第58話 戦馬召喚 その2
改訂2023/04/14
しばらく歩くと祠が見えてきた。
まずは、龐徳待望の馬の召喚に取り掛かるか。
手始めに……周囲の偵察および探索。
開始!!
昨日同様に、偵察粒子散開させた。
3km四方に人影が無いことを確認できた。
よし!やりますか!
召喚条件を確認すると……昨日よりも時間が早いから、周囲の粒子は少なそうだ。
一方で、召喚の対象が馬となれば、龐徳を召喚した時よりも必要な粒子の量は多そうだ。
でも、まぁいいでしょう。
昨日の異変と今日の異変に反ラゴイル派が気付いて、動き出したとしても、今日駆けつけることは無いだろう。
明日の朝には出発してしまえば、逃げ切れるはず!
よし!
「いでよ、戦馬、そして我に従えー!」
って感じかな……二度目でも恥ずかしい。
ん?
周囲に人が居ないことが確認できているんだから、カムフラージュの必要は無いんじゃないか?
そう気が付いた瞬間、自分自身に対する恥ずかしさが沸き上がった。
そんなこともつゆ知らず、周囲が暗くなり、召喚が始まった。
そして、目の前に白く大きな光の玉が現れた。
徐々に光が落ち着き、馬の形が見えてくる。
現れたのは、真っ白のデカい馬。
同じくらいか、ちょっと大きいくらいか……ぼーっと白く光っているせいか大きさが、よく分からなかった。
馬は……
なんか、ぺろぺろしてる。
ベロを出して……挑発してるのか?
なんだかマヌケで、こちらの気が抜けていくなぁ。
しかし、俺は背後から強烈なプレッシャーを感じた。
振り返ると、赤ら顔で眉を吊り上げた龐徳が仁王立ちしていた。
俺が侮辱されたと思ったのか?
今にも龐徳の怒りが爆発しそうだ。
でも、多分……そういうんじゃないと思うぞ。
ってか、凄い言い出しにくいんだけど……言うしかないよな~
オホンッ
俺は一つ咳払いをして、嫌な空気を断ち切ろうとしたが、無駄だった。
仕方ない……
小細工は無しに正面突破するか。
「龐徳くん、この馬が、君の馬だから。よろしくね。」
「御意」
小さいがハッキリとした声で返事をするなり、龐徳は馬の前に立った。