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東の王国について知りたいです

とりあえず盗賊たち?まぁよく分からない奴らを領都へ連れ帰ることになった。帝都に行ったら多少はすることもあるだろうけど、ぐーたら都会生活できると思ってたのに面倒くさいことになりそうだ。将来ここは俺の領地になるし、これから関わることも増えるだろうから、今のうちに隣国、東の王国のことを知っておくべきだと思う。またいつものようにミレーヌに聞いておこう。

「ミレーヌ、東の王国について教えてよ。色々知ってるでしょ?」

「あぁ、もちろんいいとも。でも、報酬はくれるよな?さっきの作戦を手伝った時の報酬もまだ貰ってないしな」

「はいはい、分かったから早く教えて」

「あのなぁ…まぁいいさ、教えてあげるよ。まず東の王国、ガルネシス王国は君の祖父が活躍した戦争で唯一の王子が亡くなってから内戦状態という事は知っているだろ?王子が亡くなった後は王と王妃が暗殺され、残った王女が王位を継いで女王になったが、歴史上その国には女王はいなくてな。貴族達の反乱が起きて女王派と貴族派で内戦になった。最初の頃は貴族派が優勢だったが、北東の王国と南西の王国が介入してきてから貴族派が中心となって戦った。だが、戦力を消費し過ぎて、泥沼の内戦になった。今はお互いに攻めるのを嫌がって束の間の平穏ってところだな。内戦が始まったばかりの時は王都の支配者が7回も変わったらしいが、今は小競り合い程度らしい。確か女王と王配の間に娘がいてその子は君と同い年だそうだ」

「なるほどねー、それで何年くらい内戦してるの?」

「皇暦685年から始まった。だから今年で20年だな」

「20年⁈それはすごいね。それじゃあさっき言ってた女王様が暗殺どうこうってのは女王が殺されかけたってことか。今の情勢は分からないの?」

「帝国はあまり関わりたくないみたいでな。積極的に諜報員を送ったりしてはいないみたいだ。対岸の火事程度にしか思っていないさ。だから私は詳しくは知らない。むしろ軍を張る必要がなくなるから長続きすることを祈ってすらいる」

「じゃあほんとに暗殺だとか武器を流してたとかは向こう側の勘違いなのかな?うーん、全く訳が分からんわ」

「私もさ。正直、周辺諸国についてはあまり詳しくなくてな。昔学園で習ったことしか知らない」

「その割には結構知ってるじゃん」

「私は一度聞いた事は忘れないからな」

「へー」

へー、頭いい人はやっぱりチートなんだな。

その後もなんやらかんやら雑談しつつ、盗賊?なのかよく分からない奴らを連れている割には平和に領都へ帰ることが出来た。


◇◆◇ ◆◇◆


「みんなー!帰ったよー!」

「おかえりなさいませ」

いつものようにメイドさん達が出迎えてくれた。

いやー、思ったより短かったな。もうちょい探すのに手間取るかと思ったらあっさり捕まえることが出来た。これは父さんも驚くんじゃないの?とりあえず父さんのところに行くか。

「ただ今戻りました。父さん」

「おかえり、かなり早かったな。めんどくさいことになったらしいな。詳しく話を聞かせろ。せっかく戻ってきたのにまた帝都に行かないといけないかもしれないしな」

ん?なんか嫌そうだな。思ってたよりも反応が薄いし。

「もうちょっと褒めてくれてもいいんじゃないですか?後、帝都に行くのそんなに嫌なんですか?」

「あー、まぁそうだな。よくやった」

「やっぱり気持ちがこもってないような気がします」

「はぁー、仕方ないだろ?帝都にまた行かないとなんだぞ?お前はカレンちゃんと遊んでて知らなかったかもだが、俺は貴族達にあったり、パーティーに参加したりでめんどくさかったんだ。俺はそうゆうのは苦手なんだよ」

珍しく口調が変だ。本心を話す時はこうなのかな?よっぽど嫌なんだろうな。

「まぁいい。とりあえず何があったか詳しく話しなさい」

俺は父さんになんやらかんやらガイカンとミレーヌも呼んで説明した。

「訳がわからん。とりあえず本人の口から聞くとしよう」

うん、俺もそう思ってたよ。実際訳分からんし。

父さんについて行くと地下牢にたどり着いた。

5年もここに住んでてこんな場所があるなんて知らなかった。

捕まえた隣国の貴族?の人は俺たちを睨んでいた。

父さんが色々と聞き出すみたいだ。そんなに素直に話してくれるのかな?

「初めまして、ルドルフ・セルリング辺境伯だ」

「…ギデオン・ハレイデス伯爵だ」

「君の話を聞こうと思って来た。なぜ村を襲った?」

「帝国製の武器を僭称者どもに売っている商人から拠点が国境付近の村にあると聞いたからだ」

「なるほど。では、女王が暗殺されかけたってのはなんの話だ?」

「言葉通りだ。つい最近女王を暗殺しようとした奴がいた。そいつを捕まえて拷問したら帝国の命令でしたと言っていたんだ」

「なるほどな。君の話を聞いた感じだと君達は騙されているみたいだな」

「そんなはずはない!我々も疑って調べた!だがやはり帝国の仕業だとしか思えなかったんだ!だから村を襲って武器の供給を止めようとしたんだ!」

「私の知る限りではそのような話は知らない。それに、国境付近の村で武器を製造、保管できるような村は存在しない。仮にあったとしても貴国の内戦の戦況を変えるほどの影響力はないはずだ。それよりもだ、これは立派な戦争行為だ。我が国の村を盗賊を装って襲い、我が国の民の安全を脅かした。これを理由に宣戦布告できるということを貴殿は理解しておられるのかな?」

「なっ?!、待ってくれ!」

「この軍事行動は貴国の女王が許可して起こしたのか?それとも貴殿の独断専行か?」

「わ、私の独断専行だ」

「なるほど。つまり貴国は帝国との戦争は望んでいないと?」

「その通りだ…」

「ふむ、これは一度皇帝陛下と話し合うべきか。いずれ君の処遇を決めよう。それまではここでいろ。おそらく身代金と交換だろうがな」

「……」

良いことを思いついた。

「父さん達は先に戻っといてくれない?俺は少し残って話したいことがあるんだ。あ、ミレーヌは残っていいよ」

「…まぁいいだろう。分かった先に戻っておこう。ミレーヌ殿、後は頼んだ」

そう言って父さんとガイカンは上へ戻っていった

「なぜ残った…」

「いや、少しいい考えを思いついてね。ミレーヌ、確か女王には俺と同い年の王女がいるんだよね?」

「あぁ、そうだが…君は何を考えているんだい?」


これはチャンスなんじゃないかな?俺は今そう思っている。この国の皇帝になる!って思ってたけど今のところどうやればいいのか分からない。だけど、もし仮に、仮にだ。内戦によって鍛えられた軍隊に俺が詠唱魔法を教えたら?おそらく一騎当千とまでならなくても1人で百人力の軍隊が出来るはずだ。つまり何が言いたいかというと。

「ミレーヌ、俺が王女と結婚して王になって軍に詠唱魔法を授けたら帝国を倒せるかな?」

「…いけると思う。でも、かなりの賭けだな。そもそも障害となるものが多すぎる…そんなに上手くいくのか?」

「でも、賭けてもいいチャンスだと俺は思うんだ」

「待て待て待て!一体お前達は何の話をしているんだ?」

「俺には夢があるんだ。皇帝になってかつての帝国以上の領土を征服して歴史に名を残すという夢が。そのためには内戦でも暗殺でも何でもして皇帝にならないといけないんだ」

「意味が分からない。君は何を言ってるんだ?正気なのか?」

「ギデオンさん、あなたに聞きたいんだけど帝国の村を襲ったのはさっき父さんに言った理由が全てじゃないよね?」

「……」

「帝国が把握してない戦況の変化があった。だろ?帝国の村を襲うぐらいなんだから恐らく戦で負けたのかな?だから、正面から戦うのじゃなくて相手の補給線を狙ったんだろ?もうそうするしか手がなかったから。わざわざ供給元──まぁ実際は間違いだった訳だけど──を狙うくらいだ。相手の領土を狙えない程度には守勢に回っていたんだろ?」

「…だったらなんだ、おまえみたいな森猿混じりの子供が内戦を勝利に導けるとでも言うのか?」

「あぁ、そうだよ。俺は魔法に革命を起こすんだ。これからはみんなが魔法を使う時代が来る。意思ある全種族が六属性の魔法を使えるようになるんだ。この意味が分かるか?」

「虚言だろ?虚言に決まっている。そんな事はありえない」

「ありえない?どうしてそう思うんだ?そのありえないって考えが魔法に限界を与えてるんだ。魔法に限界はないよ。実際俺は現時点で五属性魔法使いだ。証拠が見たいなら見せてやるよ」

俺はいつものように五属性の魔法を生成した。

「……」

「な?だから言ったろ?ギデオンさん。あなたに相談だ。いや、契約と言った方がいいかな?俺はあなたの国の内戦を終わらせる。そして大陸最強の軍隊を作り出す。その代わりに、その国の王女様と俺が結婚して俺が皇帝になることを協力させろ。いや、結婚は別にいいかな。とりあえず俺は皇帝になりたいんだ。そのために俺があなたの国の軍隊を育てる。どうだ?悪い話じゃないだろ?軍が強ければ北東と南西の王国に取られた領土を取り返して、さらに魔族達からも領土を取ることも出来るかもしれない。さらにバックには帝国もついている。これまでの20年とは比べ物にならない繁栄を約束しよう。要するにあなたの国の軍隊を強くする。その軍隊を使って俺が皇帝になるために戦ってもらう。そうゆうことだ。で、ギデオンさん。あなたはどうするんですか?」

「…まだ君を信用しきれてない。ただこの件が無事に片付いたら君のことを女王様に伝えよう。女王様が君を信用出来たら、その時は君を呼ぶ。それまでは待っていてくれ」

「ありがとう。良い返事を聞けることを願うよ。じゃあねギデオンさん。また会う日までお元気でね」

「…あぁ、君が来る前に負けてしまっては元も子もないからな。耐えてみせるさ」

これがうまくいくかは分からない。ただ俺が将来皇帝になるための布石にはなっただろう。正攻法って言い方が正しいのかは分からないが、戦争で活躍してクーデターからの皇帝になるナポレオンルートもありえるしな。吉と出るか凶と出るかは分からない。ただ、良い結果になることを祈って今日は寝よう。

前話でギデオンさんは顎の骨が折れていたような気がしますが、たぶん光魔法を使える人に治してもらったのでしょう。知らんけど。

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