第13話 暫定的迷走
車座に座っているダークエルフの顔色は……誰一人として冴えてなかった。
あれ?明るい未来を見出して話が終わったんじゃないの?
「えーっと……今後の方針は決まったんだよね?」
「とりあえず、殺しは保留することにしたよ。」
シロウが口を開いた。
口調は落ち着いていたから、とりあえずの保留と言っているが諦めたことが伺えた。
それでも俺は明確な意志を確認したいと思い、尋ねた。
「とりあえず殺しを保留?」
「あぁ」
「もしかして、代わりにやることが決まってないとか……?」
「うん。」
小さな返事がマコトから聞こえた。
今までは、怒りでお互いに同調し勢いに任せてやるべきことを決めていたようだから、勝手が違って上手く決めれなかったか……
「もしかして、いつまでも決めれないから、埒が明かないって思って、俺らを呼んだ?」
「うん……でも、殺しについては保留するって話で纏まったからさ。」
そうだな。俺としては自発的にそこを決めて欲しかったから、及第点を上げることにしよう。
その意味では、闇落ちしてまで決めていた覚悟をひっくり返したんだから、一定の評価をすべきか……
「俺らがさ、今後のことを提案できない訳じゃないけど、やっぱりアレでしょ?」
「何?」
「殺しを保留してみたものの、お前らの言っていた“イカレエルフ”の事がどうしても気になるんでしょ?」
「そりゃ、なるよッ!ならない訳無いだろッ!!」
イチオが溜まっている鬱憤をぶつけるように声を上げた。
そうだよな、そのイカレエルフのせいで闇落ちしたんだし……
「ちょっとさ、いい機会だし、その“イカレエルフ”について詳しい話を聞かせてよ。話せる範囲でいいから。」
「ルランも物好きだよね。」
「乗り掛かった舟だしさ。教えて貰えたら俺にもできることがあるかもしれないからさ。」
「あぁ、いいよ。」
シロウは返事に続いてイカレエルフについて話し始めた。
「俺たちの標的だった男は、スノゥっ呼ばれているエルフだ。」
「その一人のエルフがルーロック山を穢していたの?」
「いや、そいつの下に、ショヲト、テツヲ、タカヲ、ヲズミが居る。俺たちはこの五人を殺る予定だった……」
「五人も?」
「そう。」
「その五人が、ルーロック山の発展のために、土地を開放してダーゲンの人間を引き入れて住まわせて……って?」
「ふんっ、ルーロック山の発展の為ってのは、表向きの話だよ。」
「表向き?」
「本当の目的は、“ルーロック山の弱体化“だと思う。」
「ちょ……ちょっと待った。ダーゲンの人間がルーロックに住むとルーロック山が弱体化するの?」
「おい、ルラン!お前だって短絡的じゃないか!安易に話を繋げるなよ!!」
「どういうことだよ!」




