第30話 雷撃魔法伝説
「先の大戦の二山の協力で作れた光の壁……ルランの見立てだと雷だったよね?両方の加護をゲットしたグラーシュなら作れるんじゃない?規模は小さいだろうけど……」
「あーーッ!出来るかもーーッ!それってさ、魔法で雷撃もできるかもしれないって事だよね?」
「そう!!」
忌み嫌われて恐れられる存在のダークエルフ二人が楽し気に話してなんとも微笑ましい光景よ……
ふんふん、雷撃、雷撃ね~、雷撃……
「はっっ!?雷撃?カミナリッ!?ヤバくねッ!!!」
「わーっ!!ビックリした!ルラン!いきなり大きな声出さないで!」
「ごめん。でも雷撃ってロマンの塊やん!!」
「あ、ルランにも分かる?」
「分かる分かる、俺が魔法でやってみたいのマジでそれ!グラーシュ、雷作ってみて!」
「え……?」
「雷撃てるようにしてッ!」
「は、はい!」
「ちょっと、ルラン、落ち着きなよ!グラーシュ困ってるでしょッ!!」
「そうだよ。雷撃って無茶苦茶言ってるよ!」
「え?そうなの?でも、二人が雷撃できるって話してたんじゃん」
「はぁ……どういう風に雷を生成するかわかっていないと、作れないよ。」
「え?詳しく!」
「はいはい。雷を作ったエルフ達は、風と水属性を持っていたって話なの。でもそれは今だって備えているエルフは居るよ。でも、雷を作れるエルフなんて私は聞いた事無い。でも、グラーシュは両方の属性の加護まで持っているから、雷の作り方さえ分かれば出来るかもって話。分かった?」
「そうそう、出来る人が居て、実際に雷撃してるを見せて貰えると話が速いんだけどね~」
「二人の言ってることは何となく分かった。そういう事か……グラーシュ、雷をイメージできる?」
「ピカッと光ってゴロゴロ……ですか?」
「それは、雷が生まれた後の雷撃のイメージだよね。そうじゃなくて雷が生まれるイメージ!」
「え……?うーん、全然分かりません。」
「ほらぁ~」
「無理もないよ……」
マコトもイチオも諦めが早いなぁ……
「大丈夫だって!」
「ルラン……気持ちは分かるけどさぁ。」
「そうだよ。何が大丈夫なんだよ」
ふふふ、グラーシュはな、天才なんだよ。
とはいえ、努力するタイプの天才だから、修得までは暴発の危険もある。
「ま、祠に何かあったらいけないから、アジトに向かいながらにしようか。」
「はい!」
「おいおい、マジかよ、ルラン。本当にグラーシュに雷を?」
「大マジだよ!」
俺だっていずれは雷魔法を使えるようにしたいけど、今は仕方ない。
だって、水属性も風属性も無いんだから……
こうなったら、先にグラーシュに雷撃できるようにしてもらって、教えてもらおう。




