第4話 野営地で意思確認
「この辺が良いと思う」
マコトの一声で、今日の野営地が決まった。
土地勘のあるマコトのおかげで、水にも困らない安全そうな洞穴を確保することが出来た。
中に偵察用の光の粒子を飛ばしたが、虫やコウモリが少し居るくらいだ。
念のため、グラーシュにフォグパレスを張って貰って準備完了。
グラーシュが火属性まで持ってくれたから、フォグパレス内で俺の点けた焚火も弱められることなく快調だ。
あ……嫌なこと思い出しちゃったな。
溜め込んでいても仕方ないから、ぶつけてきた本人にぶつけよう!
「マコトさぁ。」
「んー?」
「俺らに一回火の玉ぶつけてさぁ。」
「うん。」
「で、その後、5人のありったけのマナ使って、えげつない火の玉?ぶつけてきたじゃん。」
「えげつない火の玉って……まぁいいか……そうだね。」
「アレってさ、水蒸気爆発を狙ったんだよね?」
「そうだよ~。ルラン、魔法のこと全然ダメダメなのに、そういうことは分かるんだね~」
褒めてない……よな。
ここで突っかかってても話が進まないから、スルーして……
「全部吹き飛ばすつもりだった?」
「うん。」
「ヤバ……」
エルフの森なのに、吹き飛ばすとか……ダークエルフになると思考回路がぶっ飛ぶのかな。
「いや、ヤバいのはルランの方。アレ、どうしたの?吸収したの?」
「まぁ、そうだね。」
「はぁ!?冗談で聞いたのに……気色悪っ!」
「ははは、それはイイとしてさ。そうなると何が良いのかなってさ~」
「何が?」
「いや、『フォグパレス最強じゃん!!』って思って買ったのにさ。こんな弱点があるなんて……他の防御魔法も必要なのかな~ってさ。」
「え?フォグパレスを買った?どんだけ金持ちよ……信じられない。」
「ふふふ、凄いだろ。こう見えて割とカネ持ちなんだよね。」
「ホント、変な奴。」
「じゃなくて!!」
「何?」
「フォグパレス以外の何かじゃないと、防げないって事でしょ?」
「そうだね。」
「何がある?」
「何って……そもそも、ルランは魔法使えないでしょ?だったら考えても仕方ないんじゃない?」
「いや、グラーシュに覚えて貰って使いこなせばいい……今は!」
「“今は”って……ルラン、凄いね。諦めてないんだ。」
そりゃそうだよ。
せっかく魔法が使える世界に転生したんだから、ぜってぇ諦めねぇ!諦めらんねぇ!!
「でも、グラーシュが四属性使えるからって、追加の防御魔法はお勧めしないな~。」
「なんで?」




