第19話 新しい体を知る
今夜こそ、自分の体の召喚方法を教えてもらうぞ!
夕飯も済ませて、明日の出発の準備も済ませた。
2人にも言ってある。
準備万端だ!
いざ!
入眠!
・・・
・・・・・
「早速ですが、ラゴイルの体を捨てて、新しい自分の体を得る方法を教えて下さい!」
おじいさんと先生が沈黙し、お互いに顔を見て、アイコンタクトで何かを探り合っている。
・・・
「そうじゃな・・・。仕方あるまい。」
「そうね・・・。」
「ありがとうございます!」
「落ち着いて1つずつ教えていくからよく聞くのじゃ。」
「はい!」
「まず、お前さんが新しい体を手に入れるってのは、アルディの召喚や、ネロアの召喚とは違う。」
「何となく分かります。」
そうじゃなかったら、もったいぶらずに教えてくれるはずだからだ。
「単刀直入に言うわ。あなたの体を作るには、光の粒子だけじゃなく、闇の粒子が必要なの。」
それも何となく分かっていた。
だから、焦点を変えて、闇の粒子を教えてもらおうとアプローチしてきた。
何度もはぐらかされてしまったけど。
でも、はぐらかされる度に、確信に変わっていた、闇の粒子がポイントになっていると。
「必要になる粒子の総量は、お前さんが考えている新しい体の大きさとなる。そして、必要な闇の粒子は、光の粒子と同量じゃ。」
つまり、光の粒子と闇の粒子の半々で体を作るって訳か。
「光の粒子は、明日の日中集めます。」
「慌てるでない。ちょっと考えてみるのじゃ。こんな王都の目と鼻の先で、急に暗くなったら、どうなる?」
・・・怪しい事この上ないな。
「わかるじゃろ?」
「それなら、ネロア用の光の粒子がストックされているので、一時的に拝借します。」
「そうじゃな。ただ、明日王都に入ったとしたら、その王都の中にいる間、光の粒子を集めれなくなると思った方が良いかもしれんな。」
「はい。」
「あとは、闇の粒子ね。」
「お願いします。」
「あなたは、禁忌を2回も破ってるから、心配なの。」
「え?」
「自覚症状も無いの?・・・ホント、心配だわ。」
・・・
何だろう・・・禁忌?2回?
思い出せない・・・。
「はぁ。」
「・・・」
「この子達よ。」
先生が示す先には、じゃれ合ってるフクロウと蛇が居た。
え?・・・
フクロウは俺じゃないし!
・・・
俺の不注意が招いたって点では、そうか。
「ごめんなさい。」
「大丈夫じゃろ。根拠は無いけど。」
「いえ、根拠はあるわ。次の禁忌を破ると、あなたが後悔することになるから、大丈夫だとは思ってるのよ。」
「・・・」
「勿体ぶっていても仕方ないから教えるわね。」
「はい。」
「必要な闇の粒子と同じ量の素材になるわ。」
「素材?」
「そう。」
「光の粒子は、日中の明るい時に周囲から集めるでしょ?」
「はい。闇の粒子は夜ですか?」
「違うわ。闇の粒子集めに、周囲の明暗は全く関係ないの。」
「え?」
「必要な素材は何でもいいわ。」
「なんでも?」
「そう。空気でも、土でも、なんでも」
「それは便利ですね。」
「そうでもないわ。」
「え?」
「例えば、あなたの周囲の空気を取り込んだらどうなる?」
「・・・」
「あなたを中心に真空が生まれるわ。その量が多いと、バカみたいな災害が起きるわよ。」
「やばっ」
「ホントに分かったの?何でもかんでもって訳にはいかないのよ。」
「すいません・・・。」