第17話 初めての集落
明るいうちに集落の入口に着いた。
集落は入り口には衛兵が4名立っていた。
この集落で4名の衛兵は多くないか?
何かあったのかな?
「止まれ!」
進もうとした俺の前に衛兵が立ちふさがる。
この世界の礼儀は分からないけど、3人とも馬から降りた。
「なんだ、そのでかい魔物は!」
・・・
あー、困ったな。
ネロアは規格外にデカいよな。
ストークだってギリギリ馬かなって大きさなのに。
ネロアはそれよりも大きいから、初めて見れば馬と認識できないよな。
戦闘が想定される道中では、本能的に恐怖を感じるネロアの大きさが、重宝するけど・・・。
今度から集落とか人目に付く時には、一般人の考える“馬”の規格まで小さくするか。
「馬です。」
「そんなわけあるか!」
「いや、ぎりっぎり、馬なんです。おっきいですよね~。他の馬と同じものを食べるんですけど、量が半端じゃなくて困ってるんですよ~。」
チラッと衛兵を見る。
ダメだ。
この衛兵には、ネロアが魔物にしか見えていない。
今夜はこの集落の宿泊施設で安心して寝たいってのに。
おもむろに他の衛兵が割り込んできた。
「どうしても入村したいっていうなら・・・」
ん-、袖の下か・・・。
何処の世界にも、居るもんなんだな~。
「わかりました。いくらですか?」
グラーシュが一歩前に出てきた。
「そうだなぁ・・・。入村料もあるし・・・高いぞ~・・・。」
そういいながら、グラーシュを嘗めるように見始めた。
すると、ストークが大きく嘶いた。
分かるよ、その気持ち。
突然の事で、びっくりする衛兵たち。
この流れなら言える!
「すいません、入村の前に御飯みたいです。失礼しまーす。」
速やかに馬に跨り踵を返して集落を後にした。
「グラーシュぅ、入村料って言ってたよね。」
「そうですね。入村料はどこでもかかりますよ。王都に入るときは入村料ではなく、“入都料”が掛かるんじゃないでしょうか。」
おいおい、まじか。
村に入るのにカネを払うなんて・・・。
「入らなくてよろしかったのですか?」
「いいよ。村の入口で賄賂を要求してくるなら、もしかすると、村の中はもっと酷いかもしれない。」
「・・・」
「それに、今夜は安心して起こされること無く朝を迎えたいって思って、集落ならいいかなって考えただけだから。」
「それならば、私とアルディで完璧に警戒を致します。どうぞ安心してお休みください。」
参ったな。
そこまで言われると、「隣の集落行ってみるか。まだ時間も早いし~」って言い出せないじゃん。
つい先日、自分も警戒に当たろうと考えたばかりなのに・・・
・・・
よし!
あとで恩返しするとして、今夜は甘えよう!
いや、今夜も・・・か。
「分かった。今夜もお願いする。」
「任せて下さい!」
「そうと決まれば、今夜の野営地を探すよ~。」
集落に流れ込む川の上流に駆けていく。
小一時間くらい走ったところで、周囲を確認した。
ここなら大丈夫そうだ。
王都前夜くらいは宿泊施設が良かったのに・・・。
まぁ、俺の事だからさ、こんなもんだよね~。
詰めが甘い所は、丁寧に1つずつ詰めていくだけだよね。