第10話 鬱仕事から無事に帰還
あぶねーっ。
何とか切り抜けた。
あの感じだと、この家の人は食料の提供をしていた可能性が高いな。
もっとちゃんと食事持ってきた人を見てれば、ここでの調査できたのに……
特に、毒入りの食料を提供した2人組。
フードを目深に被っていたから顔は見れなかったし……ってか、あの時は毒殺に繋がるなんて思っていなかったからなぁ。
まぁ結果論を言っていても仕方ないか……
ラムーに跨り、鬣を撫でると落ちついてきた。
まずは集落の外で待たせている2人と合流だ。
光の粒子を集落の外周に散布してっと……見つけた!
間髪入れずにラムーが走り出すと、あっという間に合流できた。
「お待たせー!無事に帰してきたよ。」
「え?……何もなかった?」
「特に何もなかったよ。質問攻めにあいそうになったけど、なんだかうまく切り抜けれた。」
「そうなんだ。」
「で、何か分かったことあった?」
「ん-、なんか、人間いたよ。」
「え?エルフの家に人間が?」
「住み込みで色々教えてもらっているらしいけど……やっぱり変な事?」
「ん-、あんまり聞かないかな。でもあの家なら何を使っていてもおかしくないか……」
「とにかく遺体は全て帰せたわけだ。マコト、案内有難うね。とりあえず出発するか。」
ラムーが速いのは分かっていたけど、ストークも意地なのか、グラーシュとマコトを乗せているというのに飛ばしてくれた。
御陰で、日が落ちる前にダークエルフの待つアジトに到着できた。
「アルディ、エレナ、お疲れ様~。異常無し?」
「お疲れ様です。異常有りません。」
「了解、もうちょっと見張っててね。」
「「御意。」」
「誰か出てる~?」
「いえ、全員中に居ます。」
「ありがとう。それじゃ俺達も入るか。」
三人で洞窟に入り始めるとマコトが話しかけてきた。
「ねぇねぇ、ルラン。」
「ん?」
「一番強いのはルランなの?」
「そうだな~。」
1番強いとか……
そういう物事の一面だけを捉えようとする幼さが、闇落ちを招いているんじゃないのか?
って訊きたくなったけど、また喧嘩になっても嫌だし……
「俺は強い方だと思うけど、俺は魔法も使わないグラーシュに何度も倒されているから、一番強いのはグラーシュだろうな。」
「「えーーッ!!」」
マコトの驚嘆の声に、グラーシュの声まで混じっていた。
「そーなの?どうやってルラン倒したの?」
マコトはグラーシュの両手をそっと掴み、上目遣いでグラーシュの顔を見上げて迫る。
「え……私、ルラン様を倒したことありましたっけ?」
困り顔のグラーシュは、マコトの向けた矛先をノータイムで俺に逸らしてきた。
身に覚えが無いのか……
相撲では豪快に投げ飛ばされましたし……
それ以上に食事の席とかで何度も失神まで追いやられていますが……
「グラーシュにとって俺をやっつけるのなんて、朝飯前でさ。些末過ぎて覚えてないんだろうね~」
「魔法無しで無自覚に倒すのか……グラーシュも相当ヤバいね。」
ははは、間違いなく相当ヤバいよ。
でもマコトは負けないんじゃないかな~って言うとまたややこしくなるから、この辺で止めておこう。




