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神に誘われて異世界転生してみた物の、良かったのか悪かったのか微妙ですが、概ね楽しく生きています。  作者: 一一
第十三章 冒険鍛冶師 三度目の準備編

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第510話 年始スペシャル閑話 元村幼女の秘密の友達と魔法の薬。その1


 護衛冒険者と別れ、再び一人旅に戻り、魔法のお勉強も目前で続きが気になるでしょう!


 なるでしょうが!


 ここの所ストレスが溜まっていたのと前回の閑話が長すぎたので泣く泣く飛ばした今話を、今日と明日の2日に渡ってスペシャルと言う事でぶち込んでみる!







 |モリーン・ファステッス《ファステスト村のモリーン》は現在八歳である。最も、ファステスト村を出てブロランスの街に引っ越して来たので、半年たった今ではファステストの名称を使うのは不適切になって来ているが。


 今年の夏頃、急に彼女の父親であるトマソンが仕事を辞めてブロランスの街に移住すると決断し、家を結婚を決めた長男にそのまま譲り次男を隣町の衛兵時代の同僚に預けて鍛えて貰う約束を取り付け――何故か真っ先に独立してしまった――一番歳の近かった三男の兄には「父ちゃんちょっと引っ越すから後は頑張れ」と言う実に軽いノリで告げただけで、ファステスト村を後にした父に着いてファステスト村を後にしたモリーンである。


 因みにその三男の兄は「ほーん。ま、元気でな父ちゃん」と鼻を穿りながらアッサリと別れを告げている。実は割と似た物親子であったのはその時のモリーンにも驚きだった。


 当のモリーンはファステスト村には友達が多かったので引っ越しはしたくなかったのだが、かと言って親と別れて生活など――どこかの変態少年ではあるまいし――考えられる物では無いので黙って着いて来ただけであった。


 ブロランスの街に引っ越して来た当初、顔見知りが誰一人居らず、しかも頑固な老婆に生意気な同年代の見ず知らずの子供が沢山いると言う環境は、田舎の村で育ち割と人見知りの気があるモリーンにはどうにも馴染めなかった。


 しかし、それも最初の内の話。ブロランスの街に来て半年近く経った、終誕の分け月を目前に控えた今ではもうすっかりとこの街に馴染んでいた。


 殆どなんの説明も受けずにいきなりブロランスの街に来たモリーンは、最初の一週間位で食べ物が合わずに体調を崩し、自分でも記憶にない位の下痢になったのだが、それをファステスト村の時に何度か顔を合わせた事のある少年――勿論クリンである――が何故かこの街に居て、酷い匂いと味のする鼻糞みたいな物を飲ませて来て、翌朝にはピタリと下痢が治まってから、モリーンのブロランスの街での生活が激変した。


 クリンが飲ませてきたのはセイロン・ガーンと言う、秘薬レベルの効果がある下痢止めで、しかもそれを作ったのが件の少年である事を知る。


 そして、どうやら自分が越して来たのはその少年が勉強している塾の様な場所であり、気難しいと思っていた老婆はその塾のエライ人で、父と母はそのエラい老婆を助けてこの塾を切り盛りする為に引っ越した事を理解する。


 そして、見知らぬ子供達は全員クリンと同じ、老婆から勉強を教わっている同年代の子供である事を知ると、ファステスト村には無かった勉学が出来て同世代の子供が自発的に集まる、と言う自分の知らない世界に一気に興味を持つようになる。


 そして、自分にその世界を見せた前の村では殆ど接触が無かった、自身の三人の兄よりも博識であり器用で彼女が望む物を何でも作ってくれる、風変わりな少年を「シュセンドーお兄ちゃん」と呼び慕う様になる。


 シュセンドーの意味は知らない。単に一番かわいがってくれた三番目の兄がそう呼んでいたので倣っただけだ。


 そのシュセンドーお兄ちゃんに、モリーンは数多くの事を教えてもらった。特にやくそー学と言う、彼女の酷い下痢を一瞬で直した魔法の薬を作る為の知識を、惜しげも無く教えてくれて、彼女は幼いながらも必死にその知識を覚え込もうと勉学に励み出す。


 だがその新しい生活も長くは続かなかった。慕うシュセンドーのお兄さんは、再会して僅か数カ月で再び彼女の前から旅立ってしまう。


 元々、モリーンがブロランスの街に越して来たのはクリンが旅立った後に、残される気難しい老婆とその教え子達を気遣っての事であった。


 その為引き留めようも無く、モリーンはごく短い間だけ少年にベッタリと張り付く様に多くの事を学んだ。


 既にその少年が旅立って三ヶ月が経つ。あと数日もすれば終誕の分け月が始まり、年が明ければモリーンも九歳になる。


 正直もっと少年には多くの事を教えて欲しかったのだが、年が明けて少しすれば新しい子供がこの手習い所に入って来る。


 その時には彼女もお姉さんとして新しい子達と接する必要がある。まだまだ学び足りない思いは拭えないが、何時までも何も知らない子供でも居られない。


 来年からは一緒に学ぶ仲間として、また先に勉学を始めたお姉さんとしてクリンから学んだやくそー学を教えてあげねばならない。


 だからモリーンは寂しい気持ちをグッと抑えて、今日もやくそー学の勉強に励む。あの気難しい老婆は、シュセンドーのお兄ちゃんの師匠でもある。


 教え方はやや古臭く解り難く、正直一度聞いただけではモリーンには覚えきる事が出来ない。


 お兄ちゃんの教え方の方が彼女には理解し易く同時に興味を引く小話を混ぜてくるので、飽きっぽい彼女でも簡単に憶えられていた。


 知識量は恐らく老婆の方が多いのだろう。でも自分が学ぶのならやはりお兄ちゃんの方が覚えやすくて理解も早かったのに、とつい思ってしまう。


 その事も彼女に寂しさを感じさせてしまうのだが、モリーンはそれ以上悲しまない。何故なら大好きなお兄ちゃんは、彼女に多くの事を教えてくれたのだから。


 それは今の彼女には何物にも代えがたい宝と言えた。何故なら、最後の最後、大好きなシュセンドーのお兄ちゃんは旅立つ直前に、モリーンにとっておきの秘密を教えてくれたのだ。その秘密は少年自らが、


『モリーンさん。この事は僕と貴方だけの秘密です。トマソンさんは勿論、お母さんにもドーラばぁちゃんにも手習い所の子供にも、絶対に教えてはいけませんよ? これはとても大事な、二人だけの秘密ですからね?』


 と、周囲を伺い声を顰めながら言って来た事だ。


『他の人に知られたら、僕はもうここに来る事は出来ません。勿論僕だけじゃなくて『他の皆』も街から出て行くでしょう。ですから、モリーンさん。この事は誰にも知られない様に、細心の注意を払ってください。それさえ出来れば『皆』も貴方の力となってくれます』


 真剣な顔でそう釘を刺され、幼いながらもモリーンはその秘密だけは絶対に他の人には打ち明けない、お嫁に行っても絶対に人には教えない、と心に誓った。


 少年との約束を守り続ける間、どれだけシュセンドーのお兄ちゃんと離れようと寂しくはない。何故ならその約束は、モリーンにとっても『新しいお友達』を守る為の、とても重要な物である事が理解出来ていたからである。





 だからモリーンは、その『新しいお友達』と会う際に細心の注意を払う。もっぱら皆が寝静まった後の深夜であったり、早朝の皆がまだ寝ている時間の裏庭であったり。その様な場所でしか会う事が出来ないし声を掛けない。


 そして、今日の様に既に手習い所から子供達が自宅へ帰り、テオドラは薬を作る為に作業場に籠り、父は役所に呼ばれて手習い所の運営に関する報告に向かい、母もその手伝いとして付き添い、手習い所の母屋に彼女一人が御留守番で居残っている、こんな状況も、数少ない新しいお友達を呼ぶ絶好の機会だった。


 テオドラが籠る製薬用の作業場は母屋からは離れており、自室にいる彼女の声は届かないし、二回程手習い所に誰か残っていないか確認した後自室に駆け戻り、あまり意味はないと解っているがそれでもキョロキョロと辺りを見渡し、人の気配が無い事を確認して、ようやくモリーンは安堵の息を漏らし『新しいお友達』を呼ぶ為に顔を天井の方に向ける。


「だいジョーブ! お兄ちゃんに言われた通り『サイシンオチューイ(細心の注意)』で二回ずつの確認もしたよ! カエデ、誰も居ないから出て来ても良いよ!」


 そう声を掛けるや否や――天井の一部が僅かにずれ――


「呼ばれて飛び出て隠れんジャー! ブラックホールに消えて戻ったあなたのアイドル、楓ちゃん! お呼びとあれば俺即さんじょーですよ、ニンニンニン!」


 ポポンッ! と言う軽い炸裂音と共にシュセンドーのお兄ちゃんが彼女の為に作って置いて行ったベンキョーヅクエと言う小型テーブルの上に、赤く染めた異国の民族衣装に身を包み、ご丁寧に本来顔を隠す頭巾として使う筈の布をマフラーの様に首に巻いている。


 手には――モリーンには読めないのだが――日本語で「日本一」と書かれた扇子を「バッ」と広げてキメポーズを決めている、全長二十センチ程の幼さの残る女の子が臼煙を上げて色々と混ざったセリフと共に登場する。


 そう、この身長が示す通り彼女は小人族だ。自称楓を名乗る、本名フレミィム・トティム・パッセルト・ポチャムン・キラムン・バンタリア・トゥムトゥム。


 忍者に染まった小人族。その中の一部族、森小人のトゥムトゥム族の少女。彼女の無駄に長い本名が示す通りに――椿の妹、楓であった。






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唐突に出て来た感がある楓ですが、実は最初から存在自体は薄く書いております(笑)


椿が十六歳位なら、楓は十二歳位の設定で前から考えていました。折角のスペシャルなので、ここで満を持しての登場にしてみました(´▽`*)b

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