第9話 マサオの説教
マサオはぶつぶつ言いながら、お茶を出してくれた。
「ありがとうね。」
「どーいたしましてっ!」
「グラーシュ、ルランってさ、グラーシュの従者なんでしょ?」
「そ・・・そうよ。」
「感じ悪いね。」
おいーっ!ありがとうねって御礼申し上げましたが!
って、言い出したらキリがないか。
それと、何だろう。
“従者”って響きに、俺は凄い嫌悪感を感じてる。
アレか?
ミーヴ侯爵から貰った身元保証書のせいか?
だって、これのおかげで、やたらと属性鑑定を受けなくて済むようになったし。何より、ギルドにて、俺が直接仕事を受けれるっぽい。
俺はもう“従者”じゃなくていいんじゃねって気分になってきてるのかもしれない。
だけど、実際に仕事を受けれるか試してみるまでは、“従者”に徹するか・・・抵抗あるけど。
その前にグラーシュにきちんと説明しないといけないな。
ミーヴ侯爵の格闘技イベントの代替案も。
「さて、マサオ君、ちょっと教えて欲しいんだけど、ダークエルフってエルフとは違うの?」
「はぁ?ルラン、ホントに知らないの?」
「恥ずかしい話だけど、知らないんだわ。だから教えて。」
「やだ。」
「私も良くわからないから、教えて。」
グラーシュ、ナイス!
「え、グラーシュも?・・・はぁ、しょうがないなぁ。」
「ごめんね。」
「ダークエルフは、エルフだよ。エルフがエルフを殺そうとすると、“闇落ち”してダークエルフになるんだよ。」
「そんなんで闇落ちしちゃうなら、ダークエルフだらけになるんじゃないの?」
「ルラン!人間と一緒にするな!」
「あ、すいません。えーっと、エルフを本気で襲おうと確固たる殺意が芽生えた時に、闇落ちするってこと?」
「そう。」
「改心して、殺意が無くなったら戻るの?」
「戻らないよ・・・。ダークエルフのまま」
「そ・・・それじゃあ、改心しても、いつまで経っても、他のエルフから警戒されるじゃん!」
「そう。だから集落には居られないよ・・・。」
「もしかして、ダークエルフに対して、エルフが殺意を抱いても闇落ちするの?」
「するよ。さっき言ったでしょ!ダークエルフもエルフだからね。」
「そ・・・そんな・・・。その話で行くと、下手すれば、悲しみと憎しみの連鎖でダークエルフが伝染する可能性があるじゃん。」
「だから、集落には居られないんだよ。」
キッツいなぁ。
「それ、寂し過ぎるな。まさか・・・」
「うん、最後は自決しちゃうパターンが多い。」
めっちゃくちゃ扱いが面倒な問題じゃん。
ミーヴ侯爵が、「お前がやれ」だの、「エルフの問題だ」だの言って、ノータッチで居たがっていた理由がここにもあったか。
「ダークエルフが出るって、結構大問題だな。」
「しかも、もう複数人数出ちゃっているから、早く何とかしなきゃなのに!こんなところに閉じ込めやがって、肝心な大人たちは何やってるんだよ!」
「落ち着け!マサオ少年!」




