第42話 変装の手引き2
五人がローブを脱いで姿を見せてくれた。
さっきの容姿端麗発言は……自画自賛じゃなかったんだな……
改めて見ると、「モデルやってます」「雑誌の取材を受けたことあります」って言われても誰も文句を付けない容姿をしていた。
パーティで一番小さいのはエレナ、次は俺か……
え……?
俺前から2番目!?
「脱いだよ。」
「ねぇ、ローブは?」
「あ……ごめんごめん、ちょっと並んでもらっていいか?グラーシュも、何となく背の高い順に並んで……」
六人がお互いに背を見比べながら一列に並んでくれた。
「並んだよ!新しいローブ頂戴っ!!」
マコトの一言に我に返った。
いかんいかん、ついつい見比べて、目に入ったグラーシュに我を忘れて見とれてしまった……
久しぶりにまじまじとグラーシュの全身を上から下まで見たけど、グッとくるなぁ……
じゃない!!
俺がパチンと指を鳴らした。
次の瞬間、六人ともふわっと、白いローブを身にまとった。
「え…何…?」
「何が起きた?」
「軽っ!!」
「何これ?何で出来ているの?」
「ひひひーっ、内緒!」
「魔法……じゃないよね?」
「それも内緒っ!」
「いーじゃん、教えてよッ!」
「あのさぁ、リンゴって何でリンゴなの?って訊いて、納得できる答えってある?」
「リンゴの話なんてしてない!はぐらかさないで!」
「はぐらかそうとなんてしてないよ!要するに、そこにある物としてそういう物として享受しなさい!!」
ごめんな、マコト……教えようにも、俺も良くわかってないから、教えれないんだわ。
教えるなら嘘を教えたくないし……
「ルラン、マスクは?」
「ほい!」
もう一度俺が指を鳴らすと、5人のダークエルフの顔がマスクで覆われた。
「お面?」
「え?」
「目以外全部覆っちゃうの?」
「そうしないと、褐色の肌とエルフ特有の整った顔が隠れないでしょ。」
「これ、すごい!どうなってるのか分からないけど、顔にフィットするけど、口の動きや表情を邪魔しない!」
「ねぇ、ルラン……」
驚嘆の声を上げるダークエルフ達の中からマコトの疑念が音になって飛んできた。
「だからー、内緒だって言ってるでしょッ!」
「は~いっ」
「まぁ、フードの中を覗き込まれたら長い耳は見られちゃうし、褐色の肌もバレちゃう。仮面から出ている眼も凝視されたら赤いのがバレるけどさ。随分とリスクは軽減されていると思うよ。」
「そうだね。」
「それに……」
俺は自分の頬を指差して言った。
「お互いの頬を見比べてみて」




