さらば帝都、そして初戦です
あっという間に10日が経ち、セルリング辺境伯領へ帰る日になった。帝都にはまた近いうちに戻ってくるが、カレンと次いつ会えるのかは分からない。もしかしたら10年後くらいになるかもしれない。まぁこれからの俺の頑張り次第だ。そろそろ出発だ。カレンやミレーヌ、おじいちゃん達にさよならを言わないと。
◇◆◇ ◆◇◆
「おじいちゃん、また来るからね」
「あぁ、またな」
「ミレーヌさんも、またね」
「……」
「どうかしたの?」
「君は何か勘違いしてるんじゃないかい?」
「え?どうゆうこと?」
「私は君についていくが?」
え?
「なんだその「え?」って顔、言っただろ?」
そう言ってミレーヌは俺の耳元に顔を寄せて、
「君から一生離れないって」
笑顔が怖いっすよ
「マジかよ」
「ふふ、マジだよ」
「え、でも大丈夫なの?まだミレーヌは宮廷筆頭魔導士でしょ?」
「あぁ、大丈夫だ。皇帝陛下にはちゃんと許可を取っているからな」
「そですか、じゃあこれからもよろしくね」
「あぁ、よろしく頼むよ」
◇◆◇ ◆◇◆
「うっ…うぐぅ…」
「カレン、泣かないで?また会えるからさ」
「そうよカレン、また会えるわよ」
今朝カレンに今日帰ることを伝えてからずっとカレンは泣いている。まぁそうだよな、せっかく仲良くなったのにもうお別れだもんな。カレンとは笑顔でさよならをしたい。どうにか元気付けないと!
「カレン?泣かないで、俺は泣いてるカレンよりも笑顔のカレンの方が好きだよ、また会う時にお互い笑顔で再会できるように、さよならの時も笑顔でさよならしようよ」
「…うん、もう泣かない」
「うん、えらいえらい」
カレンは頭を撫でられるのが好きみたいだから撫でてあげた。
「レオ君、次会う時はさ…結婚してね」
なんか愛が重い子のセリフみたいだ。セルジオさん達も苦笑いしてるし。
まだ正式に婚約したわけじゃないけど…ここはYESって言っておいた方がいいよね、子供の約束だしね、大人になったら忘れてるでしょ。
「うん、いいよ。カレンに相応しい男になれるように頑張るからさ。カレンも頑張ってね」
「うん…ありがとう」
泣き止んでくれたみたいだ。
「じゃあ、またね」
「うん!またね!」
そう言って俺達は馬車に乗った。
さらば帝都!また会う日まで!たぶん二、三ヶ月後!
◇◆◇ ◆◇◆
帝都を出てから15日後、道中トラブルもなく無事に領都セルリンゲルに着けた。
領都を離れていたのはだいたい一ヶ月半程度なのに、すごく久しぶりに帰ってきたみたいだ。
「お父さん、次に帝都に行くのはいつぐらい?」
「ふっ、今帰ってきたのにもう帝都に行く話か?そうだな、おまえも早く行きたいようだし、2ヶ月後くらいだな」
「そっか、わかった。ふと思ったんだけどさ、あのまま俺を帝都に置いていっても良かったんじゃないの?」
「もう僕って言わないのか?」
「あ、やべ」
「いや、別に気にすることはない。そっちの方が自然だ、帝都に置いていかなかった理由は一つ。ここでしか出来ないことをおまえにさせるためだ」
「ここでしか出来ないことって?」
「狩りだ」
「狩り?何を狩るの?」
「盗賊狩りだ。おまえに兵を貸す。それを指揮して盗賊達を狩ってこい」
えーーー!
◇◆◇ ◆◇◆
盗賊狩りとかマジ?ってびっくりしてたらあっという間に話が進んでいった。
盗賊の規模は100〜120人ほどで、内戦中の東の王国から来たらしく、国境沿いの村を襲ったりしているらしい。
俺は、第一師団から100人(騎兵50、弓兵50)、
第五師団から200人の新兵を率いて戦う。
「第一師団から預ける100人は優秀な兵士たちだ。しかし、第五師団の200人は兵士になってから一年も経っていないような新兵だ。彼らを率いて盗賊と戦い、勝つ。俺が求めるのはそれだけだ」
なるほど、これはテストなのか。次期辺境伯の俺がどれほどの実力を持っているのかを確かめようとしているんだ。
「分かりました。父さん!必ず勝って帰ってきます!」
「あぁ、楽しみにしてるよ」
人生初の戦だ!後世で語られるくらいの名勝負を見せてやる!
次回、初めての戦いです。




