第28話 不屈の挑戦
無事にお参りを済ませた。
なんだか気持ちがスーッとして……晴れ晴れとした気持ちだ。
今度こそ上手くいった!……はずだ!
横に居るマコトの視線を感じ不安が混ざり込んだ確信を抱いたまま俺は後ろに下がった。
入れ替わるようにグラーシュもイチオと一緒にお参りをした。
不思議とグラーシュがお参りしている最中、ぼんやりと祠が緑色に光っていたように見えた。
あ!
俺は光を見て肝心なことを思い出した。
「それではご退出頂きます。今来た道をお戻りください。」
「ちょっと待ってください!管理人さん、ごめんなさい。念のためここで加護を受けることが出来たかチェックしてもいいですか?」
「チェックですか?本殿に障らない方法であれば別に構いませんよ。ただ、御二人とも問題無くお参りできていますので、加護を受けられていると思いますが……」
「そうだと思います。ですけどちょっとね……すいません。グラーシュ、俺を鑑定して!」
「え……あ、はい」
返事と共に速やかにグラーシュが鑑定を始めた。
次の瞬間、ピクッと眉が動いた。
まさか……いや、巫女さんは問題なくお参りできたって言ってたし……
「どう?」
「その……」
口籠るグラーシュに、俺の顔面の血の気が引いて行くのが分かった。
「まさか……」
「はい、申し上げにくいのですが……」
「う、嘘だろ……」
グラッ
一瞬膝の力が抜けて崩れ落ちそうになった。
いや!まだだ!前回とは違う!!
まだ祠の前に居る!
「管理人さん、もう一度お参りさせてください!」
「ルラン、何言ってるの?」
すかさずマコトがツッコミを入れてきた
「マコトも、もう一回だけ付き合って、お願いだから。」
「あの……神様に念を押されるおつもりですか?」
堪らず巫女まで入って来た。
「いや、そんなつもりはないんですけど……マイール山でも加護を受けられる“お参り”をしたのに、加護が受けられなかったもので……」
「そう言う事ですか……いいですよ。お気の済むまでお付き合いいたします。」
「ありがとうございます。マコト、ほら……」
「はぁ、わかったよぉ……」
「いや、もっと気合入れて!そんな嫌そうにしたら神様まで臍曲げるかもしれないじゃん」
「神様がたった一人のエルフの御機嫌に合わせて臍曲げる訳ないでしょ!ホンットにバカだよねッ、ルランはッ!!」
「分かったから。落ち着いてって。」
大きな深呼吸を一つして、気持ちを切り替えて再び祠の前に立った。
ふくれっ面だったマコトも祠の前で平穏を取り戻し神妙な面持ちに変わっていた。




