第20話 DEは特別?
「みんなで集めた情報を裏付ける証拠があれば、ミーヴ侯爵に解決してってお願いできないもんかね?」
俺の提案に一同が顔を見合わせた。
「面白い事を考えるな。でも、それこそ難しいだろ?ダーゲンとミーヴで揉めることになるぞ……」
「ルランは身元保証を受けているから、ミーヴを高く買っているのかもしれないけど、私もミーヴは動かないと思うな~」
ん-、俺は自覚が無いだけで、ミーヴをそんな風に見てるのかなぁ。
まぁ、身元保証書の圧倒的な説得力に何度も助けられているから、知らず知らずのうちに染み込んでいるのかの知れないな。
「でも試してみればいいじゃん。直訴は別に誰かが死ぬわけでもないからリスク極小だぞ。俺らはルーロック山の後にミーヴ侯爵の城に行く予定だから、ついでに直訴してみる?」
「え?侯爵のところに行くの?なんでなんで?次の仕事でも貰いに行くの?」
マコトは興味津々だ。
「違います!格闘技イベントを私の為に開催して下さる約束になってます!」
今まで黙って聞いていたグラーシュが割り込んできた。
このことに関しては絶対に誰にも譲らないって強い意志を感じさせるなぁ。
「グラーシュ、大丈夫。絶対に。必ず行くから!」
「はいッ!」
「格闘技イベントって……ミーヴも平和ボケか……」
「おいおい、脱線してるぞ。今は、お前たちの今後の話だろ?」
グラーシュの眼光が鋭くなったのを感じて、俺は慌てて話を戻した。
「そうだ。話を戻すぞ。」
気が付いたシロウも協力してくれたおかげで収拾がついた。
「まぁ、試しに直訴するにしてもやっぱり証拠が無いとミーヴは動けないだろうな~。なんか証拠ある?」
「証拠……証拠が無いと駄目か?」
「そりゃぁ、大人には大人の事情があるからな、証拠は必要だろうよ。」
「俺達だって大人だ。俺たちの事情を汲んで……」
「ちょっと待った!!お前らみたいに感情的に、後先考えずに、同胞に確固たる殺意を抱いて闇落ちするのが“大人”なん?」
「……」
五人も相手にするから、累積するストレスでスイッチが入ってしまっていちいち説教じみてしまうというか……
いかんいかん、落ち着け俺!平常心平常心……
「俺が悪かった……ちょっと仕切り直しで!敢えて言い直せば、ミーヴ侯爵が侯爵としての判断を下すためには、その判断をするために参考にする確固たる証拠が必要ってことだな。」
「確固たる……」
「それにだ、分かっていると思うが、この居心地の良さそうなアジトからそろそろ撤収しないとだぞ!」
「え?」




