第10話 反省と野営準備
今日も、運よく、小川を見つけることができた。
昨日よりも、時間的にちょっと早いような気もするが、これ以上良さそうな場所も見つけれないような気がしたから、今日はここ!
決断力が大事!
「本日の移動はここまで!ここで、野営しまーす。」
周囲の偵察をするようになったことで、奇襲の危険を回避して進むことができた。
それだけではない。
進む先が見えることで効率よく経路選択ができた事で、結果的に今日一日で30kmほど王都に近づけた。
今日の成果としては十分だ!
しかし、余計な戦闘を避けるために採用した経路は、予定よりやや南に逸れている。
そのせいで、レーゼン侯爵の領地に僅かながら、入り込んでいる。
何かしらの探知に引っかかってないことを祈るしかない。
まぁ、緊急時の逃げ足の速さと、周囲1km四方の索敵があれば、捕まることは無いだろう。
予想外のゴブリン襲撃というアクシデントだったが、3頭の足の速さが分かって良かった。
これで目的地の王都までは、残り凡そ50km。
丸一日この調子で移動してしまうと、王都に入りは夜になりそうだ・・・。
夜ってだけで、なんだか危険な気がするし、夜の入城は衛兵に警戒され易いような気もするなぁ。
途中で一泊して、日中に王都に入るのが無難か。
・・・
「ゴブリンの襲撃以降は、特に危険な事も無く順調でしたね。」
考え込んでいたのを気にしてか、グラーシュが話しかけてきた。
「そうだね。明日は1日敵襲ゼロで進むから、安心してね。」
「え?もしかして、ルラン様が敵襲を抑え込んでいたのですか?」
ははは、俺が変な事ばかりやって見せてきたせいかな。
グラーシュはなんか誤解しているような気がする。
「俺が抑え込んでいたわけじゃないよ、単に避けて進んできただけ。」
「避けてって・・・分かるんですか?」
「何となくね。」
「凄いですね。」
「ゴブリン相手の初戦で敗走してるんだよ。全然凄くないよ。」
「あれは、奇襲です。奇襲を受けて被害ゼロなので、私たちの勝利です!」
「ははは、ありがとね。」
こうしてグラーシュが理解とフォローをしてくれているうちに、盤石な体制を整える必要があるな。
まずは野営の指示出し。
「グラーシュは夕飯の準備してね。」
「はい。」
「アルディは馬のケアしといて。さっきの戦闘で毒矢が使われていたようだから、小傷も見逃さないようにね。」
「御意。」
「野営セットは一旦、ここに出しておくね。」
「ルラン様は?」
「大丈夫。俺も仕事するよ。」
「いえ、そんなつもりで言った訳では・・・。」
「あ・・・、ごめん。」
「お疲れのようですし、休まれては?」
「大丈夫!・・・ちょっと、薪とかゲットしてくるね。」
死に損なったところにってか、死に立ち会っているから、心配しちゃうって感じかな。
さて、木材の回収だ。
昨日10本も伐採・回収したせいで、慣れたものだ。
作業は、あっさり終わった。
忘れずに、加工も済ませた。
矢の軸、薪のストック、着火用の枯れ葉やおがくずも、かなりの量になった。
これで当分は安泰だろう。
ひとまず野営地に戻ってみた。
まだ、二人とも作業をしていた。
「今日の分の薪、置いてくね~」
「ルラン様・・・」
「ちょっと川に行ってくる。」
邪魔をしてもいけないし、食料の調達に川へ行く事にした。