第14話 アジト潜入開始
俺は、ここにダークエルフのアジト潜入しようと思ってきたんだ!
ってことで、当初の予定通り、洞穴に入っていくダークエルフ2人を追った。
中は一本道。
しばらく歩くと広間に出た。
広間の真ん中で焚火を、囲むようにダークエルフが3人寛いでいた。
「おー、飯だー!」
「また持ってきてくれたの。」
「待ってましたー!」
3人とも運び込まれた食事に気が付き、歓喜を上げた。
エルフに確固たる殺意を持つと、ダークエルフに“闇落ちする”って聞いていたから、もっと殺伐としていると思ったが、拍子抜けだ。
こちらとしては、食事の時まで殺伐としているような場所に居たくも無いから、これでいいんだけど。
それとも、今回のダークエルフは同じターゲットだから、仲良くできているのかもしれないな。
「ちょっと、まだ食べ始めるの待ってよ!」
「なんでだよ!」
「ポーションとか毒消しも差し入れしてもらえたんだよ。運び込み手伝えよ!」
「マジかよ。」
「分かった。」
「まだあるのー?」
3人とも立ち上がって2人に付いて行った。
少しすると、5人が仲良く談笑しながら帰ってきた。
「すぐ食べようぜ~。」
「えー、待たないの?」
「きっとすぐに戻ってくるよぉ。」
「え?まだ帰ってこないでしょ。寝静まるまでの監視に行ったんだろ?」
「そうだけど、あのヤローは、酒でもかっ喰らってすぐに寝るだろ。そしたら・・・」
「だとしても、ここまで戻ってくるには、まだまだ時間かかるって。」
「言われてみればそうか。自分たちの分だけ食べちゃうか。」
「そうしよう!」
フードを取って食事を食べ始めた5人は、いずれも顔立ちから20前後くらいの若者だ。
「なんだ、お前食べないのか?」
「ちょっと、食欲が・・・」
「何言ってるんだよ。食えよ。こうして飯にありつけるだけ有難いってのに。」
「でも・・・」
「少しくらいは食べないと、いざって時に動けないぞ。」
「そうだよ。」
周りを見渡しながら、少しずつ口に運び始めた。
「ぐぅぅ・・・」
突然1人のダークエルフが呻きながら横たわり悶絶し始めた。
次々と苦しみだすダークエルフ。
提供された食料に毒でも入っていたのか?
最後に食べ始めたダークエルフは軽度な症状のようで、慌てて食べたものを吐き出すとともに、毒消しを4人に飲ませ始めた。
飲まされたダークエルフは、落ち着いて静かになった。
ひとまず落ち着いたのか?
軽症のダークエルフも最後に毒消しを飲んで寝てしまった。
転生してからこっち、食中たりとかした事が無いのは、グラーシュの御陰だわ。
まぁ、この様子だと、ここに居るダークエルフは本日の営業が終了っぽいから、監視に出ているダークエルフを入り口で待つか・・・。
ダークエルフたちの真ん中に、俺の持っていた毒消しとポーションを置いて、入口へと向かった。




