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3. 『ほわい、ごばっく、いれぐらー』

池に落ちた偽物はバチャバチャと水飛沫をあげて突然動かなくなって水に沈む。

「スギオー!」

おじい様は、慌てて異能を使う。

池の水が浮き上がり、人一人が入った巨大な水球ができる。

庭の花壇に水球ごと、偽物を落とす。

偽物は、花壇の上に横たわり、水を吐き、荒い呼吸をする。

「よかった。スギオ生きていて」

スギオのじい様が偽物を抱きしめる。

スギオはスギオのじい様に見た目はよく似ている。

それゆえに、私のじい様からも甘やかされていた。

だから、浮気しても最終的に許される。

どんな小さなことも褒められて怒られたこともほとんどないという状態だ。

私はというと次期頭首でさらにスギオの嫁ぎ先ということで厳しく育てられた。

そっなくこなしても褒められることはなく、小さな失敗はすごく怒られて、褒められるスギオが羨ましいと思っていた。

けれど今目の前にある光景はとても滑稽に思えた。

あれほど大事に大事にしていた孫が偽物になり変わっていることに気づかない。

やはり、じい様たちは皮しか見てない。

そんな奴らに構われたら、反発も十以上したくなるわけだ。

私とて、スギオが外で恋人、愛人を作るのは抵抗しなかった。

けれど、事前連絡もなしに遅刻して、無断でお友達を連れてきてら家を逃げ出し、婚約を不成立にする行動がダメだ。

わたしを協力させて、一族そう出て、派手に、反発してじい様を再起不能にしてくれればよかったものを。

スギオさえいればまだ下手な反発もなく封じ込めたのに。

うちの使用人が慌てて連絡したおかげで、スギオの家族が飛んできた。

スギオの家族は本当に慌てているように見える。

影武者だとわかっているのに演技が上手い。

わたしは顔を下に向け、顔を見せないように、必死に笑いを堪えている。

スギオの家族も演技がすごい。

そう白とした顔をしたり、赤くしたりしている。

一週間前にいきなり、駆け落ちからいきなり帰ってきた。

怒る演技も上手いなあ。

胸ぐら掴みたいような気持ちでしょうけど、じい様の前だから、抑えるために必死にスギオのお父さんは拳を握り込んでいる。

「ほわい、ごばっく、いれぐらー」

スギオのお父さんがつぶやいた。

西方の大陸の言葉で、なぜ、帰った、異常事態を意味する言葉だった。

どういうことだ。


スギオの父さんも影武者を認知していない。

では、この偽物は何者。

この状態は、スギオの家が用意したものではないのかしら。

ということは今の状態は異常。

まあ、スギオのお父さんがつぶやいたのが、異国語でよかった。

異国嫌いのじい様たちにはわからない。


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