第18話 召喚馬のサイズ変更
「野営の準備に取り掛かってくださーい。俺もネロアを小さくしたら、手伝いまーす。」
言い終わると同時に、アルディが駆け寄ってきた。
「ルラン様、小さくするってどのくらい小さくするんですか?」
俺に覆いかぶさる勢いで、鼻息も荒い。
相当気になっているようだ。
「落ち着けって。ストークと同じくらいのサイズだよ。」
アルディは、鼻息の荒いまま、ストークを見やる。
呼吸を整えて、俺の方に向き直して一言。
「分かりました。よろしくお願いします。」
そう言って、野営準備に戻っていった。
そういえば、アルディはストークに一目惚れしてたもんね。
あのサイズが、ストライクゾーンなのかな。
そんなことを考えながらネロアの前まで来た。
・・・
面と向かうと、ネロアの大きさは半端じゃないな。
初対面で“魔物”と言い放った衛兵の気持ちも分からなくもない。
「ネロアさん、心の準備は良いですか?」
ネロアの顔を見上げると・・・。
案の定、ペロペロしてるー。
良いって事かな・・・。
グラーシュの視線を感じた。
ネロアのサイズダウンには興味があるようだった。
ネロアが召喚馬だってあることを伝えてなかったから、念ずるだけで小さくしたら、とんでもない誤解が生じる気がした。
召喚馬であることは後程伝えるとして、それっぽくやるか。
ネロアの前で両手を広げて、一言。
「戦馬ネロアよ、ストークぐらい小さくなり給えー」
ってな感じでいかがでしょう。
ネロアは光に包まれた。
その光の一部が俺の体に流れ込んでくる。
それと同時にネロアの光が小さくなり、徐々にその光も落ち着いていく。
姿を現したネロアは、ストークと同じ大きさになった。
額の黒い〇模様は残ったままだった。
特徴がそのままって事は・・・無事にサイズダウン成功かな。
アルディの体のサイズに配慮しつつ、ネロアに合わせて馬具もあわせて小さくしたから、これでOK。
サイズダウンの最中に俺の体の中に納まった光の粒子を、探ってみる。
確かに、俺の中にストックされている。
ストックされている場所は・・・よくわからない。
胃袋にたまっているとか、そういう感触はない。
漠然と、光の粒子が俺の体にたまっているイメージが脳裏に浮かんだ。
ネロアは筋肉質で大きいから、ネロアの見た目が小さくなった分以上に、返ってきた量はかなりのものだ。
詳細は分からないけど100kgくらいは余裕で在りそうだ。
元のサイズに戻す場合にはこの粒子で十分で、周囲が暗くなることは無い・・・よね。
今ここで、念のため、ネロアを開放できるのか確認しておく必要がある。
いざ戦闘ってタイミングでマヌケな対応はしたくないからね。
カムフラージュも考慮して・・・。
ネロアに向けて右手を翳し、一言。
「戦馬ネロアよ、本来の大きさに戻り給えー!」
すると、右手から出た光でネロアが包まれる。
右手からの光が落ち着くと、ネロアが光の中から徐々に姿を現した。
これは完璧なカムフラージュじゃないか!
ただ、カムフラージュと分かってやるから、俺にはどうしても恥ずかしさが伴う。
それと、変化までの時間が多少なりともかかるから、いざという時はそれを考慮しなきゃならんことが分かった。
やっぱり、時間のある時に試しておくもんだわ。
転生してから気づく、避難訓練の大切さよ・・・。
そして、もう一度ネロアをストークと同じ大きさにして、野営準備に合流した。
お陰様で、累計50話に至りました。
日頃、読んでくださる読者の皆さんのおかげです。
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