父の帰宅
改変しました。
今日はお父さんが帰ってくるらしい。
母はソワソワしてるし俺はワクワクしてる。
会うのは初めてだから緊張する。
セルリング辺境伯領の領都セルリンゲルは高い壁に囲まれた街の中にさらに壁がありその中のセルリンゲル城にセルリング家の人々とその従者が住んでいる。
所謂、城塞都市という物なのだろう。
俺や母は、セルリンゲル城の前で待つことにした。
この時初めてセルリング辺境伯領の兵士に出会った。エルフも何人か居て驚いた。どうやら父が帝国に来る時に何人かついて来たらしい。父はシルヴァナリス王国の王族ということもあり指揮官として戦場で戦っていたらしい。
帝国との交戦経験は捕虜になった時の合戦だけらしく帝国東部の住民はエルフと戦ったことはないため、領民からの評価は良くも悪くもなく、至って普通という感じだ。帝国の中央や、南部、つい最近まで戦争をしていた西部なんかはエルフに対する差別がかなりあるらしい。
帝国は戦争に無事勝利したため一応凱旋的な感じで帰ってくるらしく、二重の壁の外側の門から内側の壁の門まで続く道は、領民で溢れかえっている。
父がここに着くまで暇だったので兵士の人たちと話したりして待つことにした。普段は母以外ではメイドとしか話さないから緊張してしまう。
「は、初めましてレオナルドです、あなたの名前はなんですか?」
まずい、すごい硬い感じに話しかけてしまった。
それを相手の兵士は察してくれたのか優しい笑顔で答えてくれた。
「初めましてレオナルド様、私はセルリング辺境伯軍第一軍団長を任せられているガイカンと申すものです。アルフレッド様からはレオナルド様の護衛を任せられておりました」
ガイカンはいかにも武人って感じの筋骨隆々な体で、目つきが鋭かったが俺と話している時は孫と話す優しいおじいちゃんのような顔をしていた。話すのは初めましてだが、会うのは初めてではないと思う。まだ話すことが出来ないくらいの時に何度か見守られていたと思う。あれは護衛的な役割で見守っててくれたのかな?
ちなみにセルリング辺境伯軍は常備軍4万人で、今回の戦争では半数の2万人を率いて戦争に行ったようだ。
帝国の諸侯は戦争になった時に兵を率いて出兵することが義務付けられているらしいが、北部で起こった戦争に東部の辺境伯が軍の半数も率いて戦争に行くのは比率でいうと多いらしく、普通なら三分の一ほど連れて行くだけで良いらしい。それだけ名声を得ることを重視してるんだろう。
ガイカン曰く、父と一緒に来たエルフの兵士たちと元々いた領軍は最初の方は微妙な感じだったが、父含めエルフ達が積極的に交流したおかげで今では仲良しらしい。
そんなこんなでガイカンと話しているうちに領民の歓声が聞こえて来た。どうやら帰ってきたみたいだ。
◇◆◇ ◆◇◆
「おかえりなさい、あなた」
「おかえりなさいお父さん!」
父は綺麗な白髪を後ろで纏めた男らしいイケメンだった。目つきが少し鋭い感じでもあるがクール系イケメンとも言えるだろう。
体格は良いわけじゃないけど体はよく引き締まっていて細マッチョって感じだ。
「ただいまセルフ。初めましてレオナルド。さぁ、我が家へ入ろう。2人には色々と話さないといけないこともあるしな」
そう言って父は俺に笑顔を向けてきた。
うん、悪い人ではないみたいだ。
これから色々と教えてもらわないと。
なんてたって俺は次期辺境伯だからね。
タイトルを帰ってきたパパトラマンにしようかと思ったがやめときました




