第27話 参拝再チャレンジ
「すいませーん。祠にお参りに来ましたーッ!」
爽やかな朝の参拝らしく、元気よく社務所に挨拶した。
「はーい!」
返事と共に巫女のエルフが顔を出した。
ん-、エルフの巫女もなかなかグッとくるなぁ。
神様に仕えているからなのか、それともコスプレ的な……
しかし、巫女の顔はみるみる青冷めていく。
「ひぃぃぃーーっ!?」
小さな悲鳴を上げながら尻もちをついてしまった。
ゆっくりと巫女の視線の先を辿ると、フードを外したイチオとマコト。
あ、やば……ダークエルフ連れているんだった。
やいのやいのやっているうちに、俺もグラーシュも馴染んでしまったけど、ダークエルフ連れはマズかったな。
「ちょ、なんでフードを……」
「だって、被ったままじゃ神様に失礼でしょ。」
まぁ、そうだよね…そういう意見もあるよね…
こりゃぁ巫女さんを説得するしかないな。
「大丈夫です。悪いダークエルフじゃないですから。」
「そ……そうなんですか!?」
腰を抜かしたまま弱弱しくも必死で応対をしてくれる様子に、
「改心して、今はとってもいい子達なんです。」
「ほ、本当ですか!?」
「はい。同胞を襲う事はしません。それに、ここでお参りを済ませたら、ルーロック山を下りますので、ご安心ください。」
「私も、これが最後のお参りになりますので、是非、お参りをさせて下さい。」
イチオに続きマコトもいつになく真剣な顔で訴えていた。
「分かりました……お参りを許可しますが立ち合います。」
「「ありがとうございますッ」」
「では、こちらへ」
巫女の後ろをついて本殿に向かった。
マイール山と同じく、とても質素な木造家屋の中心に、小さな“祠”があった。
これに、お参りか……ここからが本番だ。
「ルラン様、お先にどうぞ。」
グラーシュが声をかけてくれた。
「分かった。今度こそ!」
祠の前に立った。
隣にマコトが、立ってくれた。
「あれ?イチオじゃ?」
「細かい事は気にしないの!」
俺、マコトに感謝される事なんてしたっけ……?
まぁいっか。
「作法とか、有るんだっけ?」
「マイール山でもやったんでしょ?そんなの無いよ。ちゃんと念じてね。」
「了解。」
この神社っぽい造りを前にすると、二拝二拍手一拝しか思いつかないんだよな~。
前回はそれでだめだったから他の所作が気になるけど、これ以外は知らないし。
確か、神社の系統によっては少し違うんだっけ……
ま、いっか。考え出すとキリが無いし、躊躇してたら隣のマコトに怒られそうだし。




