第12話 梟の今後
「何が言いたいのかな~?」
言葉は優しいが、先生が再び沸騰しそうになってる。
もうさ~、勘弁してよ~。
「まぁまぁ、落ち着くのじゃ。」
・・・
「提案なんじゃが、このシマフクロウちゃん、飼わんか?」
「だーかーらー!!」
「待て待て、わ、儂が面倒見るから!」
・・・
可愛いから飼うってのは提案にならない様な気がする。
他に考えがあるのかな?
「提案の内容っていうのは?」
「フクロウは、目が良い、耳もいい。首も真後ろまで回る。もちろん、どこかのマヌケと違って警戒心もある。」
どこかのマヌケと違って警戒心も・・・って、はい。すいません。
「それなら、上手い事、変質してくれれば、お前さんの良いパートナーになるんじゃないか?」
「確かに・・・」
「あなたも、そんなに簡単に乗らない!」
「でも、おじいさんが面倒見るんですよね?」
「任せろ、こんなモフモフの可愛いの、ほっとけんわ。」
「いや・・・面倒を見るんですよね?」
「がはは、任せろ、任せろ!」
「だそうです。」
「いいわ・・・。勝手にして頂戴。ちゃんとやってよね。」
・・・
「ちなみに、変質しそうですか?」
「この前の蛇は、特異体質ですぐに自発的な変質が始まったが、このフクロウちゃんは変質進まんのう。」
「ちょ、そこでしょ、肝心なのわ。」
「大丈夫じゃ、儂に掛ればあっという間に変質する。」
「え?そうなんですか?」
「そうよ。蛇は私が放置してるから、今もあんな感じだけど。」
先生の示す先には、とぐろを巻いて小さくなっている真っ黒な蛇が居た。
ははは、変質までは早かったけど、成長はゆっくりなのかな。
小さくても大きくても、どちらでもいいや、噛まないでくれれば、それで良い。
・・・
「ちょっと、おじいさんに質問なんですけど」
「なんじゃ」
「もし仮に変質したらですけど」
「もしってか、もう変質済んどるぞ」
「はい?」
「よく見てくれ、メチャクチャかわいくなったじゃろ!」
ん?
シマフクロウの縞のコントラストが凄いはっきりしたような・・・
「いいじゃろ。」
ん?
でも、気のせいかな、まだ変化が続いているような・・・。
茶色っぽい所がグレーに、色の濃い所が黒に、嘴と爪が漆黒の様な黒に・・・。
「あー!何をするんじゃー!!」
「いいじゃない!あなたのお気に入りの白を際立たせてあげたのよ!感謝しなさい!」
「ちょっと、白が際立つくらいが、味があって良かったのにー!」
「うるさいわねー。」
「酷いー。これじゃ、ガチじゃんー。」
ん?
ガチ?
「何が、ガチなんですか?」
「え?それは・・・。」
一瞬、おじいさんが我に返った。
しかし、白と黒になってしまったシマフクロウが目に入り、膝から崩れてしまった。
おじいさん、すっかり落ち込んじゃったな。
この質問はまた今度にしよう。
話がブレブレで、また質問をうやむやにされてしまいそうだ。
俺の“ガチ”の質問がまだ途中なのに。
「あのぉ、話を戻して、質問の続きイイですか?」
「なんじゃ。」
「あのフクロウの羽、欲しいんですけど」
「なんでじゃ」
「さっき襲われたとき全く音がしませんでした。フクロウの羽って、もしかして消音効果があるのかなって。それなら、弓の羽に使いたいなって思って。」
「特別に、お前さんには、1枚だけならやる。」
「1枚だけ?俺も詳しいことは分からないけど、矢には最低でも3枚くらい使うんじゃないですかね。」
「1枚だけじゃー!」
「・・・」
「あとは、光の粒子で複製すればええじゃろ!」
あ、そうか。
「でも、白と黒の綺麗なコントラストになってますよ。それを複製するには、闇の粒子も必要なんじゃないですか?」
「む!」
良し!
3度目の正直だ!
この流れなら聞けるはず!
今度こそ聞くぞ!
闇の粒子の集め方!