第55話 慣れてきた白と黒の世界
改訂2023/04/14
気が付くと、おなじみの白と黒の空間に居た。
そうか……ベッドに倒れ込むなり寝てしまったのか。
転生してからこっち、気絶するように寝ることが多いな……
気絶してるのか……?
分からないことだらけで、頭使いまくって、ベッドに入った瞬間に気が抜けて、脳貧血起こして、気絶……
死に損ないの体だし……有り得なくも無いな。
解決策は……
分からないことを減らすことくらいしか思いつかないな。
聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥!
おじいさんと先生に、報告と質問して、ドンドン潰し込みするぞー!
まずは……
「先生、すいません!不意打ちの分は試せませんでした。」
謝るときには速やかに!をモットーに営業していたせいで、つい食い気味に謝罪をしてしまった。
「いいわよ。見てたから。【黒き理】☆1ね。」
やったー!
すんなり☆をくれた!!
「ありがとうございまーす。」
「喜んどるところをすまんが……お前さん、召喚成功で興奮して、試し切りを忘れとるぞ。」
「あーーっ!!すいません。」
「まぁ、良い。召喚には成功したから☆2じゃ。」
「ありがとうございまーす。試し切りは明日やります!」
「で、今日は何をするの?黒?白?」
なんか、先生めっちゃやる気満々ですね。
教える気のある時に教えて貰うのが一番!
「まず黒でお願いしまーすっ。」
「そう……でも、明日は、白のスキルで、お馬さんの召喚が必要なんじゃないの?」
「ははは。」
お見通しですか……
『見てたから』って言ってたから、これから先の俺の体験する事は隠すことが出来そうにないな……
スキルを手に入れた代償か……
何もできないよりはマシ!
それに、二人とも悪い人じゃなさそうだし。
「まぁいいわ。私も今日伝えることは、凄い単純だから。」
「単純……?えーっと、何でしょう……」
先生にとって単純でも俺にとっては複雑怪奇って事も有り得る。
俺の中で募る不安を他所に、先生は話を続けた。
「脅威に向けて左手を掲げたら、脅威はどうなった?」
「俺の感触も、龐徳側の感触も無く消えたから、吸い込んだんじゃないかと思ってます。」
「察しが良いわね。その理解で正しいわ。」
「ありがとうございます。」
「実は、脅威じゃなくても、なんでも吸い込めるわよ。」
「え……?エ――――ッ!」
さらっと言ってくれるじゃんっ!!
そしたら、何で、俺は失禁しそうな怖い思いしてスキルを試さなきゃいけなかったんだよ!
逆でも良かったんなら、心臓に優しい方から試させてよ!!
「うるさいわよッ!」
「何も言ってませんよ!」
「目がうるさいわ!」
「初めて聞きましたよ、そのフレーズ!」
「誰がどう見たって、うっとうしい目をしてたわ!」
クッ……クッソ―ッ
美人の強気な態度に、どう対抗したらいいか分からない……
寝ても覚めても美人が待っている生活なんてサイコー!……と思いきや、思うように自分をコントロールできないから割と不自由だ。
最初に必要なスキルは、美人耐性だな。
「ちょっとすいません!」
「何よ!」
「この世界に、『美人耐性』ってスキル有りますかね?」
「プ―――ッ、ガハハハハッ」
耐えきれずに噴き出すおじいさん。
「あなた、重症ね……不憫だわ……」
「重傷で不憫に思うなら教えてください!!」
「そんなもの有る訳ないじゃない!バカなの!?」
「無いんですか?」