表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生しても”はぐれもの”  作者: C-HAWK
第1章 転生から旅たち
46/475

第46話 度胸試し その2

改訂2023/04/14

「主上、準備万端です。」


ははは、そりゃあ良かった。


こっちの心の準備は、もう少しでボロボロと崩れ落ちてしまいそうだったよ。


やらなきゃ、分からないッ!


やらなきゃ、終わらないッ!


意を決して俺が左手を上げた瞬間、龐徳は躊躇無く打ち込んできた。


殺気のようなものを感じて、俺の体が固まってしまい、またも動けなかった。


しかし、今度こそは見逃さない!!


振り下ろしまでの刹那、左手に枝が当たる瞬間、またも左手が黒くなった。


しかし、今度は左手を含めた周辺の空間も黒くなった。


そして、龐徳は木刀を振り抜いた……


「主上!」


龐徳の呼びかけに、自分の拍動が応じ、我に返った俺は龐徳の持つ枝に視線を落とした。


枝の一部は、無くなっている……


黒い空間に接触した部分は、何処に行った……?


「龐徳……打ち込み時の感触は?枝から伝わって来た接触時の抵抗は?」


「全くありませんでした。」


「無い……?ホントに?」


「はい」


触れた箇所から消滅しているなら、龐徳は何らかの触感を得るはず。


龐徳ほどの手練れが感触を誤認する事なんてないだろう。


まして、今は龐徳も不信感と探求心を持って、枝に神経を集中していたはずだ。


それがないとすると……


触れてない……


ということは……


左手を中心に脅威の範囲で黒い空間が生じ、脅威をそのまま飲み込んでいるとか……?


理解が追い付いていないが、【黒き理】のテストに取り組んだことには違いないし、きちんとやり切れた筈だ。


理解が出来ない部分は先生に解説をお願いするとして、まずは体験したことをそのまま伝えよう。



っていうのと、先生の言う通り、これは防御に使えそうだが、絶対にカムフラージュの必要があるな。


だって、忽然と消えてしまうなんて、第三者が見たら不審極まりないからな。


しかし、このカムフラージュは……難易度が高そうだ。


魔法でカムフラージュするしかないんじゃないかな。


そんな都合のいい魔法があるのか知らんけど。



そんな俺の悩む様子を気にもせず、龐徳はただただ俺に感服している。


「主上、流石です……私の投石も打ち込みも微動だにせず、対処なさった。」


「はは、ははは、すくんで動けなかっただけだよ。」


「御冗談を」


いや、冗談じゃないのは、お前の投石と打ち込みだ。


どう考えてもテストの域を逸脱し切っていたぞ。


白線ギリギリとか、白線の上とかじゃなくて、もう丸ごと出てた感じだわ。



龐徳の謎のヨイショはさておき、黒き理☆1の為に、残すは“不意打ち”の確認だ。


「もう一つ試したいことがるんだけどいいかい?」


「何なりと。」


「俺に不意打ちをして欲しいんだよね。例えば、俺は目を瞑っているから、背後に回って、龐徳の好きなタイミングで打ち込みをしてくれるかい?」


「主上……それはお断りいたします。」


龐徳の目には、これでもかと言わんばかりの力が入っていた。


「ちょ……大丈夫だから」


「お断り致します。」


これは、断固拒否か。


命令が使命と矛盾しているから、従えないんだろうなぁ……


ちょっと待てっ!あの殺気を満ちた投石と打ち込みは、何故できた?


不意打ちじゃないから、きっと大丈夫!って思ったのか?


この虚弱な体に向けてやって良い限度を超えていただろ!


それでいて、今更になって忠節の武将気質が出て来て、主の背を打つことなんて、できないなんて……


まぁ、どうであれ、試せないのだから仕方ないか。


こればっかりは、先生に掛け合ってみるか。


こうして、【黒き理】のテストという名の一連の度胸試しが終わった。


恐怖体験で、未だにドキドキが収まらないし、何度も抜けかけた腰はバカになっていて、ログハウスまで歩けそうにない。


地面に座り込んで一休みしていると、こちらに騎馬が近づいてくるのが見えた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ