第19話 差入の背景
「ダークエルフに・・・闇落ちしても息子は息子です。生きていて欲しいと・・・改心してまた戻ってきてほしいと、そう思って・・・うぐ・・・」
改心を願って、今やれることは何かと考えた結果、当面は食事の提供・・・だったのか。
何ともやるせないな。
「ご主人が食事を持って行かなかったのは・・・」
「私は・・・今回の一件で、イチオと大喧嘩をしてしまって・・・」
ろくに口もきけない状況だったって事か。
親父の意地ってのがあるもんな~。
血便の大下痢で死に別れてしまうことだってあるんだから、もう少し上手にコミュニケーションを取った方が良いですよ!
ってのは、傷心しているところを畳み込む“結果論”になってしまうし・・・。
何より、例えが下品だし、あまりにもカッコ悪いから止めておこう。
「名前も顔も分からない私では、イチオ君がどうなったかはわかりません。」
「そうですね。まずは落ち着いて状況確認に行った方が良さそうですね。」
「でも、ダークエルフ側は、差し入れで毒殺されていると思っていますので、穏やかじゃないですよ。」
「そうですね・・・。単純にダークエルフと力比べになるとエルフには勝てませんし・・・。」
「そうなんですか?」
「はい。闇落ちは、単純な容姿の変化では済みません。何故かはわかりませんが、強大な力を得ることになります。エルフでは太刀打ちできません。」
「強大な力?」
「保有するマナの量も増大するし、魔法の威力も増すし、身体能力も向上します。」
「そうなんですね。」
マサオが襲われていた時、ダークエルフ5人を見たけど、全然そう言うの感じ取れなかったなぁ。
我ながら、“空”な自分が、不憫でならないな・・・。
俺は、マナを持ってないからマナの事なんて、エルフを見たって全然わからんし・・・。
身体能力なんて・・・ネロアに縮み上がってるダークエルフじゃ、どうなのかなんて見当つかなかったし。
魔力と身体能力の向上・・・全くわかんなかったなぁ・・・あ!
ネロアだ!!
「微力ながら、私が付いて行きますか?」
俺がってか、ネロアと俺がだけど。
「え!?本当ですか?」
「多分何とかなりますよ。ダメなら、一旦引けばいいんだし。」
ってか、多分だけど、話せばわかってくれそうな気がするんだよな~。
「ただ、ちょっと聞きたいことがあって。」
「何でしょう。」
「今回のダークエルフ、いや・・・イチオ君は、どうして闇落ちしてしまったんですか?」
「イチオは、普段から良く集まっているエルフと一緒に、一部のエルフがルーロックを穢していると聞いて激昂して、闇落ちしたみたいです。」
おいおい、だいぶ端折ったんじゃないか!
説明が下手か?
闇落ちはそんなに簡単にするもんじゃないんでしょ?
「エルフへの確固たる殺意が芽生えたときに闇落が起きるんですよね?」
「はい。」
いやいや、もうちょっと説明してくれないと分からんわ!
息子がどうなったかの方が気になって、言葉が少なくなるのは分かるけどさ・・・
お陰様で、初投稿作品で、毎日更新で1年を迎えることができました。ひとえに、毎日読みに来てくださる皆様から力を頂いたおかげです。
本当にありがとうございます。これからも読者の皆様に楽しんで頂けるように精進します。
その手始めに、ちょっと一年前を振り返って、投稿済みの原稿の改訂作業に入ろうかと思います。
というのも、この一年を通じて、自分の執筆力の無さを痛感したからです。
その為、物語の進行速度が低下するかと思いますが、予めご了承頂ければと存じます。
今後とも引き続きよろしくお願いします。




