第22話 風属性の加護の宛て
「イチオのお父さん、コウゾウさんところにお願いに行こうかなって思ってるんだけど、ダメかな……」
「え……?親父んところ行くの?」
イチオが驚きの声を上げた。
「そう。イチオに会うって希望を俺たちは叶えたからさ……図々しい?」
「そんなことは無いよ。ってか、ちょっと待って!それなら、俺が参拝について行くよッ!」
「まじ?」
「もちろん、逆上していたとはいえあの時は親父まで憎くなってたけど、暴走した俺達の魔法から親父を守ってくれた恩は有るし……今は助かった事を本当に感謝してるし……それに、闇落ちしちゃったけど俺も“エルフ”だから役に立つはず……」
「それは有難いけど、今後の話し合いはどうするの?イチオは他のメンバーの決めた事に従うって事?」
「何言ってるの、ルラン。どうするも何も、俺たちは共通の目的『スノゥと取巻きの暗殺』で集まっただけだよ。共通の目的が無くなった今、別に俺は自由なはずだし……俺はルランに付いて行く!」
そう言う集まりだったんだ……
てっきり闇落ちして生き難い者同士で協力し合うための集団だと思ってたけど、めっちゃアグレッシブな理由だけで集まっていたのね。ということは……
「私もーッ!」
予想通りマコトも一声を上げた。
遺体返却の一件から、マコトは俺達に興味津々だったし、グラーシュと仲良くなってたからな。
「良いの?」
「良いよ。だって、その方が面白そうだし。」
「話し合いは良いの?」
「決めたからイイッ!!」
真っすぐ俺を見つめるマコトに対し、俺は敢えてタマエの方に視線を送ってみたが、マコトの瞳には俺が映っていた。
ははは、意志は固いか。結局のところ、自分がどうあるかは個人の意思だもんな。
「それに、ルランはイカレエルフをそのままにしないでしょ?」
その一言に再びダークエルフの視線が俺に集まったように感じた。
「ちょ……無茶言うなよ。」
「ふーん……でもイイや。ルランで何とかならなかったら、諦めるから!」
何それ……一回はトライしてみろって言っているようなもんじゃん。酷い無茶振り来たなぁ。
ここまでの大ごとを正面切ってぶん投げられるのは、転生してから無かったような気がするけど……
「他は話合って待っててくれるって事でいいのかな?」
俺の問い掛けにシロウ、ツトム、タマエは静かに頷いた。
「それじゃ、行ってくるわ。用が済んだら戻ってくるね。今度はちゃんと決めておいてね。」




