第67話 戦馬に命名 その2
改訂2023/04/14
妄想を膨らませつつも、乗馬訓練の一環と思って、ログハウス付近で龐徳に体を拭かれている召喚馬に近づいてみた。
こっちを向いて、ペロペロしている。
「そんなことしてっとぉ、また龐徳に怒られるぞ~!」
よく見ると、召喚馬の額には、黒い〇模様がある。
ん-、龐徳が名前つけたいのかな?
見れば、龐徳は念入りにブラッシングをしていて、命名どころではなさそうだ。
「龐徳~、召喚した馬の名前、俺が決めていい?」
「御意!」
残りは、デカい白馬と呼んでいたあの子の白馬だ。
今となっては、デカい感じしないんだよな~。
召喚馬の方がデカいから。
他の特徴ってなんかあったっけ……
馬屋に自分の白馬を入れてから、改めてあの子の白馬の特徴を探してみた。
んー、尻尾が長いくらいか……
この尻尾の長さからは、優雅さを感じるなぁ。
荒くなる鼻息で我に返った。
俺は尻尾に見とれて、お尻に近づいてしまっていた。
「ごめんごめん、悪気が有った訳じゃないんだわ。そんなに怒らないでもいいじゃん?」
んー、これは、俺が名前付けたら、怒って噛みつかれそうだな~……
それどころか、目が合う度に威嚇されそうだ……
「安心してくれ。俺はお前の名前を付けないから……思い人に名前を付けて貰えるように俺も掛け合うよ!」
ンヒーンッ
馬屋に柔らかく穏やかな鳴き声が響いた。
どうやら手を打ってくれたようだ。
馬屋を後にして、ログハウスに戻った。
玄関で、洗い終わった召喚馬を入れようとする龐徳と、洗い方が甘いとイチャモンを付けて拒む管理人のコントが始まっていた。
今、ちょっとそういう気分じゃないんで!
俺は二人に絡むことなく中に入った。
きっと上手いことやってくれるだろう。
「ただいまーっ!」
中から返事はない。
クマ……あの子は不在のようだ。
きっと、俺の昨日の話に真面目に向き合ってくれて……
気分転換に散歩にでも行ったのだろう。
そういえば、馬屋の入口にあった持ち物は、全て一か所にまとめられていた。
今後も付いてきてくれるって事なんだろうか。
そうであってほしい。
俺の期待のせいで、都合のいい事実だけが眼に入っているだけかもしれない……
どんな結論を出してくれるか、ドキドキしながら明日を迎えるしかないな。
お陰様で明日の出発準備も済んでいるし、おじいさんと先生から貰った宿題も済んだ。
特にやることは無い。
強いて言えば、体力回復か……
ログハウスに居て、実家からいきなり襲撃を受けるってことは無いだろうけど、用心に越したことはない。
念のため、警戒用の粒子を周囲に飛ばして……
これでオッケー!
さてさて、ちょっと昼寝するかな~。