきなり人気が無くなり、クリンは心置きなくレッド・アイとミスト・ウィンドを一旦リヤカーもどきから放し、セッティングを拠点の時と同様に変更すると、レッド・アイに元のサイズに戻って貰って、材料調達の旅の時に作ってから改良に改良を重ねた専用ハーネスを装着させて、リヤカーもどきを牽引してもらう。


 リヤカーもどきのセッティングとは、元々クリンが利用していた拠点の中を運んでもらう事を想定した仕様と、街道を行く場合の仕様を若干変えていた為である。


 森の中は不整地であるので、弓バネのテンションを少し高めて衝撃を逃がしやすくし、車軸を回すコロ式ベアリングを一回り大きい物に変更している。


 コレにより道が悪くても速度を出せて部品の強度も上げているのだが、ちゃんと整備されている街道だと逆に弓バネのテンションが強すぎて速度を上げるとちょっとした段差で無駄に振動してしまうのだ。


「油圧ダンパーでも作れたらこの辺は改善出来るんだけどねぇ。振動のバネ吸収しか出来ない今では車重と路面状況のバランスを考えないと……ベアリングもボール式じゃないから丈夫にしたら設置面積が多い分だけ摩耗が激しくなるしねぇ。ああ、やっぱりまだまだ色々と足りていないなぁ」


 一日通っただけで確かに街道の整備状況が悪く感じたので、不整地に強い仕様に変えたと言う訳である。


 前世なら、否、せめてHTW時代の設備か技術があればもう少し汎用性を持たせられるのだが、それらが望みようも無いクリンは「その場で随時改変させていく」と言う荒業で何とか乗り切っている。


 それもこれも自身でそれらの仕様変更が可能であり必要な部品を作れてしまうから出来る芸当とも言える。


 とは言え木製フレームのもどきリヤカーである。幾らクリンが製作したとはいえゴムタイヤも油圧ダンパーも金属製ボールベアリングも無い此方の仕様では精霊獣であるレッド・アイに元の姿で全力を出されてしまったら一溜りも無い。


 精々がクィン・シーにとっての早歩き程度であったが、それでも大型犬サイズの時とは比べ物にならない速度で街道を突き進んでいく。


 その分リヤカーもどきの振動が割と洒落に成らないのだが、レッド・アイに牽いて貰っている間はミスト・ウィンドにも荷台に乗ってもらい車重を増やす事で多少マシになる。


 精霊獣も割と長期間大型犬サイズに擬態していられるのだが、それでもやはり本来のサイズの方がストレスが無いのか、ミスト・ウィンドも元のサイズに戻りたいらしく結局交代でリヤカーもどきを牽いて貰う事となった。


 尚、以前の採集行では材料の関係で草紐で代用して作るしか無かったミスト・ウィンド用のキャリアハーネスは、何度かの酪農村での取引の結果革材が入手でき、目出度く革製でほぼレッド・アイの物と同型に仕上がっている為、実にご機嫌である。


 クリンが進む山側の街道は、元々不人気の道である上に冬が間近に迫っている山街道と言う事で更に人気が少ない。


 ただ、それでもやはり街道沿いに点在する村や町から出て来る人はいる。それらの人間に見つかると厄介なので、その場合は毎回元のサイズに戻って貰ってレッド・アイとミスト・ウィンドの二頭引きに戻すのだが――その際、新しく加わっているドンナーフォーゲルが実に良い仕事をしている。


 この精霊獣も鳩サイズに擬態しているのだがそれだとやはり窮屈らしく、護衛が居ない今は元のサイズで割と自由に空を飛んでいる。


 その為、彼には割と遠くても人の姿を見つけることが出来、教えて貰う事で割と早めにレッド・アイとミスト・ウィンドの二頭引きに戻して難を避けることが出来ていた。


 そして、遠目に人気が無い時は暇なのか時々飛んでいる鳥や小型のウサギや猪などを狩ってクリンの元に持って来る。


 また、山を通る街道なので水場やちょっとした植生の濃い場所を上空から見つけて知らせて来るので、少ないと言われている宿場や町に寄らなくても補給が十分出来ちゃっていたりする。


「……うん、人目が無ければ無理して宿場や村に寄る必要はないですから、冒険者が居なくても何とかなっちゃっていますね?」


 むしろ他人が居ない分今までとは段違いの速度で移動出来てしまっている。コレはクリンにとっても誤算である。


 主要街道を通る方が安全であり道も良いのだが、その分人目が多いので速度も出せず、人間社会に適応せねばいけないので大人の助けが要る。


 だが人目が無いのであれば、多少の危険はあるがそれも上空で警戒してくれる精霊獣も居れば、夜間の警戒もしてくれる精霊獣も居れば、勘の良い小人忍者も居る。


 そして街や村に入れない不便さは、自給自足が出来てしまう変態少年が居ればほぼ無いに等しい。


 無理に宿を取ろうとしなくても、今の様に野営をしてしまえば良いし、食料はリヤカーもどきの保管庫に積んである麦があるし水もあるし、新鮮な肉はドンナーフォーゲルかナッ太郎かレッド・アイとミスト・ウィンドが取って来てくれる。


 野草は季節的にそろそろ取れなくなりつつあるが、それも山を通る街道なので森や林を見つけてクリンが入れば食べられる物は採れるし何なら乾燥させた物が積んである。


「……うん、この街道を通る間は別に冒険者を雇わなくても良いかなぁ。国境を超える時には居る方が良いから、その直前かその前辺りの大きな町なり街で募集する方が、この街道を通る限りは良いかもなぁ」


 この日はもう日が落ちかけているので街道沿いに適当な広場を見つけてそこで野営する事にし、準備をしていたクリンがふとした感じでそう呟いている。


 護衛と言う道連れが居る方が旅路が暇でなくて良いのだが、やはり居なければ居ないでレッド・アイ達精霊獣や椿がノンビリと出来るので、コレはコレで良いと思うクリンである。


 この時も擬態の必要の無いナッ太郎が、リヤカーもどきが野営予定地に止まった隙にフラリと山の方に向かい気晴らしの散歩ついでに狩って来た、山に生息するロックウルフと呼ばれる狼系の魔物を捌き、夕食の準備に取り掛かっている。


 まぁ狼を狩れる猫って何だよ、と思わなくも無いがそもそもナッ太郎は猫では無くカット・シーで有るので問題はない。だろう。多分。


 ウルフ系の肉は臭い事が多いのだが、その中でロックウルフやフォレストウルフ等に分類される、山や平地の森に生息するタイプは、雑食で草食寄りの動物を好んで食べる為に比較的臭みが少ないとされている。


 それでもやはり肉食よりの雑食であるロックウルフは多少の臭みがある。しかし、クリンにはとても強い味方が存在する。それは勿論――


「犬肉にはやはり味噌だよねっ! まぁ狼だしそもそも犬肉なんて食べた事無いけどっ! でも、入院中に戦中生まれとかっていうお婆ちゃんが『赤肉は味噌煮にすると旨いんだ』って言っていたしね! そして『生姜を付ければ完璧』って言っていたしね! ジンジャーはこっちの世界でも薬として売っていたから入手済みだしねっ!」


 コレである。お婆ちゃんの知恵は世界を跨いでも少年の強い味方である。因みに、レシピも何故か……と言うか当然と言うか、HTWに存在している。


 ただクリンも一つ勘違いしている事があり、少年が教えてもらったお婆ちゃんは戦中生まれでは無く『テレビで見た婆ちゃんが言っていた』のをそのまま言っただけである。


 そもそもがクリンが生きた時代は戦争をしなくなってから一世紀が過ぎているので、戦争中に生まれた人間はほぼ居ない。


 ――閑話休題――


 そんな、少年でもHTW以外では食べた事が無い、ナッ太郎が取って来た狼肉を捌き、味噌で煮込込み臭み消しに生姜と、乾燥させた香草類で煮込んでいる、その作業をジッと見つめるドンナーフォーゲルの視線にクリンが気付く。


「……うん? どうかしたのです? ああ、ドンナーフォーゲルが取って来た鳥は塩漬けにして保存させてもらっていますよ。今日はナッ太郎が狩って来たロックウルフの味噌煮込み鍋です。煮込むのに少々時間が掛かるのでもう少し待っていてください」


 と、料理の手を止めずにドンナーフォーゲルに言うが、それでもジッと此方を見たままである事に気が付き、クリンは首を傾げる。


「どうかしたのです?」


 と、クリンがドンナーフォーゲルに声を掛けると、向けていた目線を一瞬ナッ太郎に向けて、「グワッ」と一声上げる。


「ん……?」


 意味が解らずクリンがキョトンとしていると、フードの中から椿がピョコンと顔を出し、


「『アレはナッ太郎』と言っていますね」


 と、耳元で翻訳してくる。その事にドンナーフォーゲルが軽く頷く様に首を振ると、今度はレッド・アイとミスト・ウィンドに続けて目線を向けて「グワグワ」と鳴く。


「ええと……『コレはレッド・アイ、ソッチはミスト・ウィンド』だそうで……」

「ええ、まぁ……そう呼んでいますね?」


「グワッグワッ! グワグワ」

「『それらはクイン・シー、カット・シーの、それぞれの個体を指す名称だな』と」

「ええ、何かそう呼べと言われているので……?」


「グワッ! ググワグワグワ!」

「ええ……と……『自分にもそろそろ名を付けても良いのではないか』と……え、ドンナーフォーゲルは個体名持たないのでは!?」


 翻訳した椿の方が驚いた様に声を大きくしてしまう。驚いたのはクリンも同じで、思わず料理の手を止めてポカンとしてしまう。


 その様子に動じずに、ドンナーフォーゲルは「グワグワ!」と鳴く。そしてそれを聞いた椿は「ああ、それはそうですね!」と何故か納得してしまっていた。


「……ええと、椿?」

「あ、これは申し訳ありません。ええと『でもそれらは忍者名と言うヤツなのだろう? 我らも忍者の一員となったのであるから、そろそろ忍者としての個別名称を付けるべきだ』と。いやぁ、コレは私にも盲点でした!」


 と、朗らかに言って来る椿に――


「えぇ……!? まさかコッチまで染まっていたのぉ!?」


 と、まさかここに来ての新たな忍者被れの登場に、流石にドン引きしてしまうクリンであったと言う。








はい、折角の本編再始動ですので、このネタから入って見ました(笑)

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