第40話 大所帯の移動手段と言えば
「ルラン、私たちエルフよ。弓術とナイフならそこそこできるけど、格闘技や剣術なんて……」
「ははは、それなら尚の事、アルディとエレナに勝てる見込みないな。」
マコトの一言で熱が冷めて、賢者の石集めのチャンスを逃したくない俺は、さらに煽ってみた。
「ルラン、言ってくれるじゃないか?必要無いからやってないんだよ、格闘技も剣術も!!」
はいはい、そうですか。
まぁ、四の五の言わずにやってみればわかるさ。
最強のスキルで召喚した二人だからな。
違うな、最強“らしい”スキルで召喚した二人か……
そう思うとなんだか不安になって来たなぁ。
でも、アルディとエレナが強気発言してたし負ける訳ないか……
「じゃ、この話はここで終わりーッ!」
「おいーッ!ここから……」
「忙しいんだって、次の話するよ。明日以降の!」
「「はーい。」」
イチオ、マコト、タマエが乗ってくれたので良かった。
押し切れる!
「分かっていると思いますが、このアジトには居られません。速やかに退出します。この話し合いが済んだら、速やかに撤収用意してください。出発準備が整ったら、各々家族やお世話になった人への別れのあいさつなどを済ませてきてください。全員がルーロック山での所用を済ませてここに集まり次第、ミーヴに出発します。」
俺も、ランコの埋葬行ってきます!
ってのは言わなくていっか。
マヌケって言われて話がまた脱線しそうだから……
「で、馬のある人は居ますかー?」
「居る訳ないでしょッ!」
マコト……ありがとう。
こういう会議の時って、ヤジとかは困るけど、速やかなリアクションは進行がスムーズに進むから非常に助かるわ。
ただ、もう少し穏やかな返答をお願いしたいものだけど……
「そしたら、馬車が必要になるね。」
「馬車なんて……」
「みんなが所用を済ませて戻ってくるまでの間に何とかしまーす。」
「「はーぁ?」」
「もうやめよう、ルランにツッコミ入れてるとキリが無いし、多分何とかしちゃうだろうから。」
マコトがすかさず宥めたが、呆れてるのか、感心してるのか……宥め方ってのがあるだろ?どうせなら感謝して欲しいんですけど。
「では、用意しますので、ダークエルフファイブは、基本的に馬車移動となります。」
「ダークエルフファイブって止めて!」
マコトが自重できずにツッコミを入れてきた。
「いいじゃん。間違いじゃないんだし。」
「いや、街中でそんな風に呼べないでしょ!ってか、絶対に呼ばないで!!」
言われなくても、街中でこんな風に呼ばないけどな。




