第12話 白めの作戦再会議
「ルラン、ちょっと考えさせてくれ……」
シロウの一言を聞いて見渡すと残りのダークエルフも静かに頷いていた。
ちょっとは頭が冷えたかな。
怒るのだってエネルギー使うから、聞き入れて貰えてうれしいよ。
「了解。俺とグラーシュはいったん外に出るよ。考えがまとまったら呼んでくれ。」
「分かった。」
アジトの外に出てみたものの、ただ待っているのも詰まらないし、グラーシュに声をかけて周囲の間伐に出かけた。
俺が資材を集めるために間伐すれば、木々の成長を促して森林の健全な成長するだけではなく、防災効果の向上も図られて、まさに一石二鳥!
いつも通り、グラーシュが森に住まうノームの希望する伐採対象を俺に伝えてくれるから、言われた木をどんどん吸収した。
管理人が、どうこうという事も無いので、気楽に出来て作業が捗った。
神域だからとほとんど手が入っていなかったせいで、間伐材をかなり手に入れることが出来た。
幸いにも俺の場合は、間伐材でもゲートの中で好きなように加工ができるし、先生のサポートの御陰で完全利用が出来る。
今回の作業で木材ストックもかなり潤沢となった。
これで安心……というわけではない。
潤沢に集まったからって先生が勝手にダイヤモンドの生成に使ってしまいそうで、逆にヒヤヒヤしてくる。
ともあれ、ストックが多くなってくると間伐にも飽きてきた。
というよりも、間伐対象がありすぎて心が折れた。
どんだけ放置してりゃこうなるんだ……
「一休みしますか?」
へきへきとしている俺を気遣ってグラーシュが優しい言葉を投げかけてくれた。
「そうするかな~」
作業をキリの良い所で終えて、アジトに戻った。
入口にはアルディとエレナが待機しているだけで、ダークエルフの姿は無い。
「まだ出てきていない?」
「はい。」
「そっか……中に入って邪魔するのもアレだし、ここで一休みするかな~。そう言えばさぁ、グラーシュ、エアバッグでゴロ寝用のクッション作れるんだったよね?」
「作れますよ。ベッドも。」
ば……万能過ぎる!
「そしたらベッドと枕お願いしまーすッ!」
「はい。」
グラーシュの用意してくれたベッドに手を当て感触を確かめた。
気遣いの行き届くグラーシュらしい程よい柔らかさのベッドだった。
ゴロ寝すると、あまりの心地よさに俺は意識を失うように寝入ってしまった。
「……ラ……起き……ルラ……ン……ルランッ!起きろーッ!」
「へ……?」
眼前には天敵を前にパンパンのフグの如くふくれっ面のマコトが居た。
「ルラン、マジで舐めてるよね。真面目に話し合って出て来たら、これだもん。ふざけすぎ!」
「そんなことは無いよ。こちとら一仕事終えて、今後の話をするための準備として一休みしていただけだって。ってか話は終わったの?」
「だから、終わったって。寝ぼけるほど寝るなーッ!!」
いや、俺が悪いんじゃない。
グラーシュの作ってくれたエアーベッドと枕の寝心地が良すぎて、ちょっとゴロゴロするつもりがしっかりお昼寝してしまっただけで……って言ったら二度とこれにあやかれなくなりそうだからグッと我慢!
それに、呼びに来たマコトが怒るのも無理はないか……
真っ新になってしまった計画と、闇落ちしてしまった事への悔悟せいで、話し終わっても寝てる相手にブチ切れるくらいだから、結構難航したんだろうな~。
「ごめん、ごめん。一息入れずに会議再開って事でいいかい?」
「うん。入って。」




