第40話 村長の大事
集落内のエルフに聞き込み、村長の自宅に着いた。
「村長さん!いらっしゃいますか―っ?」
「はーい。」
玄関で声を掛けると中から返事が聞こえた。
程無くして出てきたのはおばあちゃんだった。
「えーっと、村長さんは……」
「私です。」
「そうでしたか。失礼しました。私はこういう者なんですけど……」
俺は速やかに切り札を切った。
「あれま、凄い人が来たね。」
ミーヴの身元保証証を見た村長の目が皺を押し退けて飛び出した。
「いえいえ、滅相も無いですよ。というか、早速ですけど、ランコさんの件でちょっと御話が有りまして。」
「ランコッ!?ダーァアアア……」
村長は、口をついて出掛けた言葉を無理やり押しとどめたせいで顎が外れそうになりながらも、息を整えて姿勢を正した。
「ちょっと、中に入ってください。」
良かったー。
遺体引渡しの瞬間でメンタル擦り減るから、玄関での問答は出来るだけしたくないんだよね~
すんなり中に入れて貰えて良かった。
この村長、大人の事業の分かる人だ!
話が早くて助かる―っ!
「さてと……ルランさん、ランコって闇落したエルフのランコですか?」
「多分そうです。」
「そのランコのどんなお話でしょうか?」
「はい。山中でダークエルフの遺体が複数見つかり、身元の確認をしていたところ、こちらのランコさんに似ているという話を聞いたもので……ご遺族に帰してあげたいと思いましてね。」
「そういうことですか……困りましたね。ランコは身寄りが無いので。」
「そしたら、ランコかどうかだけ確認をしてもらえますか?」
「もちろんです。」
ローブを脱いで床を仰いでランコの遺体を出した。
決して手馴れたいとは思っていないが、三度目にもなると手慣れたものだ。
「これは、ランコですね。」
自己評価の余韻を割くように村長の声が聞こえた。
いかんいかん、今の仕事に集中せねば。
「分かりました。」
「私の方で引き取って、埋葬しましょうか?」
「その方がよろしければそうしますし、それですとお手数を掛けてしまいますので、墓地と埋葬場所の指定を頂ければ、私が埋葬しておきますよ。」
「そ……そうですか。ではお言葉に甘えようかしら……」
「了解です。ただ、申し訳ないのですが、次がありますので、今から墓地を教えてもらえますか?」
「え……?あ、はい。では支度してきますね。」
「表で待ってますね。」
「分かりました。」




