罪と罰
僕は何て無力なんだろうか。
彼女を失ってからそう思う。
子供の頃から何度も何度も遊んだ川・・・その日もいつもと変わらないと思っていた。
川の流れが、急に変わった、僕は流されていく彼女の手を必死につかんだ。
川の勢いは衰えず。ついに僕は手を放してしまった。
あれから7年・・・
彼女が流された川には、今日も蛍が飛んでいた。
窓から差し込んだ夏の日差しが顔に当たり、僕は目を覚ます。
「・・・おはようございます」
僕はまた、彼女が流される夢を見た。
僕の心に深く刻み込まれた罪の記憶
しかし、忘れることはできない。
きっと、この記憶と共に苦しみ続けることが、僕の償いだから。
「みなも」は幼馴染の1人だった。幼馴染グループの中心人物で、いつも笑顔を振りまいていた。
「匠」と「健介」はいつも喧嘩をしていた。そんな二人の仲をいつも取り持っていたのはみなもだった。
いつも公園の端に居た引っ込み思案な「愛染 弘子」に積極的に話しかけに行って。
輪の中に誘ったのも彼女だった。
もし、彼女がいなかったら、僕たちは、幼馴染としてここまで繋がることはなかっただろう。
そして、彼女を失った今。僕たちはもう、一度も集まることはなくなってしまった。
憂鬱な気分で学校へ向かう。いつもと変わらない授業。そこに色はついてない。
真っ白な日常の中で。ただ時間が過ぎるのを待っていた。
放課後になり、だれとも話すことなく家へと変える。
そして・・・僕はその川を見た・・・川には、今日も蛍が飛んでいた。
急に胸の奥が締め付ける感覚に襲われる。こうなることは初めてではない。これはきっとみなもが僕に与える罰なのだろう。僕は踵を返し神社に向かった・・・罰を受ける時いつも僕は神社へ向かって居た。心なしか神社の中に入れば痛みが和らぐと思っていたから。
しかし、今日という日は楽になることは無かった・・・
「どうして・・・」
その時後ろから声をかけられた。
「そんなことをしても君の罪は償えないよ」
僕は反射で振り返った。
そこには着物を着た少女がいた。
狐の面をかぶって顔を確認できないが僕は確信した。彼女は・・・
「みなも」
夏色の思い出は、そうして始まったのだ。