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神に誘われて異世界転生してみた物の、良かったのか悪かったのか微妙ですが、概ね楽しく生きています。  作者: 一一
第十三章 冒険鍛冶師 三度目の準備編

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第501話 The whole new world 


お待たせいたしました。

500話記念ならぬ、501話新章突入記念!






 クリンがブロランスの街で、関わった多くの人々に見送られて旅立ってから既に一ヶ月。


 先ずはこの国の王都を目指した少年は、七日程かけて街道を進んで予定通りにこの国最大の都市であり都である王都に辿り着き――


 一ヶ月経った今も依然旅路の空である。とっくに王都についている筈なのだが、少年は変わらずブロランスの街から出た時のまま、レッド・アイとミスト・ウィンドにリヤカーもどき三号機の荷台に乗り、自作の和服もどきのフード部分に椿が寝ころび、少年の脇にはナッ太郎がヘソ天で寝ころび、その腹の上で鳩サイズのドンナーフォーゲルが乗り、優雅に羽根繕いをしている中の旅路だ。


 だが、ブロランスの街を出た時と大きく違う事が一つある。それは――


「クリン君。今日はこの辺りで野営にしよう。少し先の街道横に宿営地があるようだ」

「うん、先客はいないみたいだし、無理して次の町について慌てて宿を探す位ならここで野営した方が良いとアタシも思うよ」


 街道を進むリヤカーもどきの両脇に、それぞれ並んで歩いていた一組の男女が荷台の上のクリンにそう声を掛けて来る。


 そう、今の少年には同行者がいた。だが、ただの同行者では無い。彼と彼女は王都の隣の町から旅に加わった冒険者だ。


 勿論、ただ同行している訳では無く、二人はその町で護衛として雇った冒険者だ。


「あ、はい了解しました。ではレッド・アイとミスト・ウィンド、悪いですけれどそこまでお願いします。ふむ……見た感じ薪が拾えそうな程度には木もある様ですし、到着次第に野営の準備して、いつも通り食事は僕が用意しましょうか」


「お、そうか! やったな、ここの所順調に進んで村だの町だのに辿り着けてしまっていたからな。君の料理が恋しいと思っていた所なんだ」

「アハハ、アタシも実は楽しみにしていたんだよねぇ! いやぁ、この依頼の何が良いって旅で旨いモノが喰えるところだよねぇ!」


 護衛の冒険者二人が歩きながら嬉しそうに言う。彼等とはもう一週間半(十五日)程行動を共にしている為、その間に少年の料理は何度も口にしており、既に胃袋を掴まれている状態と言って良かった。


『国境を超えて、隣の国に入ってから最初の大きい町または街までの護衛』


 そんな内容の依頼を冒険者ギルドで出し、引き受けたのがこの二人であった。


 移動中宿泊する際は宿代はクリン持ち。加えて道中の食事も全てクリン持ち、達成報酬は一人銀貨八十枚(約八万円)と、拘束される期間を考えればかなり安い依頼料であるのだが、移動中の宿泊代は意外と馬鹿にならないし更には食費も地味に嵩む。


 元々国境を超えて隣国に遠征に行くつもりであった二人の冒険者は、依頼相手が子供でも支払い能力はありそうなので、ご祝儀気分で引き受けたのであったが、彼等の予想に反してこの少年はそれ以外にも商売道具である武器や防具の手入れが出来た。


 しかも二人の経験上、大きな町の鍛冶師にメンテナンスをしてもらうのと大差ない程の腕前であり、そのメンテナンスも依頼料に含まれていると考えれば、実は二人にとってもかなりお得な依頼で有った。


 そこに、更に野営時に振舞われる少年の料理が加われば、報酬自体は安くても文字通りに『美味しい依頼』と言えた。


 クリンの場合は野営道具一式はリヤカーもどきにあるし、無ければその場で作れる上に、保存食を自分で料理すればほぼタダである上に、いざとなればレッド・アイとミスト・ウィンド、そしてナッ太郎とドンナーフォーゲルに頼めば、食料になる獲物を狩って来て貰える。なんなら森なり何なりが有れば自分で狩れる。


 従って宿に泊まるにしても素泊まりで良くこの世界の宿の素泊まりは格安であるので殆ど懐が痛まない。


 しかも子供である自分が依頼者だからと侮る事のないこの二人は、冒険者と呼ばれる連中の中では珍しく「まともな部類」の人間であり、安心して雇う事が出来ると言う、双方にとって嬉しい誤算が重なった雇用者と被雇用者の関係となれていた。


 何故少年が今更ながら冒険者を雇って未だに旅を続けているかと言えば――話は一カ月前、クリンがこの国の王都に辿り着いた時に遡る。





 本来であるのなら、精霊獣達の速力ならブロランスの街から三日も有れば王都に辿り着けたのだが、首都への街道と言う事で人気が多くレッド・アイ達に全力で走らせるのが憚られたのと、如何に少年が作ったリヤカーもどきとは言え、やはり舗装もしていない街道をそんな速度で移動されては故障が頻発してしまう懸念があったので、ノンビリと進んだ為に時間が掛かってしまったのだ。


 そうして辿り着いたはいいが、実年齢九歳で外見上は六、七歳にしか見えない少年は、相変わらずと言うか、王都では特に宿を確保する事が出来なかった。


 どの宿に泊まろうとしても「親御さんを連れて来てね」と言われて追い返されるだけだった。そして当然だが遥かに都会である王都でクリンが野宿など出来る訳も無く、結局何時もの様に一旦王都から出て自力で野営するしか無かった訳であるが。


「そこまでして学びたいような学所や私塾が無いんだよなぁ」


 と言うのが問題であった。ブロランスの街の時の様に話の分かる人物が居れば、前回の時と同様に、王都で露店でも開きながら勉学に励むのもヤブサカではなかったのだが……


 残念ながらテオドラの手習い所の様に紹介状を持っていなかったので、


「ぼうや、先ずは手習い所で簡単な読み書きと計算を学んでからにしようね」


 と、どの塾や学所でも言われた。更には、


「保護者か身元保証人が居なければウチで学ぶのは無理だよ」


 と、既に読み書き計算が出来る事を披露しても、結局そう言って追い返されていた。ココまでされてしまえば、ブロランスの街の時の様に、露店を開きながら通いで、と言う気分でもなくなる。


「ドーラばぁちゃんが言っていた様に、この国の学問がショボイってのなら、苦労してまで入り込む位なら素直に別の国に行った方が早いでしょ。そこの様子を見てダメならまた別の国に。その方が色々と見れるし早そうだねェ」


 と言うのが、王都についてから五日間彼方此方に言ってはたらい回しと門前払いをされまくったクリンの結論だった。


 一瞬、テオドラにも言われた、某私塾の元塾頭がこの王都で錬金学校に居ると言う話も頭に過ったが、今更錬金を学び直して、そのコネで次の学問への足掛かりに、と言うのは遠回り過ぎるし、同じ遠回りであるのなら別の、学問に強い国へ行く方が良いだろうと考え、六日目には早々に王都から飛び出した。


 何故六日も粘ったのかと言えば。実はその内の一日は一々王都からで彼方此方移動して塾や学所を捜し歩いて時間を取られ過ぎてしまい、気が付いた時には王都の門が閉まってしまい、許可がある人間以外は出入りできなくなってしまった。


 そしてマトモに宿が取れないクリンは、仕方なく王都を歩き回ってスラム街の様な場所を見つけ、そこで野宿してしまったのだ。


 その際バッチリと王都の衛兵に見つかってしまい、王都でも衛兵の詰め所にドナドナされて、丸一日こってりと絞られた為である。


 レッド・アイ達精霊獣が四体も居るのだから余程の事が無い限り襲われる事はないとクリンは考えたのだが、少年が考える以上に王都の治安は良かった様だ。スラムの様な場所でもストリートチルドレンがいる様な事は無く、超絶目立っていた自覚が無かったのだ。


 これに懲りたクリンは以降街中で野宿するような真似はしなくなるのだが――それは今は関係無い話だろう。





 こうして王都を出たクリンであるが、その旅路はやはり順風では無い。相変わらず旅の間は宿に泊まれない。


 その為に街や集落があっても結局敷地の外で夜を明かし、必要な物を補充する必要がある時は日が昇ってから入るしかない。


 流石に不便を感じていた時、クリンはふと閃く。


「あれ!? 僕が子供で保護者が居ないからダメなんだよな? なら保護者を雇えば良いだけの話じゃねぇ!?」


 と。


 前世なら金を払えたら友達も雇えたし一緒に食事をしてくれる人も雇えれば一日だけの家族も雇えた。そう言う仕事も前世には有った。らしい。


 らしいと言うのは、前世で好奇心旺盛で何でもやって来たクリンであっても話に聞いただけで流石に頼んだ事が無かった為だ。


 だが、この世界には実に似た「金さえ出せば大体の事はやってくれる」と言う連中がいる。言わずもがな、冒険者達だ。


 流石に親代わり保護者代わりに、と言う依頼は引き受けてくれそうにないが、移動の間だけであるのなら、それらの交渉を彼らに頼めば、保護者の居ないクリンでもその手の面倒事から解放される。


「そうだよ、王都の衛兵にも言われていたし、護衛として雇えば全て解決じゃん!」


 と、そう閃いたのである。何故その様に考えたかと言えば、切っ掛けは王都で衛兵にドナドナされた時である。


「信じられないが、確かに君はちゃんとお金を持っているし、あの荷車の荷物をみれば、アレが商品でちゃんと商売も出来る事は解った。そして確かにその犬だの猫だのが居れば危険から逃れられるかもしれない。しかし、ちゃんと商売人として活動するのなら人間の護衛位雇いなさい。一人、ちゃんと武装した人間が側にいるだけで危険度がまるで違う。それだけ稼げるのなら十分雇えるはずだ」


 と、注意と言うよりも説教を受けてしまった。だが、言われてみれば納得できる話でもある。確かにレッド・アイとミスト・ウィンドが牽いているリヤカーもどきは、乘っているのがクリンだけなせいか、すれ違う旅人から奇妙な目を向けられる事が多かった。


 少年的には森の中の魔物や獣に比べれば街道を行く人間など大した脅威ではないのだが、知らない人間から見れば子供一人――それも一桁年齢以外に見えない――しか乗っていなければ、カモに見えていたかもしれない。


 そう考えたクリンは、王都から離れ次についた町で冒険者を手配した。閃いたのが王都から出た後だった事と、王都では仕事が多岐に渡り依頼されるために、あまり長距離護衛の依頼が出来そうになく見えたので、そのタイミングでの依頼となった。


 その町にある冒険者ギルドに行き依頼したのだが、最初は真面目に取り合ってもらえなかった。やはり見た目が六歳七歳であり、しかも依頼内容が旅の護衛となれば子供が払いきれる金額とは思われなかった為だ。


 だが、ブロランスの街に来たばかりの時とは違い、自作で異国的ではあるが綺麗な服装と、ブロランスの街の冒険者ギルドで既に何回か冒険者に依頼を出していて、その依頼終了書類を見せた為、驚きはされたが依頼は受けて貰えた、


 この世界の冒険者ギルドは、国や地域を跨いで効力がある程のスーパー組織ではないが、それでも他の街で同種の職場でちゃんと金を払った実績があるのは強かった。


 しかもブロランスの街の冒険者ギルドはお役所としての性質が強く、依頼終了所には馬鹿丁寧にバランによって優良依頼者である事が明記されていた。


 コレにより、横のつながりのないほぼ独立した関係の冒険者ギルド同士であっても、信頼性が段違いであり依頼は引き受けられる事になった。


 だが、本来この手の依頼はもっと大規模な行商を行う商人などがする物であり、クリンの様な荷車が一つ、それも馬ではなく犬が牽くサイズとなれば、人数を何人にするかで少々調整が必要であった。


 ただ、少年の場合は戦力としての護衛よりも、ちゃんと大人が居ますよ、と言う宣伝としての意味が強かったので、二、三人規模で十分であった。


 野営も当然視野にあったが、正直そこはクリンも十分慣れており、宿営の見張りのローテーションに入れる上に、正直精霊獣が四体もそろった上に忍者として目覚め過ぎてしまった小人族の少女が居ればハッキリ言って不要に近い。


 冒険者ギルドの受付と相談の結果、余り高い金額で子供が雇うのそれはそれで悪目立ちするからと、かなり安い金額での依頼がなされた。


 正直この金額ではスルーされる事の方が多かったのだが、そこはやはり冒険者ギルドの受付だったのだろう。


 この依頼を受けそうな冒険者に心当たりがあったらしく、引き合わせたのが一組の男女の冒険者だった。


 男性が「ラック」と名乗り、女性が「ライラ」と名乗った。どうやらこの二人はPT仲間とかチームとか言う訳では無く、元々数日以内に隣国に向けて旅立とうとしていたらしい。そこで、どうせ同じ方向に向かうのだから多少でも金になる依頼を受けてはどうか、と二人を説得してクリンに引き合わせたのである。


 当初、二人は余り乗り気では無かったが、クリンのハキハキとした受け答えと、この歳で実は職人と商人の二足のわらじで既に金貨単位の稼ぎがある事を知り、事前に前金として銀貨四十枚がそれぞれ支払われると解り、それならばと引き受けたのだった。


 子供のクリンに支払い能力がある事を証明する為に、予め金貨二枚の入った財布を別に用意しておき、それを受付と二人の冒険者に見せたのが良かった。


 ここで野盗崩れの様な冒険者で有れば少年を騙して金だけ持ち逃げしそうな所であるが、元々旅をするつもりの二人は、そんな手間をかける位なら一緒に旅するだけで目的地に着いた上に金貨二枚に近い金がそれぞれに払われるのだから危ない橋を渡る様な真似は考えない人物であったのはクリンにとっては幸運であったと言える。


 こうしてラックとライラのLLコンビはクリンに雇われる事となり、晴れてクリンの旅の道連れとなり現在に至った訳である。

 



クリン君も新章突入早々、人を雇うと言う事を覚えた模様。


そして、相変わらず衛兵さんにはドナドナされていた模様(´_ゝ`)

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