第31話 雷作りのコツ
「そろそろ、いいでしょーッ!ルラン!!雷の生成、どうするつもり!?」
痺れを切らせたマコトが叫んだ。
突然の大声に手綱を握るグラーシュがビクっとするのに合わせてストークまで首筋を伸ばした。
「おいおい、危ないから突然大きな声を上げるなよー」
「うるさーい。いいから、カミナリーッ!!」
本当にマコトは、こういう面白そうな話が好きだよな~。
まぁ随分と祠から離れたしアジトまではまだあるし、人気もなさそうだからこの辺からならいいか……
「わかったから。マコト一旦落ち着こうな。グラーシュ、いいかい?」
「はい」
「ウォーターニードルを工夫して、氷の針……アイスニードルになるのかな、作れるかい?」
「氷ですか?」
「そう。温度を下げるイメージ……キンキンに冷えた水が固まっていくイメージ……どう?」
「水の温度を下げる……ですか?」
グラーシュは右手を手綱から離し掌を上に向けて念じ始めた。
しかし、時折水柱が上がるくらいで氷が生成される気配が無い……
「ん-、ちょっと難しいです。」
「そっか、そしたら、水で結晶を作るイメージならどう?小さな水の粒子を綺麗に向きを揃えて整列させてギュッと凝縮する感じかな。」
「水の結晶!?んーっ……やってみます」
再び掌を見ながら念じ始めた。
5本の指から水が生まれ、掌の上に水が集中し、一部が結晶した。
「それーっ!凄いぞ、グラーシュ!!その感じ!」
「はいッ!」
「ヤバ、ちょっと……グラーシュってマジで天才なんじゃないの……魔法使えない奴の助言で実現してる……」
「ヤバいね。あんな素人っぽいイメージを言われてさ、俺には無理」
マコトもイチオも感心している。
ついでに俺のことをディスっているけど許す!
俺の考えているステップをグラーシュが超えていることが何よりも重要だから、小さい事は気にしない。
「次はどうしたらいいですか?」
そう、俺のことなんて気にならないくらいグラーシュも集中してるからこれはチャンスだ!!
「同時に、いくつもそれ作れる?」
「多分大丈夫です。」
「ただし、大きさはバラバラね。同じ大きさにしないでね。」
「え……?バラバラでいいんですか?」
「いいよ。バラバラの方が良い。むしろ、掌一杯に作って欲しいから、一つ一つの結晶は小さい方が良いかも。」
「了解です。掌一杯ですね。」
「そう、かき氷みたいに、ちょっとやってみて。」
「かき氷?」
「あ、ごめん気にしないで。掌に山盛りの氷の粒の山を作る感じ」
「はい」




