第25話 注意事項の多いスキル
「ちょっと待ってくださいッ!自分の光の粒子のストックが足りないとどうなります?捕縛不可なんですよね?」
「そうじゃな。昼間やるなら、周囲の光の粒子を使えば足りないなんてことはないじゃろ。その代わり、周囲は暗くなるけど。」
マジですか。相変わらずのぶっ壊れスキルだな。
とはいえ、周りが暗くなるのは怪しまれるからなぁ……
「もしかして、全身捕縛ではなくて、手首だけとか、部位を限定すれば使用する光の粒子を節約できる?」
「もちろんじゃ。でも、全身を包んだ方がいいぞ。」
「え?何でですか?」
「あなたねぇ、手首だけ縛ってごらんなさい。手を落せば逃げられるでしょお?」
呆れ顔の先生から耳を疑うような猟奇的な発言が飛んできた。
「まぁ、そうじゃな。相手が必死ならそういう事も有り得るじゃろう。」
「中には、切断した部位を復元する者もいるだろうから、ケチらない方が良いわよ。」
「そうじゃ。悪いことは言わんから、やるときには、クルッと全身丸ごと包んだ方が良いぞ……それと……」
「ん……?注意事項ですか?」
「相手が動いている時よりも、動いていない時の方が良いぞ。」
「え……どうしてです?」
「光の粒子で全身をいきなり包むという事は、お前さんの念じた瞬間の動きでガチッと固めてしまうからな。それまでの動きの運動エネルギーが行き場を失って捕縛対象がモロ被りするぞ。」
「モロ被り……?どういうことですか?詳しくッ!」
「わからないの?……そうねぇ、全力で正拳突き最中の敵を捕縛して止めると、正拳突きのモーション中のエネルギーが行き場を失って、その対象に返ってくるって事よ。」
んーーっ、無傷で捕縛したいなら止まっているときにしろってことか。
「分かりました。対象が出来るだけ止まっている時に捕縛することにしますね……ってか……」
「なんじゃ?」
「えーっと、光の粒子のストック……」
「そうじゃな、心許ないかもな。色々と騒動が始まる前に、ちゃんと集めといた方が良いぞ~、要は急げじゃ!」
要じゃなくて、善ね。でもそれで助けられたこともあったっけ。
「ははは、そうですね……ん?そんなに光の粒子のストック少なくないような気がしますけど……」
「いや、闇の粒子より少ないから儂心配で」
「そ、そういうことですか。」
心配ないじゃん。おじいさんが心許ないだけでしょ。
そう思ったら肩の力が抜けたような気がした。
「ルランッ、分かっていると思うがいきなり本番はダメじゃからな。事前に予行練習をしておくように!」
「はい。」
ってか、早く【白き理】☆15の認定して、リードしたいだけなんじゃないの?
「それと、試す際は……信頼関係のある者の協力を得るように。」
「はい」
え?今までそんな忠告したことなかったよね?
ついおじいさんの顔を凝視してしまった。
「オホンッ、捕縛を試すということは協力者の体の自由を奪うことになるからな!間違ってもルランの事を信頼していない者を試験相手としないようにっ!」
「分かりましたよ、くどいなぁ。」




