第14話 いざ勝負
見慣れた白と黒の世界が広がっている。
おじいさんと先生も並んでこちらに向かって立っている。
いつになく真面目な雰囲気が漂っている。
「お待たせしました。」
「別に待ってないわよ。」
「晩飯に戻って良かったじゃろ?」
「よかったです。・・・その点は、何の反論もありません。」
「がははっ」
「ふふふっ」
「さて、今度こそ、教えて下さい。」
「・・・」
「闇の粒子の集め方!」
「分かったわ。」
「ありがとうございまーす。で、どのようにしたらいいんですか?」
「ちょっと、落ち着きなさい。」
「状況を確認するわ。集めた闇の粒子は何に使うつもり?」
「フクロウの羽の複製です。」
「そう。フクロウの羽は、クソジジイのフクロウの羽の複製が必要なの?それとも消音効果のあるフクロウの羽が必要なの?」
「ん・・・。言われてみればそうですね。」
「でしょ。」
確かに、消音効果のあるフクロウの羽の形状を光の粒子で複製すればいい・・・だけだ。
「実現したい事と、そのための行動は、きちんと関連しているか見極めなさい!」
「はい。」
・・・
フクロウが、飛んできて、おじいさんの左肩にとまった。
嘴を上手に使って、風切羽を一本引き抜いて咥えている。
おじいさんがフクロウをなでると、引き抜かれた箇所は元通りになっていた。
フクロウはおじいさんに風切羽を渡した。
神々しさを感じて、見とれていた。
「ほれ、ボケっとしてないで、手を出せ」
我に返って両手を出すと、おじいさんが羽を置いた。
全く重さを感じない。
綺麗な白・グレー・黒のグラデーションに見入っていると、消えていった。
次の瞬間、脳裏に風切羽が浮かんだ。
なるほど、これなら複製ができそうな気がする。
「ありがとうございました!」
「それはそうと、いいじゃろ!」
「え?」
「これじゃよ!儂、様になってるじゃろ!」
フクロウが方に乗っている姿のことか!
「凄くいいですよ。さっきも見とれちゃいましたし。」
「そうじゃろ、そうじゃろ。それに、何が良いって、すぐモフモフじゃ!」
そういって、おじいさんはフクロウを触って喜んでいる。
フクロウも目を瞑ってまんざらではないらしい。
「いいじゃないですか~」
「がはは、サイコーじゃー!」
・・・
それにしても、めちゃくちゃ触るやんけ。そんなに触ると・・・
「痛―っ!」
おじいさんがフクロウに噛まれた。
まぁ、そうなるわな。
テンションが上がりすぎて、触り方が粗雑になったのだろう。
「ははは、いいコンビですね。」
「がはは」
「で、今後はそのフクロウが監視してくれるんですか?」
「ん-、まだ無理じゃな」
え?話が違くない?
「おじいさん・・・提案覚えてますよね?」
「覚えとるよ。」
「そのフクロウさんが監視・・・」
「まだじゃ!」
「まさか・・・。遊び足りない・・・もとい、モフり足りないから手放せないとかいう訳じゃないですよね?」
「・・・」
「そんなことより!」
「え?」
先生の声で目を向けると、先生がゆっくりと両手を広げ始めた。
すると、背中から脇にかけて太さ5cmくらいの真っ黒な蛇が顔を出した。
この前見た蛇とサイズが全く違う。
おじいさんは、肩に乗せたかったからサイズを変えなかったみたいだけど。
やっぱり、積極的に手を加えると、あっという間にこんなに変えることができるのか。
・・・と、ここで終わらなかった。
蛇は、そのまま、先生の体を這い回り始めた。
チロチロと舌を出しながら・・・。
グラマラスなボディラインがはっきりわかるドレスに、体中を這いまわる黒い大蛇・・・。
「私も・・・いいでしょ?」
・・・
「すんごいです。」
怖さとエロさが絶妙に交じり合って、語彙を失ってしまった。
35歳の働き疲れて自らを不感症なんじゃないかって疑い出したってのに・・・。
ゾクゾクとドキドキが止まらない。
先生はそのまま近づいてくる。
不敵な笑みを浮かべながら、ゆっくりと手を伸ばしてくる。
伸びた指が、俺の胸にやさしく触れ・・・。