第7話 マナの取り扱い
「人聞きの悪い言い方しないで!!私が大切に管理してたの!っていうか、あなた……やっぱり不憫よね。“空”だから、吸収した魔法やそのマナを把握できなくても、仕方ないけど……」
「でも、こうして結晶してくれて形になってくれると私にも分かりやすくて助かります。目で見て触って確かめられますから。」
「ふん、形になったってマナに変わりはないから、使って魔法にできなければ価値が無いわよ。つまり、あなたには無用の長物。私に任せておきなさい!」
「そんなことは無いですよ!!」
「え!?」
「私に無用の長物じゃないですよ。だって、とてもきれいで、真紅の宝石として眺めて楽しいじゃないですか~。特にその透明度、見ていると吸い込まれそうです。」
「な……人は見かけによらないものね……知らなかったわ。あなたも宝石好きなの?」
「好きと嫌いの二択なら、もちろん“好き”ですね。綺麗なものに魅かれて目を奪われて手に取って触ってしまうのは、割と自然なことだと思いますけど。」
「そう!自然なことよね。」
それに、分からないものをダイレクトに分かろうとしても難しいけど、空でマナの事が全く分からない俺としては、マナがこうして分かり易く馴染みやすい実物になっていてくれれば、五感を通じて少しずつマナの理解が出来るかもしれないし……
「吸収した魔法はどんどん賢者の石にしてください。私も積極的に魔法を吸収するように心掛けます!」
「ホントにイイの?私管理が大変になってあなたのこと看てあげられなくなるかもしれないわよ?」
「それは困りますけど、マナの石化は存分にやっちゃってください!」
どうせ石にするほどのマナと触れる機会はそんなに頻繁じゃないだろうから支障はないでしょ。
「ちょ……ちょっと待つのじゃ!」
「何よ?じじい!文句あるのッ!?」
「落ち着けぃ、お前じゃない。ルランじゃ、ちょっといいか?」
「はい。」
「賢者の石は絶対に外に出すんじゃないぞ。」
「あ!そうよ!絶対に出しちゃダメ!!」
「そうなんですか?」
「さっき自分で言ってたじゃない、魔法学校でもお目に掛れない物だって。」
「そうでした。」
「どのくらいの価値があるか想像できないでしょうけど、普通の魔法使いなら、無尽蔵にマナを使えるようになるような物よ。」
「はい。」
「これを外に出したら血で血を洗う争いが起きるかもしれないって思い出して欲しいわ。」
そう言えば、マコトもそんなようなことを言ってた気がするなぁ。
「分かりました。」




