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教皇とご対面です

久しぶりの更新です。遅くなってしまって申し訳ない。今週中にもう1話更新したいのですが、たぶん二、三週間後になるかなと思ってます。フェードアウトする時は筋を通すので、座して待ってね。

「久しぶり!おじいちゃん!」

「久しぶりじゃの。ルドルフ君から聞いたが王国の正規軍を怪我人1人出さずに鎮圧したそうじゃないか。さすがワシの孫じゃ。着いて早々で悪いがお前に会わせなきゃならん人がいる」

「だれ?」

「教皇猊下じゃ。お前に会いたいらしくてな」


教皇。マシア教の最高位聖職者の称号で、初代教皇はメシア。二代目はディノカンタス2世、三代目以降は、ディノカンタス2世の娘を始祖とする家系の女性から枢機卿の選挙によって選ばれている。全マシア教徒の指導者ということもあり帝国では皇帝と並ぶほどの力を持っている。

でも、そんな教皇が俺に何の用だ?


「教皇に会うってのはなんで?」

「教皇がお前の話を耳にしたらしくてな。ぜひ会いたいとのことだ」

「ふーん?で、いつ会うの?」

「今からじゃ。着いたばっかりで悪いが一緒に教会へ向かうぞ」

「まじ?お父さんはどうするの?」

「あー、ルドルフ君は確か皇帝陛下に伝えなければいけないことがあるのだろ?レオナルドはワシに任せて行ってきなさい」

「はい。よろしくお願いします」

「ガイセリック殿、私も着いていっても?」

「ミレーヌ殿か。まぁ大丈夫じゃろう。教皇は女性であり宮廷筆頭魔導士である貴殿のことを好いているからの」


いきなりで驚いているが、将来皇帝になるなら教皇がどんな人かを今のうちに知っておくべきだろう。もし今の帝国に不満を持っているなら利用出来るかもしれない。そんなことを考えながら俺はおじいちゃんと一緒に馬車へ乗った。


◇◆◇  ◆◇◆


教皇のいる帝都の大教会に着いた。でもなんていうか…

「なんか思ってたよりもしょぼい?」

「こら、なんて事言うんだ。まぁワシも初めて見た時そう思ったがな。皇城と比べると大きさも派手さも劣っているがな」

「てっきり皇城くらいインパクトのある建物を想像してたから肩透かしって感じ?」

領都にあった教会よりはかなり大きいし、綺麗ではあるけど皇城と比べると格落ち感が否めない。

「マシアは教会の建設なんかに金をかけるくらいなら孤児院や炊き出しに金を使えと言ったそうだ。だから帝都にある教会にしては規模が小さいのさ」

「さぁ、教皇猊下がお待ちじゃ。行こう」


◇◆◇  ◆◇◆


教会のシスターに、応接室のようなところに案内された。そこには60代くらいの祭服(カソック)を来た女の人がいた。

「お久しぶりです、教皇猊下」

「えぇ、久しぶりね、セルリング卿。デルフリード卿も来てくれたのね、嬉しいわ。そしてレオナルド君。初めまして、私はミラエス・マシアリス。全マシア教徒の守護者にして指導者、教皇よ」

「初めまして、ガイセリック・セルリング前辺境伯の孫。レオナルド・セルリングです」

「うん、知ってるわ。話に聞いていた通り。と言うよりは、見ていた通りといった方が正しいかしら?」

「え?」

「以前あなたが謁見を受ける前に案内された部屋を覚えてる?あの時隣の部屋であなた達の会話を盗み聞きしていたのよ。まぁ、あなたにはバレたけど」

そうだったのか。

確かに謁見を受ける前に案内された部屋の隣や上に人がいることは、あの時に新しい開発した魔法「風感覚(ウィンドウセンス)」で分かったんだっけ。そういえば、あれ以来新しい魔法を開発してないなー。帝都で暮らしている間は暇だし、ミレーヌと一緒に魔法開発でもしておこうかな。

おっと、いけないいけない。今は教皇と話してるんだ。集中しないと。


「なぜ、あの時隣の部屋で盗み聞きしていたんですか?わざわざ教皇がすることでもないと思うんですけど。もし皇帝に命令されたとしても教皇は皇帝の部下じゃないから従う必要もないし、僕のことを知りたいのなら直接じゃなくて部下に命じて盗み聞きさせれば良いだけなのにって思ってます」

「ふふ、やっぱり賢いのですね。あなたほんとに5歳?まぁいいでしょう。なぜ私が直々に盗み聞きしていたか、それは帝国においてマシア教会は皇帝直属の諜報部隊だからです」

「な?!」

へー、まぁ確かに各国に教会があるんだから他国のことを知るのに使うことは出来るよな。てか、今驚いてたのおじいちゃん?

「おじいちゃんも知らなかったの?」

「は、初耳だ。レオナルドはなぜ驚いていないんだ?ミレーヌ殿は知っていたのか?」

「知っていた、と言うよりは察していた?が近いかな。ちゃんと知ったのは教皇が冗談を言ったのでなければ今が初めてだ」

「ふふ、冗談なんかじゃありませんよ。現に私は帝国指折りの諜報員でした。教皇になる前はかなり活躍していたのだけれどね」

「どうしてそんなことは僕やおじいちゃん、ミレーヌに教えたんですか?」

「今私たちはある事件について調べています。ただ少し手こずっています。そこであなたに協力して欲しいのです。報酬は教会が帝国の諜報機関ってことを教えたことかしら?成功したらさらに色々と教えてあげましょう。これ以上先はレオナルド君と2人で話します」

「別に僕は良いけど2人はどう?」

「ワシはまぁいいが…教皇猊下、ミレーヌ殿は皇帝からレオナルドのことを見守ることを義務付けられています。その協力とやらにはミレーヌ殿も参加させてくれませんか?」

「…まぁ良いでしょう。デルフリード卿も、残って話を聞きなさい」


◇◆◇  ◆◇◆


おじいちゃんが部屋から出て行った後、教皇が話し始めた。

「さて、私たちが追っている事件についてお話ししましょう。最近スラム街の貧民たちによる強盗や窃盗が多発しています」

「スラム街の貧民が窃盗するのなんて日常茶飯事では?」と、ミレーヌが。

おそらく大陸一栄えているであろう帝都でも貧民はそれなりにいて、スラム街を中心に暮らす貧民がスリや強盗をするのはよくある話だ。それが増えたからといってなんで教会が関わってくるんだ?帝都の憲兵達に任せれば良い話だと思うけど。

「問題なのは、貧民が魔道具を使ってそれを行なっていることです。有力な商人や一部の貴族も狙われて、皇帝が直々に私に調査を頼むほど帝都においては問題になっています」

「魔道具を?貧民が?それは本当ですか?」

魔道具。主に魔物の体内から取れる魔石を使って作られた道具で、主に魔導士ギルドで作られている。自分の使えない属性の魔法でも魔力を流すことによって使うことができるものだ。強力な魔物の魔石でしか作れないから魔道具は基本的には高価で、もし仮に魔道具を貧民が手に入れたとしても普通なら売るはずだ。それなのに売らずに使って強盗?そもそもなぜ貧民が高価な魔道具を持っているんだ?

「おかしな話だと思うでしょう?私達も調べてはいるのですが、どうやら複数の組織が関わっているということしかまだ分かっていません。教会は他国での諜報活動は得意なのですが、国内の、それも帝都の犯罪組織に潜入というのは顔も割れていることもありなかなか難しく。だから犯罪組織にレオナルド君には潜入し、どこから魔道具を入手しているのか、もし指示している人間がいたら誰なのか、それらを調べて欲しいのです」

「なるほど…一応聞くのですが、帝国の正規の諜報機関は捜査に協力してくれないのですか?」

「そうですね…今から話すことは聞かなかったことにして欲しいのですが、よろしいですか?」

「はい」

「では、話しましょう。最近、北の共和国、北東の王国、南東の王国などの諜報活動が、突如に同時に活発になったそうです。帝国の諜報機関は最悪の事態を想定してそちらを調べなければならず、国内の、それも帝都内のことに手を割く余裕がないそうです。だからこそ我々、マシア教会が捜査を担当することになったのです」

「よく分かりました。セルリング次期辺境伯、神聖ディノカント帝国次期宮廷筆頭魔導士として、レオナルド・セルリングは捜査に協力します!」

将来の布石のために教会や帝国に恩を売るのは良いことだと思う。それにこれから生活していく帝都の治安が悪いのは嫌だしね。パパッと解決して名声を集めちゃうぞー!

教皇は女性しかなったことがないので女教皇とは言いません。教皇=女性が当たり前なので。

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