第2話
今回もよろしくお願いします!
皆さんは魔族と聞いて何を思い浮かべるだろうか。
漫画やアニメで登場/耳にする機会が増えた今だからこそ敢えて聞きたい。
理不尽に人々を襲う?
野蛮で獰猛?
冷酷で無慈悲?
きっと様々な意見が上がると思う。
だか不思議とその殆どが悪いイメージな事だろう。
だけどそれも当然の結果だと俺は主張したいね。
なにせ前世:日本で展開されている漫画やアニメの殆どで人族は正義/魔族は悪として描かれているからだ。
例を上げると【神に選ばれた人族の英雄:勇者が世界征服を企む魔王から世界を救う】とか。
皆んなも親の声ほど聞いた王道ストーリーだと思う。
現に俺も前世:日本で暮らしていた時は、皆んなと同じく魔族に対して悪いイメージを抱いていた。
魔族は絶対悪。
そして諸悪の根源だとね。
だが実際は如何なのだろうか。
百聞は一見にしかず、と言う諺にもある様に、時には自分の目で確かめてみる事も大切だと思う。
、、、。
えっ?
何故そんな説教じみた事を言うのかって?
それは勿論。
俺自身が身を持って体験した事だからだ。
全話に続いて今話も改めて自己紹介から始めます。
俺の名前はエマ。
前世:男子高校生の記憶を持った魔族の少女だ。
何時/何処で死んだのか。
どんな理由で死んだのか。
その辺りの事は一切覚えていない。
だが気が付いた時には魔族の赤子として、この世界に転生していたのだ。
当然ながら最初は滅茶苦茶驚いたよ。
なにせ周囲を見渡せば前世:日本とは明らかに異なる中世ヨーロッパ風の世界観。
街行く人々の中には獣顔/羽/ツノといった異形の存在。
どう考えても、この状況で平常心を保てる奴の方が化け物だと俺は思うね。
そんな訳で奇想天外/摩訶不思議な状況に陥ってしまった俺な訳だが。
実は人間。
意外にも適応力が高い生き物だった様で。
最初こそ凄く苦労した訳だが、時間が経つに連れて自然と今の生活にも慣れ始める事ができた。
、、、。
なんて筈もなく。
現在進行形で苦労は続いている。
では一体何に苦労をしているのか。
簡潔に一言で表すと。
ズバリそれは【魔族の価値観】って奴に尽きる。
うん。
マジでこの一言に尽きるんだよね。
それはもう誇張抜きでさ。
前述でも説明した様に俺も皆さんと同様、前世では魔族に対して悪いイメージを抱いていた。
だがこの世界に生まれ変わって早十五年。
その過程で魔族に対する印象も随分と変わった。
、、、。
えっ?
何だよ?
勿体振らずに早く言えよって?
分かった!
分かりましたよ!
今から言うから少し待って!
え〜。
コホンッ。
では改めまして。
魔族に対する現在の印象を簡潔に述べます。
今の奴等の印象。
それは。
、、、。
デデンッ。
【史上最強にクソな種族】です。
、、、。
うん。
そうだね。
きっと勿体振った割には予想通りの回答だったと思うよ。
拍子抜けだったと思うよ。
だけど別に良いじゃんか!
だってそれが事実なんだもん!
紛う事なき本音なんだもん!
なのに一々煩いな!
皆んなは俺のお母さんかよ!
、、、。
なっ、な〜んてね。(汗)
とっ、ともかく!
奴等はイメージ以上のクソ種族だって事だ!
それはもう想像を超えるレベルでな。
では具体的に何がクソなのか。
そんなの!
奴等が【クソ短気で我が儘】だからに決まっているだろ!
だって奴等!マジで凄いんだぜ!
何か問題が起きる度に全て力で解決しようとするのだ!
それはもう全身全霊でね!
分かり易く例を上げるとさ。
意見が相違すれば殺し合い。
逆に意見が一致しても殺し合い。
そもそも意見を出すという行為だけでも殺し合い。
とにかく何でも殺し合いで解決しようとするのだ。
ねっ?
どう考えてもマトモじゃないでしょ?
要は完全に頭オカって奴なのだ。
そんな訳で。
安全?平和?話し合いで解決?なんかクソ喰らえな種族に転生してしまった俺な訳だが。
意外にも周囲の人達に恵まれた事で、俺自身は比較的安全な生活を送る事ができた。
、、、。
なんて筈もなく。(※本日二回目)
例に漏れず幼少の頃より、それはもう何度もクソみたいな酷い目にあってきた。
本当に本当に!
マジで大変だったんだぞ!
なにせ些細な事でケチを付けられては!
気付いた時には殴られる!
それが毎日!ずっと続くのだ!
もうね!想像するだけでヤバいでしょ!
本気で嫌になるでしょ!
だけど一方的にボコられるのも嫌だからさ!
俺も全力で抵抗したんだよ!
殴られる度に殴り返して。
それはもう徹底的に反発した。
すると如何なったか。
俺は最強に強くなった。
それこそ魔族の中でも最強の集団。
十六神将の序列:第三位にまで選ばれる程にね。
どうやら俺には戦いの才能があった様だ。
、、、。
いや全く嬉しくないよ。
なにせ俺の前世は日本人。
平和主義者が故に、基本的に戦いは好まないのだ。
だが俺の意思とは反して、力が絶対主義な魔族の世界で、強大な力を持つと如何なるか。
答えは簡単。
【年中、戦闘に駆り出される】だ。
、、、。
此処で改めて、俺の現状を聞いて貰おう。
現在、俺は人族の領土と魔族の領土の中心。
国境と呼ばれる場所に立っている。
前方には武装した大量の人族。
そして後方には同じく武装した大量の魔族。
双方殺気立った状態での睨み合いが続く中。
その中心にポツンと立つ俺。
、、、。
、、、。
うん。
本当に何でこうなった!?