表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生、転生、転生、転生……って、もううんざり  作者: 白髪銀髪


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/316

六歳 お茶会 6 なにか感づいてはいるみたい?

 お茶会で起こったことであり、多くの人に情報共有がされていたことも幸いした。

 人の願いが多くなれば、それだけ想いも強くなるということだ。

 私が、その世界で力を行使することが可能になる条件の一つは、その世界に正式に存在している人に心から乞われること。

 その想いが、今の城の中には溢れていた。私に直接言われなくても届くほどに。それだけ、他人を思いやる気持ちを持ち合わせている人が多かったということだ。素敵なことだね。

 ただ、この事件を仕組んだ、つまり、他人を貶めようとした人の想いまではわからないけど。

 それに、聖女の力というのは、この世界に正式に存在しているものだ。正式にこの世界の存在だというわけではない私の力、ということではない。

 私は子供たちの顔色を窺う。

 血色は良好、脈拍も呼吸も正常、痣だとか、そういったものも見られない。

 間に合ってよかった。毒がもっと即効性のあるものだったら、間に合わなかったかもしれない。

 一つ、失敗したのは、毒の種類を調べられなかったことだね。解毒を優先したから。

 多分、保全されているだろう、現場のカップやポットなんか、もしくは、茶葉とか、お菓子を調べれば、詳しくわかるかもしれないけど、それは私じゃなく、騎士団でも、あるいは、魔法師でも、誰かがやっていることだろう。

 子供たちを狙う卑劣な犯行は許しがたい。けど、私が直接犯人をとっちめに、なんていうのは、父や母が許さないだろう。

 とにかく、子供たちの危機的状況は去った。それで今は十分。私も部屋に戻っていよう。


「お疲れ様です」


 茫然とした様子で立っている騎士の人たちに一言だけ告げて、私は元の部屋へと戻る。父や母が、もし、様子を見に戻ってきたとき、その部屋にいなければ心配をかけるからね。

 私が聖女としての力を使ったところは見られてしまったわけだけど、そこまで気にすることでもないだろう。

 そもそも、一人や二人見たというだけで、誰が信じるのかという話だ。

 それに、私もわからないふりをすればいい。聖女なんてものに取り立てられても面倒だし。毎度、こんな風に対処できるというわけでもないんだから。

 自分の子とはいえ、ほかの大人たちも隔離されていて助かったよ。隔離というか事情聴取だろうけど。

 ただ、見張りの騎士が二人、よくわからない光を見たというだけなら、どうとでも誤魔化すことはできる。さすがに、記憶の改ざんまではしないけど。

 これは、力の行使とは関係ないけど、安心したら眠くなってきた。お菓子とお茶をいただいて、しかも城の中なんてぬくぬくと過ごすのに最適な空間だから、仕方ないね。 

 ううん。でも、寝てないほうがいいのかな。

 なにをしたのかはわからなくても、なにかをしたということはわかったはず。それは確実に、様子を見に来るだろう誰かに報告されるはずで、それで実際に子供たちの様子を確認すれば、健康状態は良好だということもわかるはずだし。

 そうすると、まあ、自然に毒が治癒するということも、ないとは言えないだろうけど、状況から判断して、私の仕業と断定されるだろうね。

 それが、聖女の力とはわからなくても、とくに、魔法や魔力に明るくないだろう――ようするに、魔法師ではない騎士の二人の証言からということなら、あの光は魔法だったように思う、と判断されることになるだろう。

 では、それを使ったのは、私だ。それが母や父に伝われば、また、今回は本当に、余計な心配をかけてしまうかもしれない。いつもとは違って、今回は本当に倒れるようなことはないんだから。

 もちろん、けろりとしていたら、それはそれで、魔法を使っても大丈夫になったのか、と思われるかもしれないけど。

 ただ、そこはよくわからないふりをしておけば、誤魔化せるはず。

 聖女というのは、なってしまうものではあるんだけど、そこに自覚がないことはありえない。少なくとも、私はそんな聖女と会ったことはない。私が聖女をやることになったときにも、そういう意識は生まれたから。

 つまり、自覚のない聖女、なんていう存在は、少なくともこの世界では、ありえない。

 それは私が、聖女なんて自覚はありません、という態度であれば、誤魔化すことができるということでもある。

 まあ、呪いとかじゃなくて、毒でよかったよね。いや、よくはないんだけど。

 呪いとかだと、解呪されたことが本人に伝わってしまうからね。あるいは、聖女の力では解けない呪いだってある。

 あの毒には、私の感覚じゃあ、呪いなんかまで含まれているってことはなかったし。

 

「さて、もうひと眠りしていようっと」


 私はふかふかのベッドに倒れ込み。


「アリア!」


 勢いよく扉が開かれて、起こされた。

 いや、眠りに入る前だったから、起こされたって表現はおかしいかもしれないけど。


「どうなさったんですか、お父様」


 たとえ、今生の父であり、騎士団長であっても、私のお昼寝を邪魔するのは許しがたいよ、まったく。

 もしかしたら、若干、不機嫌が顔に出ていたかもしれない。


「アリア? もしや、そこの二人がなにか不埒な真似でもしたのかな?」


「誤解です、団長!」


「俺たちは、真面目に見張りをしていただけです!」


 私が首を縦に振ったら、即座に二人の首が飛びそうな顔してるね。

 まあ、貴族の娘に手を出すとか――貴族でなくても関係ないと思うけど――死罪になってもおかしくはないんだけど。


「いえ、なにもありませんでしたよ。お父様が大きな音を立てて入っていらっしゃるまでは、快適に眠っていました」


 ちょっと意地悪を言っただけなのに、お父様がしょぼんとしてしまった。

 それに付き合ってもいられないので。


「お父様。なにかご用事があったのではありませんか?」


 今は、犯人検挙で忙しいはず。

 

「あ、ああ。アリアのいる部屋のあたりが光っていたという報告を受けたからね」


 光があったのなら、むしろ、不埒な真似は起こらないのでは? 普通、そういうことは薄暗いとかそういう場所を選ぶんじゃないかな? 

 まあ、それは、今は関係ないからおいておくけど。


「私はわかりませんでしたが。ここのベッドが思いのほか快適すぎて、ぐっすりと眠ってしまっていたので」


 思い切り伸びをしてみせる。

 

「お父様こそ、犯人は見つけられたのですか?」


「ああ。ついさっき、勾留が……捕まえたところだ」


 へえ。

 まだ、半日も経っていないのに。

 まあ、容疑者は絞れているし、魔法師もいるんなら、検挙も早いだろうね。

 

「そうですか。それは良かったです」


「団長」


 私が返事をしたところで入ってきた騎士が。


「子供たち――アリア嬢を除く、お茶会に参加していた子供たちですが、心配はないとのことです。解毒はされていて、状態も良好とのことです」


「そうか。わかった。陛下にもそのようにお伝えして来てくれ」


 父が自分で向かわないのは、この場の検分が先だと判断したからだろうか。

 騎士も魔法師も集まて来ているのだから、番をしている必要はないと判断されたんだろう。見張りの騎士も部屋に入ってきて。


「アリア。おまえはなにか知っているかな?」


「なんの話ですか?」


 わかりきっているけど、とりあえず、とぼけてみる。


「さっき、隣の子供たちがいる部屋に入っていったそうだね」


 やっぱり、誤魔化せないよね。見通しが甘いとかってことじゃなくて。


「はい。それで、なにか問題がありましたか?」


 私に許可を出したのはそっちの騎士たちだよ、と視線を向けてみる。

 

「子供たちの体調は極めて普通だということだけど」


「良好ならば、良いことなのでは?」


 悪化したとか、わけのわからない異常が発生している、とかならともかく。 

 私は首をかしげてみせる。

 騎士団も含めて、子供たちの体調が良くなることを願っていた人たちばかりだということはわかっている。

 

「アリア。おまえがなにを考えていようと、おまえもイシスも、私たちの愛する子だということは変わりない」


 しばらくの間をおいて、父は私を抱きしめて、母を連れてくるからと言い残して、ほかの騎士の人たちと一緒に出ていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ